ビジネスにおいて、その簡便さからファイルの受け渡しやデータ管理をクラウドサービスで行っている、という人は多い。しかし、企業によってはデータ管理を外部に預けることができなかったり、扱うファイルの大きさに制限があったりと、厳しいセキュリティポリシーに不便さを感じている人も多いのではないだろうか。しかし、ファイル共有はもちろん、データ容量の制限なく、高いセキュリティでファイルの送受信が手軽にできてしまうファイルサーバがあるとしたら使わない手はない。今回はそんなニーズに応えてくれるサービスについて紹介したいと思う。

データ消失、破損は身近なリスクだ

ビジネスにおいて、顧客への提案資料や社内報告書、あるいは画像や動画など、日々増えていく各種データ。その種類も用途も実に様々だが、これらのデータはなくてはならないものである。

そうした中、ある日突然それらの重要なデータが消えてしまったとしたら……

経験したことのない方にとっては「自分に限っては大丈夫」と考えがちではあるが、実際にはデータの消失や破損は誰にでも起こりうるリスクであり、その要因の約70%はヒューマンエラーとハードウェア障害が占めているという(※ネットギア社調べ)。つまり、データの消失や破損は明日起こっても不思議ではない「身近なリスク」なのである。

こうした被害の範囲は、莫大だ。データ復旧に必要なコストはもちろん、取引先への報告や謝罪などの時間的負担、失った情報の拡散防止など、多方面に及ぶため、場合によっては企業ブランドを毀損するほどのインパクトを与える。

こうしたリスクを回避するソリューションとして、クラウドストレージの利用も進んでいる。しかし、そもそも企業の情報セキュリティポリシー上、データ管理を外部に預けることができない業種や、アップロードするデータ容量に制限があるケースはもちろん、大きなファイルのアップロードは可能でも時間が掛かりすぎて使い勝手が悪いなど、要件によってはなかなかクラウドサービスだけでは上手くいかないという例も多いのが実情だ。

このようなニーズをすべて叶えるには優れた可用性と柔軟な運用性、さらには高度なセキュリティなどが実現できるストレージソリューションが必要だ。ハードルの高い要件が並んでいるが、実は、たった一台のNAS(コンピュータネットワークに直接接続して使用するファイルサーバ)でこれらをすべて満たせる製品がある。それは、NETGEARが提供しているReadyNASシリーズなのだ。

  • ReadyNAS424

自社運用のNASで実現する「自前クラウドサービス」

NETGEARのReadyNAS製品は数多いが、そのすべてのラインアップで無償利用可能なサービスに「ReadyCloud」がある。これは同社が提供しているオンラインサービスで、NASは社内に設置したまま、社内ネットワーク外からも指定したフォルダやデータが簡単に共有または操作できる仕組みだ。ReadyNASに保存した大容量ファイルのウェブリンクを作成できるため、ファイル容量の制限で共有が難しかったデータの送付が可能になる。セキュリティの観点から外部のストレージサービスが使えない企業でもセキュアな環境でデータ共有がしやすくなるメリットがある。いわば「自前のクラウド」と言ってもよいほど使い勝手が良いのだ。

さらに、このサービスでは、PC用はもちろん、iOS、Android用としても専用のアプリが提供されている。ファイル共有にあたって、特別な操作は不要で、一般的なクラウドサービス同様、自分の端末内でデータを扱うような直感的でかんたんな操作で、外出先からでも各種ファイルやフォルダが扱えるのが最大の特長だ。

運用上の規定やポリシーなどは設ける必要はあるだろうが、これまでできなかった「自前クラウドサービス」によるデータ管理は、ビジネスの業務効率向上に大いに役立つはずだ。

  • こちらがReadyCloudのイメージ。NETGEARが提供するサービスを経由することで物理ネットワークの外でも、NAS内のデータを「自前クラウド」のように扱うことができる

サーバ管理者の負担も大きく軽減

ReadyNASシリーズはNASを運用する管理者にとっても、その負荷を大きく軽減する機能やサービスを持っている。それがブラウザベースのGUIでの手軽かつ高度な管理機能を提供する「ReadyNAS OS」と、外出先からでもNASの管理が行えるアプリ「NETGEAR Insight」(以下、Insight)だ。

ReadyNAS OSは、NETGEARがこれまで培ってきたノウハウをベースに、操作性と管理性を両立したGUIによる操作でNASを管理する機能を提供するブラウザベースのシステムだ。初めて利用する方でも直感的に管理ができる仕様なので、例えば情シス担当者がおらず、他業務と兼任されている管理者でも高い管理性を実現できる。管理画面は全機種共通となっており、ディレクトリの作成をはじめ、ユーザー別のアクセス権限設定など、ビジネス用NASに必要な機能はほぼすべてが簡単に操作できる。

  • 後述するReadyCloudから管理画面を呼び出すこともできる。対象のNASを選んで右クリックメニュー(上図)から「管理者ページ(下図)」を選択すればよい

  • ReadyNAS OSのGUI。NASのあらゆる管理や設定はこのツールから行うことができる。クラウド機能を使う際は「クラウド」タブをクリック

また、兼任管理者を悩ます事象のひとつに、「外出中の緊急トラブル」があげられる。

そのような時に便利なのがInsightだ。スマートフォンやタブレットPCからReadyNASの管理画面が操作できるアプリで、基本的な管理機能を、場所や時間を問わず、いつでもどこからでも扱うことが可能になる。

  • Insight(iPhone版)。主な管理機能がリモートで扱えるようになるため、多忙な兼任管理者には最適なアプリになる

  • 例えば、フライト直前の待合室でもNASの管理ができる