オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパンは4月19日、「オスラム オプトセミコンダクターズ LED セミナー」を開催する。本セミナーでは、可視光・赤外LED、レーザーなど光デバイスを用いた製品開発、研究、マーケティングに携わる幅広い層に向けて、同社の最新技術と製品を詳しく解説していく予定だ。

本稿では、当日登壇するセミナー講師への取材をもとに、同社の「一般照明用LED事業」および幅広い分野にLED製品を展開していく「マルチマーケット事業」の最新動向を紹介する。

LED照明のキーワードは「ハイパワー」と「植物育成」

オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン ジェネラルライティング マーケティング アシスタントマネージャー 佐藤 信宏氏

オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン ジェネラルライティング マーケティング アシスタントマネージャー 佐藤 信宏氏

今回のセミナーは「ハイパワー」と「植物育成」という2つのキーワードにフォーカスした内容になる予定だ。この点について、オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン ジェネラルライティング マーケティング アシスタントマネージャー 佐藤 信宏氏に話を伺った。

オスラム オプトセミコンダクターズのハイパワーLED製品は、車載向けを中心に長年の実績を持っているが、最近では車載向け製品で蓄積してきたチップ製造技術やパッケージング材料技術などを一般照明用途でも展開している。ハイパワーLEDの製品群としては「OSLON」、「OSCONIQ」などのシリーズがあり、主に道路灯やトンネル、イルミネーションなど、屋外での採用が広がっている。なお、「OSLON」シリーズはセラミック基板、「OSCONIQ」シリーズは樹脂基板を使用している。

セラミック基板の製品は、性能を重視した標準的なハイパワー製品であるが、性能と同時にコストパフォーマンスを重視するニーズも強まっている。樹脂基板の「OSCONIQ」シリーズは、こうした低コスト化ニーズに対応しつつ、価格あたりの光束(lm/$)を高めた製品である。

「樹脂基板のハイパワーLEDについては、既に車載分野で長期使用での信頼性が確立されています。その技術を一般照明分野に展開しているというわけです」(佐藤氏)

さらに、ハイパワーLEDの代表的な性能としては、「OSLON Square」の第3世代で320lm(164lm/W)といった値を実現しており、業界でもトップレベルの高光束・高効率の製品を提供しているといえる。

「セミナーでは、ハイパワーLEDの具体的な使用事例や製品の詳しい紹介、今後の性能向上についての見通しなどを説明する予定です。ハイパワー分野については業界の中でも常に最先端の製品を出し続けていくことをアピールしたいと考えています」(佐藤氏)

一般照明用LED事業のもうひとつのテーマは植物育成だ。植物育成用LEDの国内市場は植物工場の新設などにより今後も大きく拡大が見込まれる領域である。この植物育成用LEDにおいては、青色光と赤色光の波長が鍵を握る。波長でいうと青は450nm(ディープブルー)、赤は660nm(ハイパーレッド)と730nm(ファーレッド)といった光が使われる。植物の種類や、育成したい部位によって、青と赤の成分比や照射時間をコントロールする。同社ではさまざまなカラーバリエーションのLED製品を揃えており、植物育成に必要とされるこれらの波長をすべてカバーしているという。

「一般的に赤い波長の光は高出力化が難しいのですが、当社の場合、赤外LEDなど可視光の赤よりもさらに長波長側の製品を長年手がけています。その技術があるため、可視光の赤についてもハイパワーの製品を提供できるようになっています」(佐藤氏)

ハイパワー製品では「OSLON SSL」「OSLON Square」などが植物育成用に利用されており、これらは大規模な植物工場での使用を想定。LEDの個数を減らしても植物育成が可能になるような高出力の製品として訴求していくという。また、配光角についても80°のものと、より広い150°の製品が用意されており、必要に応じて使い分けることができる。ミドルパワー製品では「OSCONIQ」シリーズが、植物育成向けのカラーバリエーションを揃えている。

大規模な植物工場で使用されるLED照明だけでなく植物育成の新規市場として同社が注目しているのが、家庭のキッチンに置けるような小型植物育成キットであるという。

家庭用キットで使われるLEDには、大規模植物工場向けに比べるとより低価格の製品が求められる。こうした要求に対しては、1つのパッケージで植物の育成に必要な波長を網羅し、コストパフォーマンスを向上させた製品などを提供していくという。

  • 植物育成向けLEDには3種類の配光角がある

    植物育成向けLEDには3種類の配光角がある

「セミナーでは、LEDを使った植物育成に関心のあるお客様や、これから植物育成をはじめたいと考えている方に対して、必要なアプリケーションの紹介や光源選定の方法などをお話させていただく予定です」(佐藤氏)

LED利用の裾野を広げる「マルチマーケット事業」

オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン インダストリー&モバイルデバイス マーケティング シニアマネージャー 吉村 淳氏

オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン インダストリー&モバイルデバイス マーケティング シニアマネージャー 吉村 淳氏

同社の「マルチマーケット事業」は、車載用途と一般照明以外の多岐にわたる領域において可視光LED製品を展開している。これについては、オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン インダストリー&モバイルデバイス マーケティング シニアマネージャー 吉村 淳氏に話を伺った。

