超精密計測技術を用いた機器の製造・販売でモノづくりを支えているマグネスケール。同社は2015年10月21日~24日の4日間にわたり開催された国内最大級の工作機械の展示会「メカトロテックジャパン2015(以下MECT2015)」にて、まったく新しい発想から生まれた磁気スケールの新製品「SmartSCALE」の展示を実施した。 2014年10月のJIMTOF2014(日本国際工作機械見本市)にて発表され、そして1年かけてラインナップを整えたSmartSCALE。本記事では、マグネスケールブースにおける同製品の展示メインに、その模様をレポートする。

MECT2015におけるマグネスケールブースの模様

水が降り注ぐ過酷な環境でも信号を感知

マグネスケールブースに入るとまず目に飛び込んできたのは、水が降り注いでいる環境を再現したSmartSCALEの計測デモである。担当のマグネスケール事業本部 秋山信幸氏も「ちょっと掛け過ぎかもしれません(笑)」と語るほどに大量の水が降り注ぐ中、影響をまったく受けず10万分の1mm単位で正確に位置検出を続ける。その光景を多くの人が興味深く足を止めていた。

大量に降り注ぐ水の中で実施されたSmartSCALEの計測デモ

マグネスケール事業本部 秋山信幸氏

これまでの磁気スケールは、切削工程などで生じる粉塵や水蒸気などの影響を避けるために、検出部をカバーで覆ったりエアパージの機能を持たせたりするなどの工夫が行われてきた。だが、それでも微細な粉塵や細かな水蒸気を完全に防ぐことは難しく、また保護を強化するために磁気スケールそのものが大型化してしまうという問題を抱えていた。

スマートスケール開発 丸山重明氏

SmartSCALEは、磁気ヘッドとスケールの検出面を非磁性の金属膜で密封することで、高い防塵・防水性(保護等級IP67)を実現している。また、一般的な磁気スケールと比較しても構造はシンプルかつ軽量。展示されている製品を見比べても、その違いは一目瞭然である。これが、発想そのものを変えた磁気スケールSmartSCALEの特徴である。そして、今回のMECT2015で実施されたデモは、まさにこの特徴を実証するものとなった。

「昨年の発表以来、多くの皆様からご意見やご要望をいただき、様々な改良やラインナップを検討してきましたが、これまでは資料や言葉でしかお話ができませんでした。今回、ようやく商品としての完成形を前にご説明することができて、我々としても非常に嬉しく感じています」(スマートスケール開発 丸山重明氏)

丸山氏によると、今回のMECTでは「はっきりと、“SmartSCALEを見に来た”とおっしゃるお客様が大勢いらっしゃいました」とのことだ。また中には、設計図を持参して具体的にどの場所にSmartSCALEが設置できるかを尋ねに来た来場者もいたそうである。

ビッグデータ時代に対応した計測器の未来

今回のブースでは、過酷な環境においても安定した位置検出を行うSmartSCALEなどの磁気スケールに加え、1nmを超える高分解能の計測を行う「Laserscale」、さらに、新製品となるギア歯検出型回転スケールなど、多種多様な計測機器が展示されていたが、それらの中で、来場者の目を惹きつけていた意外な展示物がある。それは、ブース壁面に掲げられた「INTERNET OF THINGS ・ ビッグデータ時代のネットワーク対応デジタルゲージ ・」というタイトルのパネル展示だ。同社が提供するデジタルゲージラインナップとネットワークユニット(MG50シリーズ)などによって構成されたそのパネルは、IoT時代の到来に向けた、デジタルスケールの新たな可能性を示唆したものであった。 当然どのような企業であっても、故障によるトラブルは避けたいものだ。だが、いつ・どこで・どの部品が壊れるかは、そう簡単にはわからない。

営業本部
加藤芳樹氏

「例えば、デジタルゲージの測定データをネットワークを介して蓄積していけば、その部品の公差のずれを検出することができます。ずれが一方方向に大きくなっていけば、例えば金型が摩耗・変形してきたとか、製造装置にずれが出てきているなど、不良が出る前に対処することが可能となります。これまでは全ての計測データを転送し蓄積することが困難でしたが、現在では技術の進化によって実現性がかなり高まってきています。私たちだけではできないことも沢山ありますが、様々な業界の方々と協力して、新しい計測器の未来を創り出していきたい。そう考えています」と語っていたのは、同社 営業本部 加藤芳樹氏だ。

パネル展示「INTERNET OF THINGS ~ ビッグデータ時代のネットワーク対応デジタルゲージ ~」

なお、SmartSCALEをはじめ、今回のMECT2015で展示されたマグネスケール製品の詳細については、以下のURLを参照していただきたい。

製品の詳細 → http://www.magnescale.com/mgs/index.html

発表から1年越しでついにお披露目となったSmartSCALE。そしてIoT時代に対応する新たな計測器の将来について、もし興味が湧いたのであれば、是非一度、マグネスケールを訪ねてみていただきたい。

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