さくらインターネットは2015年に基幹システムや各種サービス系データベース、および営業部門で導入したkintone、Sansanなどの外部サービスを連携させるため、インフォテリアのEAI製品「ASTERIA WARP」を導入している。これにより営業会議や経営会議に用いる、月次、週次でのレポート作成を自動化して業務効率を向上させただけでなく、営業活動に必要な各種情報を連携し、一目でわかる形で営業に届けることで迅速かつ高度な営業対応が可能になったという。導入の経緯や詳しい効果について、さくらインターネットの担当者に伺った。
営業活動に使うデータが複数のデータベースに分散
クラウドサービス「さくらのクラウド」で知られるさくらインターネット。クラウドサービス、レンタルサーバー、VPS(仮想専用サーバー)などのサービスを提供する成長企業だ。同社の石狩データセンターは立地から建屋、空調、電源に至るまで工夫を凝らし、業界でも注目のデータセンターとなっている。
2015年11月に東証一部への上場変更を行っている同社は、順調に業績を伸ばしつつも、営業管理に新たな課題を感じていたという。同社セールスマーケティング本部 営業企画室 室長の中川 幸造氏は次のように語る。
「ユーザーの皆様がたとえ1時間のご利用でもご自身で手軽に契約や解約、増量や減量ができる柔軟性が、当社のクラウドサービス『さくらのクラウド』の特徴です。一方でこうしたサービスの性質や、他サービスと組み合わせての利用により商品コードは数千に及び、営業に必要な情報を適切に届けるための新たな仕組みが必要でした」
さくらインターネットでは、営業活動で利用するデータはさまざまなデータベースに分散していた。基幹システムで契約ユーザーの顧客情報や売上情報などを管理する傍ら、営業折衝中の顧客についての情報を「kintone」で、営業活動や展示会への出展で得られた名刺情報を「Sansan」で管理している。
「営業部門としてすべてのデータをまとめて扱いたいのですが、基幹システムから情報を抽出するには情報システム部門に頼まなければならず、自部門は元より他部門にまで負荷をかけてしまっていました。また抽出してもらったデータをさらに加工するのにもさらに営業企画室内で手間がかかっていました」(中川氏)
例えば営業会議のレポート作成には、AccessからOracleを参照していた。
「Accessでは、抽出にもその後の加工にも時間がかかりました。週次の営業会議向けレポートの作成には少なくとも半日の時間が必要で、月次の処理などはさらに時間がかかっていました。このような背景もあり、EAIによるデータ取得とレポート作成の自動化を検討することにしたのです」(中川氏)
機能性やサポート対応を評価してASTERIA WARPを採用
EAI製品の選定については、以前より検討を重ねていたという。しかしさくらインターネット社内のPostgreSQLに接続する際に情報が簡単に抽出出来ないという現象がおき、しばらくはEAIの導入をあきらめていた。
「そんな折インフォテリアより提案を受け、ASTERIA WARPであればPostgreSQLへの対応も問題ないことがわかりました。」(中川氏)
ASTERIA WARPの導入は2015年夏頃に行われた。導入後にまず着手したのは、基幹システムをはじめとする社内各所のデータソースの連携による、月次、週次レポート生成の自動化だった。こうしたフローの作成には、これまでAccessでの作業を担当してきた営業企画室の松下 貴美氏が主に携わった。
「当初検討したEAI製品よりASTERIA WARPの方がわかりやすいと感じます。アイコンが何をするものかが一目で把握でき、とっつきやすいですね。導入当初はレクチャーを受けて利用を始め、その後はインフォテリアのテクニカルパートナーに都度相談しながら活用しています」(松下氏)
既存業務の効率化で年間190万円の営業コスト削減、さらなる活用へ
「ASTERIA WARP導入後、最初の3ヶ月は業務自動化のためのフローをつくりました。これにより年間190万円に相当する業務コストの削減ができました。2016年に入ってからは、営業活動に必要な各種情報を連携し、一目でわかる形で営業に届けることで迅速かつ高度な営業対応を実現する取り組みを進めています」と中川氏は説明する。
kintoneで管理している案件情報に基幹システムの契約や売上のデータを取り込み、案件情報とその顧客の過去の契約情報を同一画面で見れるようにすることで、営業が次にとるべきアクションを正しく判断できるようにしているという。導入前は社内データとの連携があまり行われていなかったkintone上の案件管理DBが、今後の営業アクションを考えるために必要な情報を一目で入手できるツールへと進化したのだ。
ほかにも、各サービスデータベースからASTERIA WARPで抽出・集計した情報を使い、営業部門のフロアに契約状況の変化をデジタルサイネージで随時表示する仕組みも構築。契約形態が大きく変わった顧客の名前と変更内容がリアルタイムにわかることで、フォローの架電を行うなど営業が素早く動けるようになった。こうした仕組みも、エンジニアではない営業企画室のスタッフが担当して作っているという。
ASTERIA WARPの活用は松下氏を中心に行われている。今後は各種SaaSとのさらなる連携を行うなど活用を進めていくという |
また松下氏は、「ASTERIA WARP女子会」の発起人でもある。
「女子会はASTERIA WARPを使っている女性どうしで相談できる場となっています。ASTERIA WARPを扱う女性は、男性に比べて周囲に相談相手が少なく一人で悩みがちですが、女子会で相談相手もできASTERIA WARPを利用する上での助けになっています」(松下氏)
他部署での活用も拡大し新たなサービス領域でアプローチ
ASTERIA WARPの導入によりデータの連携が実現されたことで、営業企画室には他部署からも「こういったデータを取れないか」という要望が寄せられるようになったという。また営業企画室としても、さらなるデータ活用を進めていく考えだ。例えばSansanに関しては、ASTERIA WARPのSansanアダプタを今後利用する予定だという。
「アダプタ経由での連携の実現後には、Sansan上の最新名刺データと基幹システムの顧客データとを突き合わせ、契約顧客と同一企業内別部署の名刺情報を束ねることで、既存顧客のご利用部署拡大の提案などに利用していきたいと考えています」(中川氏)
最後に今後のASTERIA WARPの利用について中川氏は、「当社では最近、『さくらのIoT Platform』や大量のデータ処理向けの『高火力コンピューティング』など新しい領域のサービスを開始していますが、これらの新サービスでのユーザー情報の分析などにもASTERIA WARPを生かしていきたいです」と説明。新規市場へのアプローチにおけるASTERIA WARP活用の効果に高い期待を寄せた。
(マイナビニュース広告企画:提供 インフォテリア)
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