昨今、仮想化やクラウドの進展が著しく、ストレージにおいてもユーザーの用途や目的に応じて容易に利用できる「SDS(Software-Defined Storage)」といった取り組みがトレンドとなりつつある。しかし、こうした企業の根幹を支えるストレージだからこそ、求められる品質やパフォーマンスの重要性は、今も昔も変わっていない。ではいったい、今のビジネス潮流に適したストレージには何が必要とされているのだろうか。
富士通の「ETERNUS DX」シリーズは、そうしたトレンドに対応できる柔軟性と、メインフレーム時代から培った品質を兼ね備えた総合力の高さで評価されているストレージシステムだ。豊富なラインナップでさまざまな用途に適合するETERNUS DXシリーズの中でも、特に基幹系システムに活用される製品であり、高い性能と信頼性が担保されている。業界でも最高水準のストレージ品質を達成するため、富士通ではどのような開発を行っているのだろうか。
今回は、ETERNUS DXシリーズの開発を担当する富士通 エンタプライズシステム事業本部 ストレージシステム事業部 前田親志氏と、同部の仲村大也氏、そしてETERNUS DXの品質を保つ同事業部 性能・接続性技術部の植田猛氏に、こうした品質・性能を発揮するための開発背景やその思いについて話を伺った。
ETERNUS DXシリーズの“品質”を支えるもの
── ETERNUS DXシリーズは、非常に高品質なストレージシステムとして高い人気を誇っています
植田氏 富士通は、古くはメインフレームの時代から、半世紀にわたってストレージシステムを開発してきました。ご承知のとおり、メインフレームは非常に高い信頼性・継続性・性能を求めるシステムです。
その厳しい条件下で蓄積してきたノウハウや知識、そして品質の高いストレージを開発しようという想いは、オープン化が進んだ現在のETERNUS DXシリーズにも引き継がれています。
前田氏 私たちが重視する“品質”には、「継続性」「保護」「性能」という3つの要素が含まれています。
継続性とは、すなわちシステムが止まらないという意味です。ETERNUS DXシリーズの筐体は、冗長構成をベースアーキテクチャとして開発されています。電源やディスクドライブ、コントローラーなど、主要な構成要素が二重化されており、万が一の故障時でもストレージシステムを止めることがありません。
2つ目の保護とは、故障や障害を事前に検知して、データやシステム、ひいてはビジネスを守ることにあります。ETERNUS DXシリーズには、通常とは異なる挙動を捉えて実際の故障を防ぐ、予兆検知の仕組みが組み込まれています。また、二重化されたコントローラーは、互いに状態を監視しあって、故障の原因となる挙動を検知しています。
私たちが長年にわたってストレージを開発してきた経験の中には、当然のことながら“故障”の情報も含まれています。故障の原因を特定して確実に修正し、二度と同じ現象を起こさないことを重視しています。そうしたことを何十年も繰り返してきたETERNUS DXシリーズは、非常に止まりにくい・故障しにくい製品として作り上げられているのです。
3つ目の性能は、CPUやメモリ、ディスクなどのコンポーネントにこだわっていることがあげられます。通常よりも性能のよいものを厳選し、どのような状況・環境でも最良のパフォーマンスが得られるような筐体に仕上げています。
もちろん、単によいものを選んでいるだけではありません。例えば、最近のストレージは、SSDを活用してパフォーマンスを向上させることが主流となっています。ETERNUS DXでは、SSDとHDDを同時にサポートするのみではなく、非常に高速なPCI Expressインタフェースで接続されるフラッシュデバイスを採用し、よりメモリに近いところに配置して2次キャッシュとして活用しています。そのため、非常に高速なI/Oを実現しています。
柔軟な運用管理が可能なストレージ
── ストレージシステムとしての品質を高める機能はどのようなものがありますか
前田氏 ETERNUS DXシリーズの特徴的な機能として、「Storage Cluster」という透過的フェールオーバー機能があります。
サーバのフェールオーバー機能は、古くから高可用性システムで実現されてきました。データ保護、業務継続性を高める機能として実装したのが、Storage Clusterです。この機能は、2台のETERNUS DX間で同期ミラーリングを行い、一方に障害が発生したときにも、自動的に切り替えてシステムを継続するというものです。
この機能は、ドイツのある企業から強い要望を受けて、災害やテロ対策用途としてストレージをクラスタリングするために開発されました。現在では国内外のお客様において、建屋間やサイト間のクラスタリングを含め、高可用性システムの用途でお使いいただくことが多くなっています。