マルチマーケットの主要な事業分野としては、「プロジェクション/ステージ」「ウェアラブル」「サイン/シグナル」「ホワイトグッズ/ゲーミング」「トランスポーテーションエクステリア」「バックライト/モバイルフラッシュ」「マスマーケット/ディストリビューション」「チップセールス」などがある。

「当社では、これまでいくつかの産業分野についてセグメント分けした事業体制をとってきましたが、それらをマルチマーケット事業としてひとつにまとめるという組織変更を行いました。LEDというのは非常に幅広く使われるものですから、特定の強いアプリケーションだけに注力するのではなく、LED利用の裾野を広げるというのがその狙いです」(吉村氏)

  • マルチマーケット事業 主要事業分野

    マルチマーケット事業 主要事業分野

ここで、それぞれの事業分野を簡単に紹介したい。

1.「プロジェクション/ステージ」事業
プロジェクター光源、舞台演出照明、建築用途などに使われる可視光LEDを扱う。RGBの三原色を揃えて、出力もハイパワーが求められる分野である。

2.「ウェアラブル」事業
テキスタイル向けのLED、AR(拡張現実)/MR(複合現実)用途のメガネ型デバイスのLED光源などを扱う。これらにもプロジェクション分野の技術が応用されている。

3.「サイン/シグナル」事業
表示機全般で使われるLEDを扱う。ビデオウォールなどの大型LEDディスプレイ、情報サイネージ、交通信号、緊急車両灯、工場アラーム灯など幅広いアプリケーションが含まれる。

4.「ホワイトグッズ/ゲーミング」事業
白物家電、パチンコ・アミューズメント、家庭用ゲーム機などで使われるLEDを扱う。

5.「トランスポーテーションエクステリア」事業
通常の自動車以外の乗り物(特殊作業車両、バス、電車、航空機、農耕機、2輪車両など)の外装用LEDを扱う。また、自動車用途についても、カー用品店で販売されるアフターマーケット製品についてはマルチマーケット事業に含まれている。

6.「バックライト/モバイルフラッシュ」事業
液晶モニター表示部のバックライト光源、カメラフラッシュ、イルミネーション、モバイル機器のフラッシュなどに使われるLEDを扱う。

7.「マスマーケット/ディストリビューション」事業
上記以外の多種多様な市場で使われる光源を扱う。日本市場について言えば、医療機器、FA機器、都市インフラ設備といった分野もLEDの重要なアプリケーションとなっているので、こうした市場へ向けても同社製品を訴求していく狙いがあるという。

このようにLEDの用途は多岐にわたるが、製品群の大きな区分としては「ハイパワー」と「ローパワー」の2つに整理することができる。上記事業の中で、ハイパワー製品が特に多く使われるのはプロジェクション/ステージ、トランスポーテーションエクステリア、フラッシュなどである。また、マスマーケット/ディストリビューションに含まれる医療機器やFA機器、ウェアラブルにおけるメガネ型デバイスの光源などにもハイパワー製品が使われる。

一方で、バックライト用途、イルミネーションなどにはローパワー製品が使われる。大型LEDディスプレイは非常に大きなサイズであるが、1個1個のLEDは小さく、低電流のデバイスが使われるのでローパワー製品である。

「さまざまな用途がある中で、世界市場での注力エリアをあえて挙げるとすれば、プロジェクション、表示機、トランスポーテーション、チップセールスなどです。日本市場での注力エリアもほぼ同様ですが、その中でも特に表示機に注力しています。2020年の東京オリンピックに向けて、日本では大型のパブリックビューイング設置などもこれから活発化すると期待しています。なお、今回のセミナーにおいて表示機用LEDのキーワードは、ナローピッチです」(吉村氏)

同社のナローピッチ製品としては、デバイス寸法0.8mm角、実装時のデバイス間ピッチは1.25mmといった値のものが実現している。RGB三原色にも対応しており、高精細な屋外ディスプレイとして利用できる。一時的なパブリックビューイングなどの場合、持ち運び可能なサイズの表示用モジュールを現地でタイルのように多数つなげて大画面のディスプレイを設置する方法がとられる。

  • 持ち運び可能な大型LEDディスプレイ用モジュール

    持ち運び可能な大型LEDディスプレイ用モジュール

同社の主要ビジネスはLEDチップの提供であり、それを実際にナローピッチで配列して表示用モジュールに組み上げるのは顧客側である。ただし、より付加価値の高い製品を作るという観点から今後は、チップの製造販売だけでなくモジュール化した製品の提供なども視野に入れている。

セミナー当日は、本稿で紹介した各種のLEDアプリケーションについて、具体的な事例の紹介や詳細な技術解説などが行われる。また、セミナー会場では同社のLED製品の展示会も開催される予定なので、ぜひ足を運んでみてほしい。

【東京】4月19日(木) 13:30~17:00(受付開始 13:00)
会場:ベルサール東京日本橋
【大阪】4月25日(水) 13:30~17:00(受付開始 13:00)
会場:グランフロント大阪

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[PR]提供:オスラム オプトセミコンダクターズ ジャパン