8割もの企業がいまだに「様子見」状態
2015年の税制改正により「税務関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し」が行われ、「電子帳簿保存法」が改正された。この規制緩和により、財務会計・経理にまつわる業務の大幅な効率化、ペーパーレス化が期待されている。しかし公益社団法人日本文書情報マネジメント協会が実施したアンケート調査によると、今回の法改正に対して、「すでに対応を検討している」もしくは「すぐに(半年以内)対応したい」と回答した企業はわずか2割にとどまっているのが現実だ。実に8割もの企業では、電子帳簿保存法の改正後も、すべての証憑まで含めた国税関係書類の電子データでの保存には、しばらく「様子見」という姿勢を示しているのである。
このような企業の消極的な姿勢について、企業の会計・給与・販売などの基幹システムからセキュリティ製品までをサポートするミロク情報サービス 営業本部 営業推進部 マーケティング企画グループ長 部長の志牟田浩司氏は、次のようにコメントする。「『e-文書法』や『電子帳簿保存法』といった書類の電子保存・スキャナ保存に関する法制度への理解が十分に進んでいないことと、既存のシステムでは対応が難しいことが大きな理由として挙げられるでしょう」
しかし、見積書や請求書などの勘定系帳票をはじめとする主な国税関係書類の法定保存期間は7年であるため、紙文書の保存は多くの企業にとって負担となっているのが現実だ。棚に書類が山積みされ、オフィスの執務スペースを圧迫したり、そうした事態を避けるために紙文書保管用の倉庫を借りたりと、空間的にもコスト的にも大きな無駄が生じてしまう。経団連の試算によると、経済界全体での国税関係書類の紙による保存コストは年間約3,000億円にものぼるという。文書の保管という面だけでも、国税関係書類をスキャナ保存することで、大きなコスト削減効果が見込めることがわかるはずだ。
「電子帳簿保存法」と「e-文書法」の関係
ここで、国税関係書類のスキャナ保存を進めるために、理解しておきたい電子帳簿保存法とe-文書法の関係や規制緩和のポイントについて見ていくことにしよう。
電子帳簿保存法の正式名称は、「電子計算機を使用して作成する国税関係書類の保存法等の特例に関する法律」で、1998年7月に施行された。同法では、国税にかかわる帳簿と書類を電子データとして保存する際の方法などが規定されている。一方、e-文書法は2005年4月に施行され、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」が正式名称となる。e-文書法では、およそ250本の法律で規定されている「文書」を対象に、紙文書をスキャナで取り込んだものも含めた電子化文書による保存を原則として認めている。このe-文書法に対応すべく、同じ2005年4月に電子帳簿保存法も改正され、それまで認められていなかった国税関係書類についても、スキャナ保存が認められるようになったのである。
ただし、2005年の法改正後も、国税関係書類の電子保存・スキャナ保存に際してはいくつかハードルがあった。まず領収書・契約書については、スキャナ保存の対象となるのは記載金額が3万円未満のもののみであったため、書類の仕分け作業が発生してしまううえ、結果的に紙文書と電子文書が混在し証憑の管理が複雑になってしまっていた。また、事前に国税庁または税務署長の事前承認が必要であることに加え、スキャナで読み取る際に入力者等の実印相当の電子署名・タイムスタンプが必要、書類の大きさに関する情報の保存が必要、カラー保存に限られるなど、多くの制約があった。これらが、企業のペーパーレス化に対する意欲を阻害する要因ともなっていたのである。
電子帳簿保存法改正による規制緩和のポイント
今回の電子帳簿保存法改正により、前述した要件が大幅に緩和された。まず、対象書類の見直しにより、これまでスキャナ保存の対象外とされていた記載金額3万円以上の契約書や領収書およびこれらの写しであっても、適正事務処理要件を満たしていればデータによる保管が可能となったのである。これにより、ほぼすべての領収書・契約書が電子化保存できるようになったわけだ。ちなみに適正事務処理要件とは、内部統制を維持している状態を指し、職責と指揮命令系統の整備による相互牽制、定期的なチェック、再発防止策を社内規定などで整備するとともに、これに基づいて事務処理を実施していることで、税務署長に申請を行えば「みなし承認」とされる。