最近では、ヴイエムウェアの「VMware Virtual Volumes(VVOL)」に対応したことがあげられます。VVOLは、ストレージを仮想化し、仮想マシンごとのニーズに合わせて、容量や性能などのサービスレベルを割り当てることのできるVMwareの新機能です。ETERNUS DXシリーズでは、いち早くVVOLに対応しています。ETERNUS DXシリーズと組み合わせることによって、物理ストレージから独立して柔軟なストレージ運用が可能となり、管理負荷が大きく軽減されます。
── エンドユーザーの運用管理についてもこだわりがあるようですね
仲村氏 ストレージシステムとしての品質は、継続性や性能だけではありません。お客様が適切かつ容易に管理でき、運用負荷をできるだけ軽減することも重視しています。
ETERNUS DXシリーズは、標準状態でも優れた性能を示すように開発されています。しかし、用途やビジネスの要件から、部分的に突出した性能を求めるケースも珍しくありません。そうした“とんがった”性能も実現できるように、各種用途に最適化されたパラメーターを用意しています。また、ETERNUS DXのユーザーインタフェースは、そうしたチューニングが実行しやすいように構成しています。
また、昨今のストレージ環境では、性能や継続性を確認しやすいように、各種情報を可視化するニーズが高まっています。ETERNUS DXシリーズでは、そうした情報を細かな視点からチェックできる可視化ツールを備えています。どのような構成にも適応できるストレージであるからこそ、どのような状態になるのか、どのような性能になるのかを細かくチェックする必要があるためです。
特に高い評価を受けているのは、誤操作をチェックする機能が組み込まれているところです。私たちは長年の経験から、どのようなミスが起きやすいか、どのような状況に陥りやすいかといった情報も蓄積しています。製品によっては、ちょっとした操作ミスでボリューム全体を削除してしまうといったトラブルもあるそうですが、ETERNUS DXシリーズでは起こりえません。
富士通の開発部門は、サポート部門と非常に密接な関係を築いています。お客様からあげられた重要な要望やトラブルに関しては、早い段階で開発部門まで話が来るようなフローを設けています。
そして私たちは、「仕様」と答えてもよいような小さな問題でも、改善・解決に向けて全力で取り組みます。それが当然と思っていますし、プライドやこだわりもあります。そうして数十年取り組んできた結果が、ETERNUS DXシリーズなのです。
お客様の声を一番に進化し続けるETERNUS DXシリーズ
── ETERNUS DXシリーズの品質を守るためには、相応の努力が必要だと感じます
植田氏 ETERNUS DXシリーズは、非常に高い品質を求められる製品です。国内で設計・開発している国産ストレージとして、世界各国で活用されています。特に多くの日本企業に愛用されつつも、常に厳しい目で見つめられています。特にメインフレームのお客様からは、古くから厳しい意見をちょうだいしてきました。
私の所属する性能・接続性技術部では、競争の厳しいストレージ業界で最高水準の性能を示すことができるかどうか、進化し続ける新しいストレージ技術を適切に取り入れられているかどうか、新しい機能が性能に影響を与えないかどうか、他のシステムと適切に接続できるかどうか、といったさまざまな観点から、製品を細かくチェックしています。
場合によっては、開発部門と衝突するケースも珍しくありません。そうした切磋琢磨を繰り返しながら、さまざまなお客様に愛されるETERNUS DXシリーズが作り上げられているのです。
例えば、遊技機メーカーのサミー様では、基幹システム向けのストレージを選定する際に、各社の製品について詳細なテストが行われました。各社がミッドレンジクラスのストレージなのに対し、ETERNUS DXシリーズについてはエントリークラスの「ETERNUS DX100 S3」での検証となりましたが、結果は他の候補を抑えてトップの性能を示し、最終的には将来的な拡張性を考慮されミッドレンジクラスの「ETERNUS DX500 S3」を導入していただきました。
ほかにも、日本語のドキュメントがそろっていること、細かな機能が整っていることなど、国産製品の特徴が好まれるケースも多々あります。
これまでの半世紀で築き上げてきた高い品質を守ることはもちろん、今後も新しい技術や新しいニーズへ積極的に取り組んで、よりよいETERNUS DXシリーズを開発し続けたいと考えています。
今回は品質、性能というETERNUS DXシリーズの一番光ったところを紹介したが、同製品は、本稿でも取り上げたVVOLのほか、OpenStackへの対応やシン・プロビジョニング、ストレージ自動階層制御、ユニファイドなど仮想化など、クラウド環境で柔軟に利用できる様々な特徴を備えた万能ストレージだ。
こうした様々な特徴については、実際に以下のリンクより自分の目で確かめてほしい。
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