「働き方改革」への取り組みの必要性が叫ばれるなか、IT部門はその実現にどうやって貢献していくべきなのだろうか。「まずは現場の状況を把握して、その効率化に役立つプロセスの検討やシステムの導入、運用支援が必要」という一般論はわかっていても、多忙を極める現場にどう切り出すべきか、どんな策を提案・実施すべきか、そして結果を急ぐ上層部をどう説得すべきかなど、具体的な手法に悩み、なかなか着手に踏み切れないという方も多いのではなかろうか。
こうした悩みを解決に導くために、マイナビとDell EMC、ネットワンシステムズは「情シスは働き方改革にどう関わる…? IT部門が業務効率化に貢献するノウハウを紹介! 」と題したセミナーを、6月8日(金)に大阪で、6月13日(水)に新宿で開催する。
本稿では、両セミナーで「ITを活用した働き方改革の勘所~IT部門次第で会社も仕事も大きく変わる!!」と題した基調講演を行う積水ハウス IT業務部 部長 上田 和巳氏を訪ね、IT部門が業務改善に携わるにあたって心がけるべきことを聞いた。上田氏が所属するIT業務部は、2017年度には公益社団法人 企業情報化協会が主催するIT賞で「ITマネジメント賞」を受賞するなど、住宅・建築以外の業界からも注目を集めている。
積極的な仕事で、下請け的ポジションを脱却
「情シスやIT部門というと、企画や運営といったユーザー部門に『こういうものを作って欲しい』とか『こういうシステムを導入して欲しい』と言われて事にあたる、いわば下請け的なイメージがあります。企業によっては、システム導入後の運用・管理はユーザー部門が取り仕切り、IT部門の関与が難しかったり、開発・選定時にIT部門が考えていた意図や利用法がユーザー部門に伝わりきらず、使ってもらうことすらなかったり……という話も聞きます。こうした状況では成果も出せないし、スタッフに達成感が生まれないでしょう」(上田氏)
IT部門の現状をそう推察しながら、上田氏は、IT部門は「おせっかい」なほど積極的であるべきではないかと語る。
「当社の場合は、独自開発のアプリが現場から『使いにくい』と言われると、できるだけ早く直して『使ってください』と再提案します。これを繰り返しているうちに、本当に使いやすいものができてきて、現場でも受け入れてもらえるようになるわけです」(上田氏)
システムを完全に現場に落とし込むところまで携わり続ける積極性。積水ハウスIT業務部はこの姿勢を持ち続けたことで、下請け的存在から働き方改革の旗手へと、社内でのポジションを押し上げていくことができたのだという。こうした対応に至ったきっかけのひとつは、東日本大震災時の対応だったという。
地震発生後、アフターサービス部門からIT業務部に「被災エリアのオーナーリストを出して欲しい」との要望があった。最初は言われるがまま、データベースの情報を提供していたが、IT業務部では「こういうリストを求めてくるということは、建物の状況把握や検査、お見舞いのために現場へ行こうとしているのだろう」と考えを巡らせたのだという。そしてよりリスクの高いエリア・オーナー様を特定するとともに、現場へ向かう社員の二次被害を予防するため、各地の地盤強度や土砂崩れの危険性が分かるハザードマップに、積水ハウスが手がけた建物の位置をマッピングしたデータを渡すようにしたのだ。
「震災というイレギュラーな要因によって、底力が試された気がしました。それ以降は言われたことだけではなく、できることはやっていかなければという意識が部内でも大きくなってきました。システム構築に携わっているので、どこの部署にどういうデータがあるか、それらを使えばどんなことができるかがわかっていますから、一歩前に出てそれらを積極的に提案していけば、もっといい効果が生み出せると考えるようになりました」
前向きさを増した仕事ぶりに、他部門も「ITでそんなこともできるんだ」「データからそんなことも分かるんだ」など、IT業務部が持つ可能性を認識するようになり、困りごとがあれば相談を持ちかけてくれるようになったという。
企業内の各部門を取り持てるIT部門の立場を利用する
現場、経営層、間接部門とすべて近い距離にあり、なおかつ利害関係が少ないIT部門が、客観的立場から各部・各層の間を取り持つことで、企業活動の流れを円滑にすることができる、と上田氏は言う。こうした役割を積極的に担うことで、IT部門が働き方改革を牽引することも可能となってくるのだ。
その実現のためには、IT部門が現場や経営のことを知るように務める必要がある。積水ハウスIT業務部では2017年から、全国に200以上ある支店を部員全員で手分けして周り、現場監督や設計担当、営業担当らにヒアリングを行う通称「キャラバン」などを展開して、これに取り組んでいる。
「IT部門は本来、専門職が集まった部門です。工場システム担当は工場だけ、営業システム担当は営業だけを見ていれば問題はありませんし、誰も疑問を感じないでしょう。ただ企業内の課題は複数部門にまたがっていることも多いものです。他部門のことを知って『おせっかい』に口を出す人がいた方が、スムースに事が運ぶこともあるといえます」
セミナーでは、こうした上田氏の経験に基づく意識改革やIT部門が果たすべき役割、さらに実際に積水ハウスが取り組んでいる働き方改革の具体的な手法などが語られる。またIT基盤構築を手がけると同時に、自社内でも働き方改革推進プロジェクトに取り組んでいるネットワンシステムズ、そしてDell EMCから、働き方改革の推進を支えるITインフラソリューションの紹介も行われる予定だ。働き方改革にいかに貢献すべきかお悩みの方は、ぜひご参加いただきたい。
セミナー詳細
タイトル:情シスは働き方改革にどう関わる…? IT部門が業務効率化に貢献するノウハウを紹介! セミナー
■大阪会場
開催日時:2018年6月8日(金) 14:00~16:50 (受付13:30~)
会場:グランフロント大阪 タワーA 31F-F
住所:〒530-0011 大阪府大阪市北区大深町4番20号
参加費:無料(事前登録制)
定員:50名
■東京会場
開催日時:2018年6月13日(水) 14:00~16:50 (受付13:30~)
会場:JR新宿ミライナタワー 12F マイナビルームB
住所:〒160-0022 東京都新宿区新宿4丁目1番6号
参加費:無料(事前登録制)
定員:100名
[PR]提供:Dell EMC,ネットワンシステムズ