コンテンツのリッチ化などにより、個々のユーザーが使うネットワーク帯域は急増する中、中堅・中小企業でも10Gイーサネット導入の検討が本格化している。前回に引き続き、10Gスイッチと1Gスイッチの比較検証レポートを紹介する。
前回のレポート記事はこちら
背景編:中堅・中小企業のネットワークでも10Gスイッチが当たり前の時代に
中堅・中小企業に最適な2つの10Gスイッチで検証
今回、検証にはNETGEAR製の2つの10Gスイッチを用いた。1つはアンマネージプラス・スイッチシリーズに属する「XS708E」で、もう1つはスマートスイッチシリーズとなる「XS708T」である。どちらも、初めて10Gイーサネットを導入する中堅・中小企業に最適な製品だ。
シンプルでわかりやすいUIで、設定もこんなに簡単に!
「XS708E」の設定
XS708Eは、Webインターフェースに加えて完全日本語化されたユーティリティソフトからも設定が可能となっている。Webサイトからユーティリティソフト「ProSafe Plus Utility(Windows用)」をダウンロード+インストールして立ち上げると、ネットワークに接続されているアンマネージドプラス・スイッチの一覧が表示される。シンプルなUIかつ日本語対応なので、初見であってもまず操作に迷うことはないだろう。
ここで機器を選択すると管理画面へと移り、パスワードを入れて各機器設定にログインする。初期画面ではポートステータスが表示され、基本的にはAUTOに設定されている。もしポートを使わせない場合には、Disableに変更する |
「XS708T」の設定
XS708TはWeb GUIから各種設定が可能だ。ユーティリティソフト「SmartControlCenter」を起動すると管理トップ画面が表れ、接続されているスイッチの一覧が表示される。
機器のポートステータスは下の写真のように可視化して表示されるので、状況が一目瞭然でわかる。画面ではグリーン表示がUPステータスとなる。
XS708Tはスマートスイッチだが、アンマネージドプラス・スイッチと同様、ただケーブル差し込んで立ち上げるだけでもすぐに使用を開始することが可能だ。その後に細かい設定をしたければ、こうしていつでも自由に行うことができるのである。
10Gイーサでは文字通り"10倍"のスループットが!
それでは、実際の検証にうつっていこう。検証では、先の2つの10Gスイッチと合わせ、NETGEARのギガビットスマートスイッチ「GS108T」を用いた。検証内容は至ってシンプルで、仮想デスクトップ(VDI)のWindowsサーバーとNAS(RR4312)の間を各スイッチで並列に接続し、サーバー上の共有データをローカルにドラッグ&ドロップスする際の転送時間などベンチマークツール等を用いて比較するというものだ。10Gスイッチの接続は、VDIサーバーとの間を10GBASE-Tで行い、NASとの間は10GBASE-SR SFP+モジュールを用いた。
定番のベンチマークツールとWindowsタスクマネージャーのネットワークモニターを使って実験を行ったところ、1Gスイッチと10Gスイッチによる差が明確となる結果が得られた。
まず1Gスイッチでは、Read、Writeともに安定して1Gbpsの帯域をほぼ使い切っているのがわかる。この時の最大値はWriteの118MB/S(≒0.94Gbps)だった。
次に10Gスイッチを見てみると、最大値はWriteの1169MB/S(≒9.35Gbps)であり、規格通り1Gスイッチの10倍の速度が出ていた。
つまり、ギガビットイーサネットの環境では、明らかにネットワークがボトルネックとなっていたのだ。これが10Gイーサネットにしただけで、ボトルネックを解消して10倍ものスループットが得られるということもわかった。
つづいてNASから大量のファイル(10Gbyte)をVDIサーバー上の仮想クライアントのデスクトップにドロップ&ドロップしてみたところ、残念ながら今回の環境では10Gイーサネットの実力を測ることはできなかった。これは、これだけの大容量ファイルである場合、VDI環境のWindows側のHDDへの書き込み速度や、NICによる処理が限界となってしまうため、ネットワーク以外の部分で時間がかかってしまうからだと推測される。先のベンチマークの結果から、クライアントが複数となった場合(企業ではこのかたちが多い)には、Windows側の処理は分散されるため明らかな違いが出てくるはずだ。
今回の検証結果を踏まえて、低コストかつ容易に自社のIT環境のパフォーマンスを向上できる、10Gイーサネットへの移行をぜひ検討してみてはいかがだろうか。
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