ティントリのCTOである特権のひとつは、お客様やパートナー様と多くの時間を一緒に過ごせることにあります。そうしたたくさんの時間の中で、皆様がティントリのテクノロジをどのように活用しているか、何を重視しているかを、自分の目でしっかりと見極めることができます。その中で最近よく話題になるのが、「エンタープライズクラウド」です。
ティントリでは、今後も引き続きエンタープライズクラウドプラットフォームを拡張していくことにしています。そこで本稿では、ストレージとエンタープライズクラウドに関するブログシリーズの第1回目として、エンタープライズクラウドに対するティントリの見解について詳しくご説明したいと思います。
キー ポイント
- エンタープライズクラウドは、企業のそれぞれのニーズに応えるパブリッククラウドの俊敏性を提供
- 従来のエンタープライズアプリケーションは、クラウドネイティブアプリケーションと同様にサポートされる
- オンプレミス、サービスプロバイダー、パブリッククラウドのサービス提供がサポートされ、各モデル間の統合も可能
エンタープライズクラウドとは?
エンタープライズクラウドとは、簡単にいえば、パブリッククラウドと同じ俊敏性を提供するように設計された、企業のデータセンターに設置されるクラウドインフラストラクチャのことです。ティントリでは、エンタープライズクラウドを上の図のように定義しています。
クラウドの基本的な特徴
この図の一番上の部分は、米国国立標準技術研究所(NIST)によって定義されたクラウドの基本的な特徴を示したもので、「セルフサービス」「弾力性」「リソース共有」などがあります。エンタープライズクラウドは、これらの特徴、全てを満たしている必要があります。ティントリがこれらの要件の多くをどのように満たしているかは、今後の記事でご紹介します。
エンタープライズアプリケーションとクラウドネイティブアプリケーション
上の図の2列目以降が、エンタープライズクラウドの特徴です。エンタープライズクラウドでは、従来のエンタープライズアプリケーションとクラウドネイティブアプリケーションの、いずれも効率的に実行できる必要があります。
エンタープライズアプリケーションは、アプリケーションの実行基盤となるインフラストラクチャを想定したうえで、記述された既存のアプリケーションであることがほとんどです。例えば、エンタープライズアプリケーションによっては、VMwareやHyper-Vなどの仮想環境で実行されるものがあります。また、データ保護、障害復旧などのサービスが、そのアプリケーションの外部で提供されることを前提としているケースも少なくありません。その他のエンタープライズアプリケーションの例としては、自社開発アプリケーション、Exchange、SQL Server、Oracleなどの一般的なアプリケーションがあります。
一方、クラウドネイティブアプリケーションは、最初からAWSやAzureなどのクラウド環境で実行することを前提に構築されています。クラウドネイティブアプリケーションの例としては、モバイルアプリケーションやお客様向けのWebアプリケーションがあります。クラウドネイティブアプリケーションは拡張性に優れた設計になっていて、基盤となるインフラストラクチャをあまり想定せずに記述されています。
整理するとエンタープライズクラウドは、従来のエンタープライズアプリケーションで必要とされるインフラストラクチャとサービスを提供するものであると同時に、新しいアプリケーションであるクラウドネイティブアプリケーションも実行できる必要があります。多くの場合、パブリッククラウドでもエンタープライズアプリケーションを実行できますが、アプリケーションで必要とされる基本機能の一部が不足している可能性が考えられます。また、エンタープライズアプリケーションは弾力性に乏しい傾向があるため、パブリッククラウドで実行すると継続的なリソース消費によってコストが多くかかる場合があります。
提供モデルはひとつではない
ここまで読んでみて、エンタープライズクラウドの定義がひとつではないことに気づいた方もいらっしゃるかと思います。どの企業も、プライベートデータセンター、パブリッククラウド、外部のサービスプロバイダーなど、個々のニーズに応じて組み合わされた、さまざまなモデルを採用しています。そのため、オンプレミスデータセンター、サービスプロバイダー、パブリッククラウドの間で統合が可能であることは、エンタープライズクラウドにとって重要な要素となっています。
ティントリとエンタープライズクラウド
ティントリは、オンプレミスデータセンター、サービスプロバイダー、さらにパブリッククラウドサービスとの統合に対応したストレージインフラストラクチャを実現することで、エンタープライズクラウドの要件を満たしています。ティントリのエンタープライズクラウドプラットフォームは、パブリッククラウドが持つ俊敏性を企業内に提供します。
ティントリは、企業のお客様によるストレージ管理をさらに効率化し、できるだけ少ないコストで、できるだけ多くの成果を上げられるようにお手伝いします。先日Fortune 1000企業のお客様とお会いしましたが、その企業では現在、週にわずか4人で8つのデータセンターの合計である約4PBのデータを管理し、毎月10万台のVMを新たに追加しています。また、あるサービスプロバイダーは、ティントリのソリューションを利用してストレージを4倍に増加しただけで、事業を20倍に成長させ、管理作業に必要な時間を短縮するなど、大きな成功を収めています。
今後の記事では、このような成功をもたらすティントリのエンタープライズクラウドテクノロジについて、さらに詳しく解説します。次回は、パブリッククラウドと同様の構成要素を提供する、ティントリのWebサービスアーキテクチャについて取り上げる予定です。
Author
CTO & Co-Founder
キーラン ハーティ (Kieran Harty)キーランは、最高技術責任者であり米国ティントリ社の共同創設者です。ティントリを設立する前に、彼はVMware社の研究開発部門の副社長として、全ての製品の開発責任者でした。彼は、ESX Server、vCenter、VMwareのデスクトップ製品を最初に開発しました。
VMware入社以前はTIBCOでチーフサイエンティスト、ならびにVisigenic/Borland社での研究開発部門の副社長でした。キーランはスタンフォード大学で電気工学の博士号を取得しています。また、トリニティ・カレッジ・ダブリンでコンピュータサイエンスの修士号を取得しています。
※本コラムは、ティントリジャパンに掲載されたブログ記事より転載したものです。
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