日立建機のグループ会社として、国内向け建設機械の「R(レンタル)、S(セールス)、S(サービス)」事業を担っている日立建機日本は、建設機械をはじめとするレンタル品に貼付されたICタグを読み取ると共に、保守点検や出入庫、棚卸しなどを実施した際の作業結果データを、ハンディ端末を使ってその場から基幹システムに直接入力できるネットワーク基盤として、シスコの無線LANソリューションを導入した。これにより、屋外の作業スペースと事務所の間をその都度往復しなければならなかった手間を省き、レンタル サービス員全体の1割強に相当する年間43人分の作業時間を削減するなど、目に見える業務効率化の成果を上げている。
導入ソリューション
日立建機日本は北海道から沖縄まで全国約250拠点において、無線LANによるネットワーク環境を構築。屋外の作業スペースで実施した保守点検や出入庫、棚卸しなどの作業結果を、ハンディ端末を通じてその場から基幹システムに入力できるようにした。
【シスコ 無線LANソリューション】
・無線LAN アクセスポイント Cisco AP1602I / AP1602E
・Cisco Catalyst 2960-Cシリーズ コンパクト スイッチ
導入前の課題、検討事案
・レンタル品に貼付されたICタグを読み取り、保守点検や出入庫、棚卸しなどの作業結果を基幹システムへ即座に入力したい。
・作業現場で手書きしたデータを、事務所に戻ってシステムに再入力している二度手間を解消し、業務の効率化を図りたい。
導入効果
・基盤となる無線LANネットワークを迅速に構築し、干渉なく安定した運用を実現することができた。
・年間45万回以上行われる建設機械の点検作業について、1回あたり10分の時間削減、年間100万回以上行われる出入庫作業についても、1回あたり1分の時間削減を実現した。
・レンタル サービス員全体の1割強に相当する約43人分の年間作業時間を削減した。
・屋内にも無線LANのサービス エリアを広げたことにより、より柔軟な働き方に対応できるようになった。
【課題】
急伸する需要への対応が必須
保守点検や出入庫、棚卸しなどの業務をいかに効率化するか
日立建機日本株式会社 |
日立建機日本株式会社 |
昨今、建設機械のレンタル業界は東日本大震災の復興事業や都心再開発、東京オリンピック関連の施設建設などで需要が急伸しており、いまや同社が保有する資産は約10万7,000台に達している。これらの膨大な数のレンタル品に対して、「人手を増やすことなく、保守点検や出入庫、棚卸しなどの業務をいかに効率化するか」は、資産の稼働率やサービス品質を高めるうえで喫緊の課題となっており、ICタグはその課題解決の核心となるものだ。
日立建機のグループ会社として国内向け建機の「R(レンタル)、S(セールス)、S(サービス)」事業を担っている日立建機日本では、国内約250拠点に合計約500台のリーダーおよびハンディ端末を導入することを決定した。同社IT推進部システム企画グループの川上健一氏は、次のように振り返る。
「レンタル品は、各拠点の屋外の作業スペースに保管されています。現場の担当者は、これらのレンタル品に対して実施したさまざまな作業の結果を紙の台帳に手書きし、事務所に戻ってから改めてそのデータを基幹システムに入力していました。このような二度手間、時間の無駄を解消してほしいと、多くの要望が寄せられていたのです」
そこで、屋外でも社内のシステムへ直接入力できればと、日立建機日本が目をつけたのが無線LANだ。「屋外の作業スペースをカバーするWi-Fiサービス エリアを設けることで、保守点検や出入庫、棚卸しを行った結果データをダイレクトに、なおかつタイムラグが少なく基幹システムに投入することが可能になります。またハンディ端末だけでなく、ノートPCやiPadからも社内システムにアクセスできるようにすることで、作業スペースにおけるIT環境を改善したいと考えました」と川上氏は語る。
【解決】
バックボーンネットワークおよびユーザ認証基盤と最適に連携し
セキュリティと利便性を両立させたWi-Fiスポットを構築できる
こうして日立建機日本は、2013年10月から翌2014年1月にかけて、各ベンダーの無線LANソリューションを検討。その結果として導入を決定したのが、シスコの無線LANアクセスポイントおよびコンパクト スイッチの製品群である。
同社 IT推進部の大友和博氏は、「日立建機が提供するバックボーンネットワークおよびユーザ認証基盤とも最適に連携し、セキュリティと利便性を両立させたWi-Fiサービス エリアを構築できることが決め手となりました」と語る。具体的には、下記のような機能要件に対する総合的な評価を行い、シスコ製品の選定に至ったという。
