BIは経営情報の集計を提供するだけのツールではない。消費者の行動や購買情報を持っているのであれば、それらを多角的に分析することで、市場動向をいち早く掴むことも可能だ。ここではマーケティング分析に強さを持つBIツールを見ていこう。

マーケティング分析とは

企業が得られる様々な情報には、顧客の消費行動や購買行動を示唆するようなマーケティングに役立つデータも数多く含まれる。しかし、情報化が加速する今日、マーケティングの対象となるデータ量は膨大だ。マーケティング担当には、こうした膨大な情報から市場の動きを常時把握し、短期的に意思決定を繰り返していくことが求められる。

こうした「市場の把握」と並行し、顧客・競合・自社の動向から成功要因を導き出す「3C分析」、自社の強み・自社の弱み・外部にあるチャンス・外部にある脅威から市場分析を行う「SWOT分析」など、統計学を駆使したマーケティング分析によって戦略を立案することも、マーケティング担当の重要なミッションだ。

マーケティング分析における課題

先に挙げた分析手法は一部に過ぎず、数多くの手法を用いて試行錯誤しながら戦略を立案していかなければならない。また、各チャネルの販売情報、Webのトラッキングデータ、テレマーケティングの投資効果など、マーケターが見るべき情報は膨大であり、これを可視化するだけでも困難といえる。

高度な知識を必要とするために、これまでは熟練のマーケターによる調査や理論による裏付けに頼るほかなく、企業は効率的にマーケティング活動を行うためにマーケターの育成に多大な労力と時間を費やしてきた。しかし近年、BIツールを駆使することで、膨大な情報から必要な情報を抽出し、ビジュアル化や分析作業を自動化することが可能になってきている。企業の競争力強化や施策の発案・結果分析の精度向上といったマーケティングの活性化をBIで実現できることは、大きな強みになるはずだ。

参考: BIツールとは?

ただし、BIにも様々な種類がある。導入目的と必要機能を明らかにし、最適なBIツールを選択することが重要だ。そのための1つの指標として、マイナビニュースが独自に考案した下記の分類を参考にしてほしい。ここではデータ処理がリアルタイムなのかバッチ(一括)なのか、またBIによって状況を把握したいのか新たな知見を発見したいのかの2軸によって、BIツールを「①バッチ 発見型」「リアル 発見型」「③バッチ 把握型」「④リアル 把握型」の4つに分類している。

  • BIツールの分類

    BIツールの分類

課題に合わせた、BIツールの選び方

各分類のBIツールが、どういった課題や用途に際して有効なのか。マーケティング分析を例に、簡単にまとめてみよう。

①バッチ 発見型 データを深く分析し、キャンペーン・チャネル施策を計画したい
②リアル 発見型 PDCAを短期間でまわしながらマーケティングを最適化したい
③バッチ 把握型 施策の成果や販売チャネルの動向を定点管理したい
④リアル 把握型 施策や販売チャネルの現状を常に確認したい

各分類の特徴を掴んでいただけただろうか。BIツールの検討、選定に際しては、自社のマーケティング分析に際してどの分類のものが求められているのか、あらかじめ整理したうえで選定することが重要だ。

ここからはBIツール13製品を取り上げ、どの分類に該当するのかを整理しながら紹介していきたい。