サプライチェーンは“単なる倉庫”から“主導権を握る鍵”に

製造業 Session 2に登壇した、クリックテック・ジャパン ソリューション・コンサルティング部 シニア・ソリューション・アーキテクトの川畑英貴氏は、「製造業分野におけるデータ分析・利活用の課題と対策」と題した講演を行った。

  • クリックテック・ジャパン ソリューション・コンサルティング部
    シニア・ソリューション・アーキテクト 川畑英貴氏

1993年にスウェーデンのルンドで創業したQlikは、インメモリの高速レスポンスと連想技術により、思考の流れが途切れることのないデータ探索を実現した企業だ。その実績は高く評価され、ワールドワイドで4万5000社もの顧客と、1700のパートナー企業を有している。

「異なるユーザー層の多彩な分析ニーズにどうやって対応していくか、洞察や気付きを得るために、多様かつ複雑なデータをいかに効率的に活用へと導けるか、管理性やコストなどの観点からどのように適材適所のデプロイメントを実施していくかが重要です」と川畑氏はセルフサービスBI検討におけるポイントについて語る。そして、これらの適切な答えを導き出すソリューションとして紹介したのがデータ・アナリティクス・プラットフォーム「Qlik」だ。

Qlikを使うと、ダッシュボードやセルフサービスBIはもちろん、モバイル分析やカスタム分析、チャート埋め込み、定型帳票、地理空間分析、統計解析に至るまで、企業の意思決定に必要なあらゆる情報を可視化することが可能。日本においても、ファイナンス、マーケティング、人事、オペレーション、サプライチェーン、セールスなど各業務において数多くの実績を誇っている。

「サプライチェーンでの導入は、もっとも一般的なユースケースのひとつです。サプライチェーンは、これまで単なる倉庫でしかありませんでした。しかし現在では、サービスの向上とビジネスの成長を促進するうえで、あらゆるビジネスのイニシアチブをとるのにも必要不可欠な前提条件といえます。また消費者側には、自分の都合に合わせて商品を配送してもらいたい、という要求もあります。これらを満たすべく、各企業では先進的なロボットシステムを導入するなどテクノロジとサービスが従来の常識を破壊し、一方通行だったサプライチェーンが動的につながったものになりました。こうした状況下において活躍するのが、どのようなソースでも迅速にサプライチェーンのデータとして利用可能にするQlikです」(川畑氏)

サプライチェーンにおける多様な課題を「Qlik」で解決

サプライチェーンにおける主な課題としては、複数部門にまたがるため要素が多元的になり、システムが複雑化することが挙げられる。さらにシステムの複雑化は、顧客ニーズを満たすための対策、改善の遅れに加え、複数のサプライヤーやステークホルダーと情報共有方法の統一が難しい、といった課題も発生させてしまうのだ。

「これらの課題に共通しているのは"データ"です。サプライチェーンを変革するリーダーは、アナリティクスによって生データを詳細な洞察へと変え、この洞察を活用してサプライチェーンの変革を図っています。こうした変革をサポートするQlikは、ビジュアルアナリティクスによって多様なソースのデータに対する素早い関連付け、サプライチェーン全体におけるエンドツーエンドの可視化、ユーザーがどこからでも必要な情報を利用できる情報展開の加速などを可能にします」と語る川畑氏は、続いてデモンストレーションを交えながら、サプライチェーンにおけるQlikの活用例を紹介した。

Qlikの活用例としてまず挙げられたのが、予測と計画だ。優れた販売計画と需給計画、在庫計画を立てるには組織を横断した連携が必要だ。Qlikを使えば複雑なデータ共有およびコラボレーションが可能となる。予測精度の向上、顧客需要への的確な対応、適正在庫の実現、生産性向上、利益拡大を実現することができる。

調達およびサプライヤーのパフォーマンスが見える化できるのもポイントだ。見える化は、効率の高い調達に欠かせない条件といえる。そこでQlikでは、サプライヤーの配送やコスト、サービスパフォーマンスをモニターし、SKU別調達価格、納期遵守率、リードタイム、契約分析、不具合発生率などを見やすく表示してくれる。