- 現在規格化されている周波数帯の全チャネルを利用できる(IEEE802.1a/b/g/n)
- 異なる規格の周波数帯の同時利用が可能(デュアルバンドWi-Fi)
- 論理的に異なるネットワークを収容できる(マルチSSID、VLAN)
- 障害検知機能、外部認証サーバとの連携が可能(SNMP、802.1X認証)
- 無線区間の通信における暗号化機能(AES)
- 動的に最適なチャネルや電波出力を調整する機能(Cisco RRM)
こうして日立建機日本における無線LANの導入工事は2014年7月に始まった。ただ先にも述べたように、同社の拠点は北海道から沖縄まで全国約250カ所に点在しており、各拠点に設置するPoEスイッチやアクセス ポイントなどの機器をトータルすると、1,200台以上という極めて大規模な導入となる。そうした中で多くの困難に直面したことも事実だ。
「拠点ごとに敷地の広さや形状が違えば、機器を設置する事務所の建物も各所各様です。また屋外の作業スペースに保管されている建機は、それ自体が無線LANの電波を妨げる"動く遮蔽物"になってしまうという問題もあり、Wi-Fiサービス エリアの設計、機器の手配、工事のスケジュール管理には、さまざまな苦労が伴いました」と大友氏は振り返る。
そして、これらの困難を乗り越えるうえでも、シスコの無線LANソリューションの優れた技術と機能の数々が大きな貢献を果たしたという。
「例えば各アクセス ポイントの電源は、PoEスイッチからEthernetを通じて供給することができるため、設置の自由度を確保することができました。またシスコ独自のRadio Resource Management (RRM) テクノロジを利用することで、無線LANの電波の出力調整やチャネル設計など、環境に適した設計を自動的に行うことができました。そのほかにもクライアントの集中管理を行うために必要な機能がシスコの無線LANソリューションには実装されており、設計、構築の負荷軽減と工期短縮に役立ちました」と大友氏は評価する。
【効果】
レンタル品の点検作業や出入庫作業を効率化し
年間の作業員43人分に相当する時間削減を実現
こうして2015年3月までに工事を終え、各拠点で運用を開始した無線LANは、レンタル建機の保守点検や出入庫、棚卸しといった実務で、大きな効果を期待できる。
「屋外の作業スペースと事務所の間を頻繁に往復し、データを基幹システムに再入力していた二度手間が解消されたことで、建機1台1回あたりの点検作業時間を10分短縮できます。これは年間で約45万回以上も行われている作業だけに、トータルでの時間削減効果は絶大です。同様に年間100万回以上行われる出入庫作業についても、1回あたり1分の時間削減が見込めます。こうした業務効率化の効果は、レンタル サービス担当者全体の1割強である約43人分の年間作業時間の削減に相当します」と川上氏は話す。
加えて今回導入した無線LANは、屋内にもサービス エリアを広げており、会議室でのLAN配線が不要となるなど、事務職を含めたあらゆるユーザから好評を得ている。
今後は情報サービスを高度化する観点から、電子マニュアルの展開等も検討している。「建機の修理や点検を行う際にはマニュアルが必携ですが、屋外の作業スペースで分厚い紙のファイルを持ち歩くのには限界があります。そこでハンディ端末やiPadなどから、最新のマニュアル情報を容易に参照できるシステムを無線LAN経由で提供したいと考えています。同時に、そこで行った作業内容を直接システムにフィードバックできるようにするなど、現場のさらなる負荷軽減と効率化を図っていきます」と大友氏は話す。
ネットワークを知り尽くしたシスコとの連携を深めつつ、日立建機日本は無線LAN環境を活用し、業務の効率化や働き方改革を進めていく計画だ。
日立建機日本株式会社
本社所在地:埼玉県草加市弁天五丁目33番25号
設立:2012年4月1日
資本金:50億円
従業員数:2,540名(2015年4月1日)
URL:http://www.hitachi-kenki.co.jp/
日立建機レック株式会社と日立建機株式会社日本事業部の統合により、2012年4月に発足した。レンタル(R)、セールス(S)、サービス(S)を三位一体としたRSS体制のもと、建設機械、建築・土木用機器の「借りたい、買いたい、直したい」というあらゆるニーズに対応。建設機械、環境リサイクル製品、建設現場の仮設ハウスや一般車両などを対象とした、幅広いレンタル事業を全国で展開している。
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