2018年6月20日、東京・新宿でネットワールド主催による「一日で丸ごとわかる! ストレージ&バックアップDAY」が開催された。このセミナーは、ストレージ、バックアップ製品のメーカー各社が、自社製品の良いところをアピールしあうもので、製品の導入検討をしているIT部門の担当者にとっては、その名のとおり「一日で丸ごとわかる」うれしい内容になっている。
午前10時に始まり、午後6時過ぎにまで及ぶ長時間のイベントだったが、定員が200名の会場は、立ち見が発生するほどの盛況ぶりだった。
本記事では、メーカー同士で交わされた激論の様子を余すところなくお伝えする。
はじめに、主催者のネットワールドを代表してストラテジック・プロダクツ営業部 部長の平松健太郎氏が登壇し、開会の挨拶を行った。「今回は、メーカー各社のプレゼンによるバトル型のセミナーです。8社のメーカーにご協力いただき、前半がストレージ編、後半はバックアップ編ということで、熱い戦いを繰り広げていただきます」
時間切れで強制終了!? 各社10分でポイントを伝える
まずは参加したストレージメーカー4社の担当者から、持ち時間10分ずつで各社製品の概要説明が行われた。持ち時間は、演台横に投影されたストップウォッチで計測され、10分が経過した時点でゴングが鳴り響き、権利は失われ、強制終了となる。
最初に登壇したDell EMC(EMCジャパン)のパートナーSE部 百瀬康司氏は、まずDellとEMCが合併したことで最新テクノロジーを有効活用できるようになった点がメリットとして大きいとした上で、以下のように語った。
「今年の5月に発表されたハイエンド製品『Power MAX』では、エンドtoエンドでNVMeをサポートしています。管理ツールにAI/機械学習を組み込む事はもはや当たり前ですが、 同製品では機械学習エンジンをストレージの中に組込み、アプリケーションレベルで データ分析を行い『階層化』や『データ保護』等に活用を始めています。この最新テクノロジーの活用は、今後その他ハイエンド・ミッドレンジ製品での実装も予定しています。今後、Dell EMCではソフトウェア・ディファインド・アーキテクチャの促進に対応するため、Dellの最新サーバーハードウェアにVMwareの仮想化機能を使用し、EMCの仮想アプライアンスを実装していきます。合併のメリットは製品面のみならず、保守面でもメリットが出ており、VxRailにおいては保守サポートを日本のDell+EMC+VMwareだけで完結するなど、様々な面で合併のメリットが出ています」
続いてはNetApp(ネットアップ) アライアンス営業推進本部 パートナーSE部 田中隆行氏が登壇し、ネットアップが注目する3つの成長分野を柱とした今後のビジョンを語った。
「『NetAppといえばNAS』というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、今年度はハイブリッドクラウド、次世代データセンター、データ管理とストレージ最適化の3つの分野にフォーカスし、お客様のデジタルトランスフォーメーション推進を支援します。それぞれCloud Volumes、SolidFire/NetApp HCI、All Flash FASを注力製品とし、特にクラウドソリューションに力を入れています。最近ではGoogleと提携したGoogle Cloud Volumesを提供開始し、NetAppが得意としているSnapshotやクローン、暗号化などの機能がこのサービスを支えています。
他にも、パブリッククラウド上でONTAPの機能を利用できるONTAP Cloud等、この25年でNetAppが培ってきた技術や機能をクラウド上で活用する時代になっています。また5月には新製品も発表され、特にAll Flash FASシリーズのハイエンドモデルAFF A800ではNVMe-oF、NVMe SSD、また100GbEネットワークを採用するなど、ハードウェア製品においても最新のテクノロジーを採用し続けています」
3社目のHPE(日本ヒューレット・パッカード) データプラットフォーム統括本部 技術本部 川端真氏はHPE Nimble Storageの紹介に時間を充て、次のように説明した。
「ストレージはトラブルがつきもので、みなさんも困った経験があるでしょう。NimbleはもともとIoT、ビッグデータ、AIを活用した仕組みであるHPE InfoSightを備えています。世界中からペタバイトを超えるストレージのデータを集めてAIを駆使し、課題解決に活用できる予測分析システムを構築。どこかのお客様で起きたトラブルを、他のお客様で繰り返さないようにすることで、実績値で99.9999%の可用性を達成しています。さらにこのHPE Infosightを、HPEのあらゆるプロダクトに取り込もうとしています。Nimbleの売れ筋はハイブリッドフラッシュアレイで、5月にリリースした新製品はインライン重複排除機能を実装し、有効容量が大幅に増加しました。さらに最近はクラウドとコンテナにも注力し、HPE Cloud VolumeからオンプレのNimbleに必要なデータだけをレプリケーションできます」
最後にPure Storage(ピュア・ストレージ・ジャパン) エンタープライズSE部 岩本知博氏は「Pure Storageの極めて高い可用性と非常にシンプルな運用性を10分間で体験いただけます」と前置きした上で、自社オフィスのサーバールームとFaceTimeで接続し、リアルタイムでデモンストレーションを行った。
「Pure Storageはコントローラー、SSD2本、NVRAM(ライトキャッシュ)を抜いてもサービスに影響を与えません。NVRAMがコントローラーに入っていないので、単品で交換可能ですし、コントローラー障害時もライトキャッシュ上のデータを失わないようなモジューラースケールになっています」と語り、自社オフィスのスタッフが実際に各モジュールを抜き差しする状況をリアルタイムの映像と共に解説した。
「クラウド管理ツールを利用できるので、あらゆるデバイスでアラートや性能情報をスマートに監視できます」と締めくくり、Pure Storageの可用性の高さと運用の簡易性をデモンストレーションで実演した。
各社ノーガードの打ち合い!? - パネルディスカッション
引き続き、4社が参加するパネルディスカッションが開かれた。PartIは「~この用途ならやっぱりウチでしょ?~ 用途別おすすめ事例」と題し、各社2つずつのキーワードを選択し、それぞれの強みをプレゼンした。
「仮想化」を強みとしたのはDell EMC、NetApp、HPEの3社。「デスクトップ仮想化」はHPEとPure Storageが挙げた。このほか、Dell EMCは「ファイルサーバ」、NetAppは「クラウド」、Pure Storageは「データベース」を挙げていた。
PartIIは「~聞いて!ウチの最新ネタ!~ お題別 最新テクノロジー紹介」。各社が「オールフラッシュ」(Dell EMC、HPE、Pure Storage)、「ビッグデータ」(NetApp、HPE)、「クラウド」(Dell EMC、NetApp)、「運用管理」(Pure Storage)のキーワードに基づき自社製品のアドバンテージを解説した。