あらゆる企業にとっての常なる課題、それはコスト削減と業務の効率化だ。この課題を解決するためには、現場業務を細かく見直して無駄を省いていくというのがひとつの方法だ。あるいは革新的なソリューションを導入して、すべてを一気に変えてしまう荒療治も選択肢のひとつだろう。しかし前者の方法では短期間で大きな効果を上げることが難しく、後者は新しいやり方に慣れるまで、現場に大きな負担を強いることになる。
こうしたジレンマを解消するのがドキュメントワークフローシステムCreate!Webフローだ。どんな企業にも存在する決裁や稟議、申請といったドキュメントワークフローの領域で、これまで通りの業務手法を踏襲しつつ、コスト削減と効率化を一気に実現する。
2004年の初リリース以降、市場で高い評価を得てきたCreate!Webフローが、2018年6月、約5年ぶりの大幅リニューアルを遂げた。これまでとは違うアプローチでリニューアルが図られたということだが、どんな仕上がりになっているのだろうか。同製品の開発に携わるインフォテック プロダクトソリューション統括部 プロダクトソリューショングループ マネージャ 小久保 政樹氏に聞いた。
ワークフローの電子化で、効率向上やコンプライアンスの強化を実現
リニューアル内容を説明する前に、まずドキュメントワークフローシステムCreate!Webフローの概要を解説する。Create!Webフローは、紙の申請書を電子でワークフロー化する「電紙決裁」というコンセプトにもとづき、紙による申請・決裁業務を忠実に再現したワークフローシステムだ。システム上でやりとりが行えるため、何人もいる承認者や決裁者の間を、紙の申請書を携えて歩き回る必要がなくなり、ペーパーレス化が図れる。また承認の過程が記録として残るので、コンプライアンスの強化にも効果がある。
小久保氏は2004年のリリース開始当時を振り返って、こう語る。
「発売開始後ちょうど"日本版SOX法"が話題となり、内部統制という言葉が注目を集めていた時期でした。企業内で行われている承認・決裁が、きちんと決裁権限規定に則っているかどうか監査できるよう、エビデンスを残す必要性が大きくなり始めたのです」
ワークフローシステムを電子化する製品は他社からもリリースされていたが、Create!Webフローはその使いやすさが高い評価を得て、次々と採用企業を増やしていった。
紙とデジタル、双方のメリットをあわせ持つCreate!Webフロー
ここではCreate!Webフローの操作方法と機能の概要を、稟議書の申請から決裁の過程を例に、ユーザーの視点から見ていこう。
ユーザーがCreate!Webフローにログインすると、まず図1のような画面が表示される。そのユーザーが申請できる「申請フォーム」はカテゴリごとに整理され、画面の右側から探し出すことができる。「稟議書」をクリックすると、紙の申請書と同様にデザインされたフォームが表示され、ここに必要項目を入力する。リストボックスによるサポートもあり、簡単に入力できることが分かるだろう。入力後「申請する」ボタンを押すと申請が完了する。
申請があったことは承認者にメールで通知されると同時に、承認者のユーザー画面に「処理待ち」として表示される。承認者がこれを選択すると、承認フォームが開く。内容に問題がないことを確認して「承認する」ボタンを押せば、紙の申請書と同じように承認者印(電子印影)が埋め込まれ(図2)、次の承認者へと送られる。これを承認者の人数だけ繰り返し、最終的に決裁を下すという仕組みだ。
申請書の見た目も承認の流れも、紙の書類が決裁箱を通って承認されていくのと同じように処理されているものの、実際の紙を使用しないので、用紙のコスト、書類が物理的に移動する時間、決裁された申請書を保管するスペースなどは不要となり、コスト削減と効率化が実現する。また書類が途中で紛失するリスクが解消でき、承認がどこまで進んでいるかを画面で確認できるというメリットもある。
申請書ごとに「使用権限」「承認ルート」を設定できるため、承認者が「この申請書は次にどこに回せばいいのか」迷うことはなくなり、規定通りに承認・決裁が進められるようになる。規定によらず案件によって承認者を変更したい場合は、ルートの変更ができる機能まで用意されている。さらに文書管理システム、営業支援システムなどと連携させることで、決裁されたドキュメントの内容をICT資産としても活用できるようになる。
ユーザーにとってだけでなく、導入やワークフローの設定、フォームのデザインなどに携わるシステム管理者にとっても、Create!Webフローは「使いやすくシンプル」に設計されている。たとえばフォームの作成には、インフォテックが開発している帳票設計・出力ソリューションCreate!Formのノウハウが活かされ、誰でも簡単に完成させられる。またあらかじめ登録された企業情報の構成をもとに、画面上で申請者、承認者、決裁者のアイコンをラインでつなぐことで、承認ルートを設定できる。さらにほかのシステムとの連携には豊富な機能やオプションが用意されている。