冬の食卓の定番メニューと言えば“鍋”。この時期、忘新年会等で家族や友人たちと鍋を囲む機会も多いだろう。しかし、ただでさえ人が集まる空間で換気が気になっている人も多いのではないだろうか。また、参加者の中に喫煙者がいれば、室内の空気環境は大きく悪化してしまう。さらに、鍋からの蒸気や外気との温度差から部屋の窓ガラスが結露するといった懸念点もある。
こうした冬の鍋事情、室内換気における“豆知識”があれば、きっと楽しい時間がすごせるはず。――ではいったい、ベストな換気方法とは何だろうか?
そこで、誰しもが考える手段の定番は、窓を開けるといった至極当然の換気方法だろう。しかし季節は冬、少しでも窓を開けたものなら部屋の気温は一気に低下し、盛り上がっていた場の空気とともに冷えてしまうことは容易に想像できる。ましてや夜なら言うまでもない。
そこで今回は、「窓をどのように開ければ効率よく室内を換気できるのか」、いくつかのパターンでシミュレーションを行った。これから鍋の予定がある方(おそらくほぼ全員?)は、間違いなく知っておいて損はない内容だ。
なお、シミュレーションソフトのリーディングカンパニーANSYSの日本法人に協力いただき、ANSYSの流体解析ソフトウェア「ANSYS Fluent」を用いてシミュレーションを行った。
窓はできるだけ開けたほうがいいのか?
「室内にある窓はできるだけ開けたほうが早く換気できそう」と誰しもが考えることである。そこで、ベランダ側に1つ、壁側に2つ窓がある、一般的な1LDKの部屋を想定し、以下の2パターンでシミュレーションを行ってみた。
A:ベランダ側の窓「1」、壁側の窓「2」「3」すべて3つを開けた場合
B:鍋に最も近い、壁側の窓「2」「3」の2つを開けた場合
※窓を開ける場合にはそれぞれ30センチのみとする
室内の蒸気分布をシミュレーション
下の図2が、窓を開けてから3分後の室内の蒸気分布をシミュレーションした結果である。
赤は蒸気の量が多いことを示し、黄~緑~青になるにつれて蒸気の量が少なくなる。このシミュレーション結果より、Aの窓を3つ開けた場合とBの2つに、どちらも大差がないことがわかる。
室内の温度分布はどうなる?
次に室内の温度分布をシミュレーションしてみた。
赤は温度が高いことを示し、黄~緑~青になるにつれて温度が低くなる。想像通り、シミュレーションの結果で見てもわかるように、Bの窓を2つ開けた方が、Aの3つより、温度が高く保たれていることがよくわかる。
以上の2つのシミュレーション結果より、蒸気の換気に関しては、窓を3つとも開けなくとも良いといえそうだ。
窓を1つだけ開けるのでも十分!?
それならば、窓を1つだけ開けても十分に換気できるのだろうか? そこで、ベランダ側の窓のみがある部屋を想定し、3パターン目(C)として蒸気分布と温度分布をシミュレーションしてみた。
C:ベランダ側の窓のみを開けた場合
※A、B同様に、窓は30センチのみ開けるものとする
そのシミュレーション結果が図4(蒸気分布)と図5(温度分布)だ。
このCのシミュレーション(窓を1つ開けた場合)の結果では、蒸気の換気に関しては、Aの窓を3つ開けた場合と、Bの2つの場合と同じように、蒸気の量が少なくなっていることがわかる。しかし、温度に関しては高いまま(赤~黄まで)で保たれている。
そこで、窓を3つ開けた場合(A)、2つ開けた場合(B)、そして1つだけ開けた場合(C)の3つのシミュレーション結果をよりわかりやすく比較するために、グラフ化したものが図6である。
左のグラフでは、室内温度が23度から、窓を開けた数(A:3つ、B:2つ、C:1つ)に比例して下がっていくことがわかる。それに対し右のグラフでは、蒸気の量がベランダ側の窓を1つ開けた場合でも、3分後には蒸気の量が半分程度に下がっており、十分換気できていることがわかる。
というわけで、これらのシミュレーション結果から言えるのは、部屋で鍋を囲んだ際の換気は、窓を「1つだけ3分間開けるだけ」でも十分であるということがお分かりいただけただろうか。逆に、窓を開ければ開けるほど室内の温度は下がってしまい、空調の快適さが保たれなくなってしまうというデメリットをもたらすので、結論としては1つでも窓を開けておけば大丈夫ということだ。
もちろん、間取りの違いによっても差異はあり、必ずしもこの結果がすべて当てはまるというわけではないが、基本的には鍋の換気の効果は、開けた窓の数の影響は小さいが、温度変化はダイレクトに左右されるということを念頭に置き、これからの季節快適な鍋パーティーを楽しんでほしい。くれぐれも、この豆知識を自慢げに披露し、場の空気を盛り下げることだけは要注意だ。
ANSYS Fluentの詳細はこちら
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