2017年10月19日、名古屋において製造業向けのセミナー「次世代3Dテクノロジーで変える未来のものづくり~世界で勝てる製造業への道しるべ~」が開催された。ITをはじめとしたテクノロジーの進化によって、製造業におけるビジネスプロセスは大きく変化している。急速に進むグローバル化に合わせ、これからの時代の“ものづくり”において重要となる3D製造技術について、5人の登壇者が語ってくれた。前編では、日刊工業新聞社 板崎英士氏とダッソー・システムズ 山本晃司氏による講演の内容をレポートする。
製造業を悩ませる人材不足を解消するために必要なプラットフォーム
本セミナーでは、ダッソー・システムズの提供する技術情報基盤である「3DEXPERIENCEプラットフォーム」が製造業のビジネスプロセスを効率化していく流れや、これからの製造業で重要な3D製造技術となるアディティブマニュファクチャリング(積層造形)について、5つのセッションを通じて詳細に解説。最初の登壇者となった日刊工業新聞社の板崎英士氏は、「ものづくりのあり方の変化、未来・展望」をテーマに、長年製造業のキーマンを取材してきた経験から見えてくる“ものづくり”の未来について講演した。
少子高齢化の影響もあり、現在の製造業において大きな問題となっているのは人材不足。その解消に向けて多くの企業がITの活用に取り組んでいる。IoTなどのテクノロジーを有効に活用して合理化を進めていくことが重要で、最近では中小規模の企業にもIoTという言葉は浸透してきていると板崎氏は語る。
経産省が提唱する「コネクテッド・インダストリーズ」から見えてくる日本の製造業の未来の姿は、サプライチェーン、エンジニアリングチェーンのすべてがつながることによる生産性の向上や新たな付加価値の創出だ。商品企画、製品設計、生産管理、流通、販売、保守、アフターサービスの情報を集約し、それを有効に分析・活用できる基盤(プラットフォーム)を構築することが、これからの時代を勝ち抜くためには重要となる。
板崎氏は、自動車産業の超大手企業に長年取材を続けてきたという。講演では、取材をしてきた製造現場での生の声から、これからの“ものづくり”変革に重要なポイントを指摘。新たなテクノロジーを導入する際には、それをどのように利用するのか、導入することでどのような成果が得られるのかを把握することが重要だと語った。
新たな時代の“ものづくり”を実現する「3DEXPERIENCEプラットフォーム」
そして、設計から製造・流通・販売・アフターサービスまでの情報を集約し、先進3Dテクノロジーを使って新たな時代の“ものづくり”を実現するための技術情報基盤が「3DEXPERIENCEプラットフォーム」となる。本セミナー2人目の登壇者となるダッソー・システムズの山本晃司氏は、製造業の課題を解決する「3DEXPERIENCEプラットフォーム」の仕組みをわかりやすく解説してくれた。
「現在を含めた今後10年において、陳腐化しないITの仕組み、設計の仕組み、生産技術の仕組みを構築するのは非常に大変な作業です」(山本氏)
エンドユーザーの要求が高度化・複雑化した現代において、今まで以上の付加価値、体験(エクスペリエンス)を生み出す“ものづくり”が重要となる。グローバル化による市場の多様性への対応や、一貫した製品品質を実現するためのグローバルな設計、調達、製造体制の構築も必要となり、従来のPDM、PLMによる情報管理プラットフォームでは対応できないという。新たな顧客体験を生み出す製品を作るには、マーケティング部門が取得した顧客や市場の生の声や、一見関連性がないように見える社内の情報など、さまざまなデータを活用することが必要。こういった製品開発情報管理を効率的に行うための"仕組み"が「3DEXPERIENCEプラットフォーム」となる。
「『3DEXPERIENCEプラットフォーム』は、企業の基幹システムとなり得る仕組みといえます。そのため、提供する側の持続性も重要となります」(山本氏)
山本氏が語るように、部門をまたいだリレーション、マネージメント、コンプライアンスを実現し、製品開発における数々の課題を解決する「3DEXPERIENCEプラットフォーム」は、企業の基幹システムとして重要な役割を担うものだ。提供する企業に業務の持続性がなければ更新やサポートが行われなくなり、導入企業のビジネスが揺らぎかねない。この点、フランス屈指の企業グループ、「グループ・ダッソー」の一員であるダッソー・システムズは、140カ国の12の業界に22万社にも及ぶ顧客企業を持ち、約12,000社のパートナー企業と協業する世界でも有数のグローバル企業。2016年の世界経済フォーラム(通称:ダボス会議)で発表された「世界で最も持続可能性のある企業100社」において第2位を獲得するなど、持続可能性に関する情報公開や財務の健全性に対する評価は極めて高い。このため、さまざまな業界のリーディングカンパニーが、安心して「3DEXPERIENCEプラットフォーム」の導入に踏み切っているという。
航空機メーカー「Dassault Aviation」からスタートし、現在は日刊紙のFigaroやワイナリーなども持つ複合企業としてグローバルにビジネスを展開している「グループ・ダッソー」。ダッソー・システムズが提供する3D CAD「CATIA」も、元は航空機の設計用に作成されたものという |
顧客体験(エクスペリエンス)を創造するために用意された機能群
「3DEXPERIENCEプラットフォーム」上では、CATIAやSOLIDWORKSなど最先端のアプリケーション群や豊富なコミュニケーションサービス群が密接にリンク。多様なデータをつなげるだけでなく、人と人をつなげ、プロセスもつなげてくれる。たとえば、製品の3Dデータを関連するプロジェクトのメンバーとWeb上で共有しながらレビューを進めるといったコラボレーション作業も、簡単に行えるようになるという。収集されたデータは、ダッシュボード上で確認することができ、プロジェクトステータスやタスクの進捗、リスク、予算、利益などを複合的な情報から可視化。アナリティクス機能による高度な分析で事業判断の迅速化もサポートする。
「3DEXPERIENCEプラットフォーム」は、バーチャルモデルによるシミュレーションや顧客エクスペリエンスの創造を実現する「モデルベースド」アプローチとデータに基づいて判断やアクションを実行する「データドリブン」アプローチで製造業の仕組みを変革する |
講演では、デモシナリオを使って「3DEXPERIENCEプラットフォーム」活用の流れを解説。データ、人、プロセスのすべてがつながることにより、業務において発生するさまざまな問題・課題を効率的に解決していく様を確認することができた。デジタルデータでの知見集約によるエクスペリエンス創造をはじめ、ベテラン技術者のノウハウ検証による、いわゆる"熟練者の勘"のデータ化や、必要なデータにすばやくアクセスできることによる経営判断の迅速化などにも対応する「3DEXPERIENCEプラットフォーム」の実力がはっきりと理解できるセッションとなっていた。
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