Qlikを使えば、生産状況の把握も容易に行える。ビジュアル分析によって作業現場からバックオフィスまであらゆるデータが表示できるため、生産計画の策定、品質改善、コスト抑制、資産管理、さらに効率向上が可能となる。

加えて、Qlikにより需給サイクルの全体が見える化され、製品の保管と移動が最適化できるのもポイントだ。在庫管理、倉庫・配送センターのオペレーション、ピッキング精度と満載率、スループット分析、オーダーから発送までの履歴など、低コストの物流オペレーションを実現するうえで必要な情報がすべてそろっているのである。

さらにQlikは、運送と物流に関しても大きな強みを発揮する。コスト効率や輸送キャパシティをモニターし、最適な輸送方法と業者が選べるのはもちろん、さまざまな国の関税や保安基準、環境要件などのコンプライアンスと納期遵守を確保することが可能だ。

さまざまなデータ活用ニーズにも対応

ここで川端氏は、実際の導入事例とその効果を紹介した。フォルクスワーゲングループのAudiでは、従業員がシステム全体の中で果たすべき個人の役割をより意識するため、Qlikを用いた継続的な改善プロセスを構築した。自動車には1台あたり何百もの部品が用いられており、生産プロセスをスムーズに稼働させるには効果的な物流プロセスが不可欠となる。そこでQlikを導入した結果、生産用部品の納品精度が98.5%にまで向上したという。

また、民間軍事会社の米DynCorpでは、Qlikの導入でサプライチェーンに関するパフォーマンス情報の一元化を確立した。すべての現場における可視性の向上で迅速かつ的確な意思決定が可能になったほか、より効果的なリソースの活用、サプライチェーンのチームが持つ価値の拡大、世界中のビジネス部門を巻き込んだダッシュボードの利用や適切な条件によるフィルタリングの実行などを実現。出荷を含めて、オンタイムデリバリが22%増加したそうだ。

さらに川畑氏は、さまざまなデータ活用ニーズへの対応として、ポータルサイトへのチャートの埋め込みやカスタムのウェブ分析アプリケーションが作成できるセルフサービス型のデータ分析プラットフォーム「Qlik Sense」、BIツール「QlikView」とQlik Senseのための帳票・レポーティングプラットフォーム「Qlik NPrinting」、マップビジュアライゼーションを可能にする地理的分析ツール「Qlik GeoAnalytics」、R言語やPythonと連携する統計解析・機械学習ツール「Qlik Advanced Analytics」などを紹介。また、データウェアハウスに依存することなく多様なデータが活用できる点に加えて、豊富な接続性と迅速なデータ活用、シンプルさと複雑性の両方にワンツールで対応する柔軟性、データガバナンスへの対応といったメリットを強調した。最後に川畑氏は、

Qlikはオンプレミスだけでなく、同社が提供するクラウドサービス上で運用する『Qlik Sense Cloud』、さらに他社クラウドサービスのインスタンス上で運用する『Qlik in the Cloud』と、ハイブリッドなデプロイメントの選択肢を用意していると説明。「無償・無期限でお使いいただけるパーソナル版もご提供していますので、ぜひお試しください」と講演を締めくくった。

Qlik 2018年BIトレンドウェビナー 1月24日14時開催

日時:1月24日(水) 14時開催
タイトル:2018年のトップBIトレンド データの脱サイロ化(日本語吹替え)
概要:毎年年初に実施する、今年のBI市場を予測しいち早く皆様にお届けすることを目的とした、「2018 年のトップ BI トレンド」を開催。今年のテーマは「データの脱サイロ化」と題して、前 Gartner アナリストである、ダン サマー氏(Dan Sommer) が、2018 年が "データの脱サイロ化" の年となる理由を説明する。
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Qlik Visualize Your World Tokyo 2017
ハイライトウェビナー 配信中

「Visualize Your World Tokyo 2017 ハイライト」では、10月5日に表参道で開催されたイベントの一部セッションをウェビナー形式で紹介。このウェビナーでは、Qlikの2020年に向けたロードマップや戦略に関する基調講演、サプライチェーン、営業、マーケティングといった分野別セッション、またビッグデータやR&Pythonなどのテーマ別など全8セッションの視聴が無料。
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