MAツールは大きく分けて2種類が存在している。ひとつは「BtoB(法人向け)」を主力とする企業向けの製品であり、もう一つは「BtoC(消費者向け)」を展開している企業向けの製品だ。ここでは両者の違いを解説するとともに、BtoB企業に適したMAツールを紹介しよう。

BtoBマーケティングは、BtoCとどう違うのか

「BtoB(法人向け)」ビジネスは、決済や意思決定者が複数おり、さらに購買者が利用者とは限らないことが特徴だ。購買までのプロセスを考えた場合、大きくは、購買を検討する製品を取り扱う企業の担当者と会う前、会った後に分けることができる。BtoBマーケティングにおいて、一昔前までは営業手法の見直しによって、この各プロセスを最適化することが重要視されてきた。しかし、インターネット環境が整備され、スマホなどのモバイルデバイスが普及したいま、Webを含む様々なチャネルを最適化することが、BtoBマーケティングでも求められるようになってきている。「BtoC(消費者向け)」マーケティングでは早くから取り組まれてきたこの潮流が、BtoBマーケティングにも流れ込んできたといえよう。  

BtoCとの比較でいえば、マーケティング対象となる数が圧倒的に少なく購買までの検討期間も長くかかるという反面、1つの受注あたりの利益はBtoBの方が大きいということを知っておきたい。これは、見込み客が顧客になった際の費用対効果が絶大であることと同義であり、ITシステムやMAツールを使うことによる相乗効果が望みやすいといえる。

参考: マーケティング・オートメーション(MA)とは?

BtoBマーケティングで求められる機能とは

BtoB企業がMAツールを活用する場合、まず注目すべきは、リード(見込み客)を獲得するための機能が充実しているかどうかという点だ。MAツールが担う役割の大部分が見込み顧客との関係構築となるため、顧客管理やそれに紐づく機能は欠かすことができない。有効なMAツールを選定すれば、たとえこれまで見込み客の管理がされていなかった企業であっても、データベース構築からシナリオ設計、分析に基づいたデータ抽出などによって、新規顧客の掘り起こしを早期に成功させることができるだろう。

こうした新規商談の創出を可能にするためには、目的とシナリオを十分に吟味し、自社の規模感、ビジネス対象、商材などを十分考慮して製品を選ぶことが求められる。最適なMAツールを選定するために、MAが支援する主な分野や機能を理解することは不可欠だ。MAツールが支援する分野は、大きくは「①顧客情報管理」「②1on1コミュニケーション」「③レポーティング」の3つに分類される。

① 顧客情報管理
顧客の情報を一元的に把握すること。獲得情報をDB化し、顧客の基本企業が知りたい情報のほか、行動履歴などもまとめて把握することが可能になる。
機能 データ統合、スコアリング、ラベリング、カスタムフィールド、セグメンテーション、名刺連携など
②1on1コミュニケーション
顧客とのコミュニケーションや、そのシナリオを設計して実行すること。顧客・見込み顧客とのコミュニケーションを最適化するために、多くの機能が盛り込まれている。
機能 メール配信、シナリオ設計、Webプッシュ配信、ネイティブプッシュ配信、フォーム作成、ポップアップなど
③レポーティング
実施した施策の結果をレポートとして把握すること。レポーティングの多くを自動化することで、意思決定にかかわる分析により時間を割けるようになる。
機能 広告レポート、キャンペーンレポート、アトリビューション、トラッキングレポートなど

ここからはBtoBマーケティングに適したMAツール13製品を取り上げ、上にあげた中の分野に長けた製品なのかを交えて紹介していきたい。