次に電子署名要件の見直しにより、電子署名が不要となった。ただし、ID等のログ情報・タイムスタンプは必要だ。「ここが、今回の規制緩和に対応する際の大きなポイントとなります」と、志牟田氏はコメントする。
さらに、重要書類以外の書類については、スキャナで読み取る際に書類の大きさに関する情報の保存が不要となり、またグレースケールでの保存も可能になった。
書類の電子化におけるメリットとは
この新基準での電子帳簿保存法は、今年1月1日より適用となった。そのため、企業はいつでも国税関係書類の電子保存・スキャナ保存に乗り出して数々のメリットを享受することができるわけだ。メリットのひとつは、従来紙文書の保存と管理にかかっていた事務負担の軽減やコスト削減が見込めることである。次に、検索性の向上による業務の効率化や、ネットワークを介して書類がやり取りできるようになることで、業務のスピードアップ、ひいては顧客満足度の向上なども実現可能となる。さらに、中小企業であっても先の適正事務処理要件を満たすことで、内部統制が強化され、コンプライアンスやリスク対応力の強化が期待できる。「特に経理担当者にとってはメリットが大きいのではないでしょうか」(志牟田氏)
これだけのメリットが見込める国税関係書類の電子保存・スキャナ保存だが、ひとつのハードルが立ちはだかっている。それは、システム導入が必要な点だ。とりわけスキャナ保存に求められるID等のログ情報・タイムスタンプの付与は、システムがなければ不可能とも言える。
国税関係書類のスキャナ保存に必要な要件を、基幹業務パッケージで補完
そこで、電子帳簿保存法の国税関係書類のスキャナ保存制度の規制緩和を受けて、スキャナ保存する際の要件をシステム的に補完し、導入障壁を低減するのが、ミロク情報サービスの中堅中小企業向け基幹業務パッケージ「Galileopt(ガリレオプト) NX-Ⅰワークフロー」におけるe文書対応オプションである。
このソリューションでは、セイコーソリューションズ社のクラウドサービス「eviDaemon for PAdES(エビデモンフォーパデス」を使用してPDFファイルへの「タイムスタンプ」を付与する。同サービスは一般財団法人日本データ通信協会の「タイムビジネス信頼・安心制度」の認定をうけており、日本標準時と高精度に同期した原子時計運用がされている。クラウドセンター側で署名鍵証明書を管理するため、面倒な管理は不要でしかも安心。パッケージを導入してすぐに運用が可能だ。
「Galileopt NX-Ⅰワークフロー」とクラウドサービスの連携により、申請者が申請・承認を行うと、添付のPDFファイルにタイムスタンプが付与される。クラウドサービスと連動するのは署名情報だけなのでセキュリティ上も安心だ。
たとえば、社員の旅費精算などに添付される領収書などをスキャナ保存することで、電子データのみでの申請・承認が可能になる。特に物理的な距離があるような本支店間での原本のやり取りと比較した場合、輸送費用や時間などのコスト削減効果は大きく、事務処理業務の効率化が期待できる。
「Galileopt NX-Ⅰワークフロー」e文書対応オプションには、電子帳簿保存法における「真実性の確保」と「可視性の確保」に関する電磁的記録の保存要件を満たすいくつもの機能が盛り込まれている。その一部として、タイムスタンプの改ざんの検知と一括検証をサポートしているため、税務調査時にタイムスタンプが改ざんされてないことを証明できる。またタイムスタンプを付与する承認ルートを流れる申請データは、修正・削除ともに不可能となっている。誰がいつ入力したのかといった証跡も、システムのログ情報で証明することが可能だ。
そして最大の特長が、帳簿との相互関連性・検索性を有する点である。既存の「会計システム」の仕訳帳・振替伝票からドリルダウンすることで、タイムスタンプ付PDFファイルを特定し参照することが可能となっているのだ。
志牟田氏は言う。「長年、財務会計ソリューションを扱ってきた当社であればこその機能だと自負しています。ワークフローと財務会計を統合し、帳簿と申請書との親和性、連動性、検索性を発揮できることで、現場の運用もシンプルにすることができるでしょう。今回の規制緩和を機に、社内のペーパーレス化を一気に進めることをぜひ検討してみてはいかがでしょうか」
(マイナビニュース広告企画:提供 ミロク情報サービス)
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