ネットギアは全世界トップクラスのシェアを誇る、中小企業向けネットワーク機器メーカーである。ビジネスに用いるデータが急速に膨張していく中で、ネットワークにはどのようなニーズが高まっているのか、ネットギアはどんな提案をしているのか。同社のストレージ製品を統括するシニアプロダクトラインマネージャー、ダグラス・チェン氏へのインタビューから、探っていきたい。
ネットワークストレージの現在
——いまの市場におけるネットワークストレージのトレンドについて教えて頂けますか。
10年前と比べると企業が保有するデータの量が爆発的に増加しており、その価値も増しています。その理由の1つとしては、「マルチメディアの一般化」が挙げられるでしょう。
かつてのビジネスは、ExcelやWordなどのドキュメントや、給与計算に必要な事務データなどを扱うことがほとんどでしたが、今では多くの企業が自ら画像・映像を編集するようになりました。我々のようなメーカーであっても、製品を紹介するビデオを製作してWebで公開しています。商品・サービスを説明するためのカタログとして、一般的な会社もマルチメディアを扱うようになっているのです。もはやドキュメントのデータは、全体の5%にすぎません。
こうした大容量化、多様化するファイルを格納するシステムには、従来はファイルサーバーを利用することが一般的でしたが、ここ数年はネットワークストレージの需要が非常に高まっています。たとえば、現在、セキュリティへの意識の高まりからネットワークカメラの普及が進んでいますが、設置されたカメラは常に動画データを作り続けているわけですから、それを保存するメディアとして大容量のネットワークストレージが必要になってきています。
——現在はクラウド上に大容量のデータを保管できるサービスも普及していますが、ローカルにネットワークストレージを持つメリットはなんでしょうか。
私たちの製品はクラウドサービスに反するものではありません。状況に応じてどちらも合わせて使う、ハイブリッド型を提案しています。たとえば、病院や法律事務所といった機密性の高い情報を扱う組織は、そのデータをローカルで扱うほうが適切でしょう。また、ローカルストレージは非常にスピードが速いため、複数人で動画などを編集する場合にも向いています。近年セキュリティへの意識の高まりからネットワークカメラの普及が進んでいますが、こうした常に作り続けられる大容量の映像ファイルを保存するストレージとしても、高性能なローカルストレージは適しています。
Milestone社との協業
——いま話に挙がったネットワークカメラ関連のトピックスとして、2017年8月には、Milestone社とのパートナーシップを開始されています。こちらのねらいについて教えて下さい。
Milestoneはビデオ監視システムのリーディングカンパニーであり、ネットギアは中小企業向けネットワーク機器の第一人者です。両社が手を結ぶことで、高付加価値のトータルソリューションを提供することが可能になります。
従来は、大手企業の工場や空港などの大規模施設に対するパブリックセキュリティ強化の需要が多かったですが、今では幼稚園や個人商店などでもネットワークカメラのニーズが増えています。こうした需要では、何よりも、高度な専門知識が無くても簡単に設置し、利用できるシステムが求められるのです。
Milestoneと我々はそんなユーザーに対して、「拡張性」と「データの保護」という二つの強いメリットを示すことができます。Milestoneの提供するIPカメラ管理ソフトウェアは、標準規格であるONVIFに対応していれば、どのタイプのカメラでも利用することができます。また、ネットギアのネットワークストレージ"ReadyNAS"はさまざまなラインナップを有していますから、データの保存期間を3ヶ月・半年・1年以上と選ぶことができます。ユーザーは自社に必要な容量にあわせてReadyNASを導入し、そこにMilestoneのアプリをダウンロードしてライセンスを登録するだけで、すぐに身の回りのセキュリティを高めることができます。
データ保護に関しても、我々はプロフェッショナルです。監視データはいつ必要になるか分からないものです。そのデータを常に護る仕組みを、ReadyNASは実装しています。
——"ReadyNAS"に実装されている「データを常に護る仕組み」とは具体的にどういうことでしょうか。
我々はまず「データはなぜ失われてしまうのか?」ということを徹底的に研究しました。その研究の結果、原因は次のように5段階に分かれます。
1.メカニカルエラー(ハードディスクは壊れやすい)
2.ヒューマンエラー(人の間違いは原因の約4割にも及ぶ)
3.サイバー攻撃(コンピューターウイルスやマルウェアなど)
4.ビットロット(長期間アクセスの無いデータは"腐敗"する)
5.システムダメージ(盗難や災害など)
こうした原因のすべてに対してネットギア製品は対策を施しています。例えばメカニカルエラーに対しては、HDDの増設に対応したRAIDである"X-RAID"によって、ディスクドライブの単体故障からデータを保護しています。ヒューマンエラーに対しては、実施回数無制限のスナップショットにより、いつでも変更前のデータに戻ることが可能です。ReadyNASにはアンチウィルスソフトが無償で搭載されていますし、ビットロットプロテクションといって自動的にデータ復旧する仕組みも備えています。さらに、ReadyNAS同士やパブリッククラウドと連携し、自動でバックアップする機能もあります。
こうした5段階の機能は、すべてのReadyNASに搭載されていますから、ユーザーは追加コストや工数なしにデータを護ることができるのです。ReadyNASの全自動クラウドバックアップはシステムに組み込まれていますから、ITに詳しい担当者がカスタマイズする必要もありません。
最新ReadyNASの特徴
——9月には新たにReadyNAS 2312をリリースされています。ユニークな特徴を持った製品だと感じましたが、同製品のコンセプトなどについて教えてください。
ネットワークストレージにおいてデータ保護は非常に大切な要素ですが、物理的な筐体サイズも重要なテーマです。中小企業のオフィスに設置できる場所は限られていますから、扱うデータが大きくなっているからといって、ストレージを巨大にしてはなりません。
最新のラックマウント型ネットワークストレージであるReadyNAS 2312は、1U(ラックユニット)サイズでありながら12ドライブベイを実現しています。通常の製品は1U4ベイですから、新型は同じ大きさで3倍の集積率だといえます。筐体を小さくすることには排熱などさまざまな問題が生じますが、それをクリアしてこれだけの高密度化を実現しています。これは20年以上に渡ってネットワークストレージの開発ノウハウを積み上げてきたからこその成果です。1U4ベイのストレージ製品を3つ購入する場合と比較して、ReadyNAS 2312は50%以上ものコストを削減することができるでしょう。データが大容量化する中、容量やスペースあたりの単価をローカル環境でも下げることができることは、特に中小企業においては大きな価値になると考えています。
ReadyNAS 2312
——最後に、ネットギアの今後のロードマップについて教えて下さい。
Milestoneと協業しつつ、ストレージの「セキュリティ」「容量」に関して継続的に発展させていきます。もちろん、パフォーマンスについても並行して改善を重ね、ユーザーに利便性の高い機器を常に提供していきます。
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