これまでのデータ復旧がビジネスにもたらす"弊害"
前回は、ビジネスにおけるデータの価値が高まるなかで、ビジネス起点でのデータ復旧が重要になってきていること、またそうした企業のニーズに応えるために、ヴィーム・ソフトウェアでは、RTPO(RTOとRPO)15分未満を実現できる高可用性ソフトとして「Veeam Availability Suite」や「Veeam Backup & Replication」を提供していることを説明した。今回は、ヴィーム・ソフトウェアでシステムズ・エンジニアリング・マネージャーを務める吉田幸春氏に「ビジネス起点でのデータ復旧」での成功事例と、導入メリットを解説してもらった。
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吉田氏はまず、これまでのデータ復旧がビジネスにどんな課題をもたらしているのかについて、次のように説明する。
「バックアップやリカバリはシステムごとに実施されるのが一般的です。システムは異種混在環境での部分最適が進み、バックアップやリカバリもそれぞれ異なる方法で行われるため、コストが上がります。また、同じソリューションでもシステムごとに異なるバックアップ管理を行う必要があり、その分運用コストが上がります。管理が複雑になるため、ダウンタイムや安定性の面でも問題が生じ、旧態依然としたデータ復旧のあり方が事業継続を困難にする要因になっているのです」
半数以上がバックアップ製品の管理の複雑さを懸念 |
仮想化やクラウドの導入が進んだことで、こうしたシステムの部分最適を背景としたコストや管理負荷、ダウンタイムはさらに増加したという。ただ、これは、仮想化やクラウドをうまく利用することで、多くの問題を解決できる可能性があるという意味でもある。
「大企業であれば、ほとんどの業務システムが仮想環境やクラウド環境で稼働するようになりました。仮想化やクラウド環境に最適なかたちでアプリケーションやデータのバックアップ、レプリケーション、リストアができれば、ビジネスへの影響をなくすことができ、さらに、事業継続を確実に行うためのデータ復旧の体制も構築できるようになります」(吉田氏)
失敗を糧に新しいデータ復旧体制を構築
吉田氏は、既存のシステム環境がビジネスに悪影響を及ぼしたことを背景に、ビジネスを支えるデータ復旧の基盤再構築に取り組んだ企業の事例をいくつか紹介してくれた。
1つめは、北米マツダ(Mazda Motors of America, Inc.)だ。同社のITチームは、本社にあるメインのデータセンターと北米全域の9つのデータセンターを管理し、販売代理店を含む2万人のビジネスを支えていた。2011年までにインフラの80%を仮想化し、34台のVMware ESXホストと数百台の仮想マシンを稼働させていたが、大量のI/Oでサーバに負荷がかかり、ビジネスに影響がでるようになったという。
たとえば、SAPシステムのデータベースをフルバックアップするのに16時間もかかるようになった。また、バックアップ中にデータベースの整合性をどう確保するかや、障害が発生した際には仮想マシン単位だけでなく、VMDK単位でリストアしたり、ファイルだけをリストアしたりできないことも課題になった。
そこでスイート製品Veeam Availability Suiteを導入し、フルバックアップ時間を半分の8時間に短縮、Windows ServerのVSS(ボリューム シャドウ コピー サービス)機能を使ったデータベースの整合バックアップを行うようにし、さらにさまざまなかたちでのリストアを可能にした。
2つめは、英国セガ(SEGA Europe)の事例だ。同社では、管理する仮想マシン数が400台を超えるなか、バックアップの速度が著しく低下し、品質が劣化するようになったという。また、仮想環境の可視化に限界があり、既存のソリューションが提供していた機能だけでは、仮想マシンのパフォーマンスの管理やレポート作成、キャパシティプランニングが十分にできないことも課題だった。
法的な要請として、7年間データにアクセスできる状態にしておく必要があったが、バックアップの品質が低下し、迅速にリストアできないことから、法令を適切に守れない懸念もあった。
そんななか、同社では、Veeam Backup & Replicationと、モニタリングのためのツール「Veeam Management Pack for VMware」を導入し、高速で信頼性の高いデータ復旧の体制を構築。さらに、ビジネス側のニーズに俊敏に対応できる体制も整えた。たとえば、インスタントVMリカバリという機能で故障したVMを通常のバックアップから数分で再起動できるようにした。ソフト開発者は特定のビルドをすぐに戻せるようになり、新しいオンラインゲームの開発がスムーズに行えるようになったという。
小規模な環境からはじめて全体最適を目指す
こうした成功事例は、欧米のエンタープライズ企業だからこその事例のようにも思える。だが、吉田氏は、こうしたデータ復旧は、小規模な環境のほうが導入しやすく、将来的に高い効果が見込めると話す。
同社の製品は、エージェントレスで仮想環境のアプリケーションを認識したバックアップ/リストアができることが大きな特徴だ。また、ストレージに備わる機能と連携した高速な処理や、ファイル単位やアイテム単位でのリストアといった複数の復旧シナリオを実施できることも特徴となっている。
「こうした機能は、企業の規模にかかわらず必要になるものです。企業の規模が大きくなり、問題が顕在化してから対応するよりも、はじめからビジネスを意識したデータ復旧のあり方を構築しておくことで、全体最適による高い効果が期待できるのです」
実際、日本のとあるWebサービス事業者は、仮想化環境への移行後すぐにバックアップソフトの問題に気づき、Veeam Backup & Replicationの導入を決めたという。問題だったのは、バックアップ取得時にエラーが発生し、担当者のエラー対応・調査等へ要する負荷が高くなっていた。また、バックアップソフトが基本的に手動での設定しか対応しておらず、バックアップの対象サーバが増減する中で、運用負荷が高くなることも課題だった。
その点、Veeam Backup & Replicationはバックアップの安定性が高く、操作が簡易であること、コスト削減効果が高いことが魅力だった。また、プログラムと連携する手段が用意されており、仮想化基盤のサーバが増えた場合にも、自動的にバックアップ対象として加えるといった運用負荷軽減が可能であることも評価された。
「ビジネスのゴールを見据え、そのために障害となるデータ復旧の課題を解決していくことが全体最適に向けた第一歩です。負荷軽減からプロセスの改善、そして、最終的にはバックアップやリストアに関する業務の自動化を進めていくことが大きな成果を生むことになります」と吉田氏。
多くの欧米企業が取り組みを進めているように、ビジネスに呼応して自由自在にデータを戻すことができる環境は、これからますます求められるようになる。特に、日本は、自然災害などのリスクも大きく、事業継続や災害復旧の点からも、仮想化やクラウドをうまくつかったデータ復旧が重要になる。ヴィーム・ソフトウェアの製品は、そうした新しいアプローチの取り組みに最適な製品だ。
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「「15分未満のRTPO」から紐解くデータ復旧の新常識と3つのカギ」の記事はこちら >>
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