数値計算ソリューション「MATLAB/Simulink」を展開するMathWorksが主催するユーザーカンファレンス「MATLAB EXPO 2015 Japan」が、今年も10月16日、東京・台場の「ホテル グランパシフィック LE DAIBA」で開催される。毎年1,500名を超える参加者が集う同カンファレンスだが、今年もMathWorks製品の最新機能と豊富なユーザー事例が紹介される予定だ。同イベントのテーマ選定などを指揮するインダストリーマーケティング部 マネージャーの阿部悟氏にコンセプトとねらい、見どころについて話を聞いたので、紹介しよう。
ものづくりの現場に広がる"新しい可能性"
数値計算ソフトウェアとして企業の研究開発の最先端を支えているMATLAB / Simulink。同プラットフォームを利用するユーザは、自動車、メディカル、通信、エレクトロニクス、小売、エネルギーなど、ありとあらゆる業種にわたっている。そんなMATLAB / Simulinkユーザの取り組みを見ていると、この1年ほどである変化が感じられるようになったと阿部氏はいう。
「これまでは特定の産業における特定の領域で用いるというケースが多い傾向がありました。たとえば、自動車分野での制御設計、エレクトロニクス分野での信号処理、医療分野での画像処理などです。ただ、近年は、取り組みが特定の領域に限られない傾向が強くなっています。それぞれの企業の取り組みが業界や領域、垣根をこえて、融合するようになっているのです」(阿部氏)
こうした傾向は、IoT(Internet of Things/モノのインターネット)というキーワードで表現される最近のものづくりやITのトレンドと歩調をあわせるように進んでいる。実際、MATLAB / Simulinkが支えてきた、ものづくりの現場でのノウハウや知見は、企業ITのデータアナリティクスやサービス開発などにも役立てられている。むしろ、ものづくりやITの取り組みが同じ枠組みのなかで進行するケースが目立って増えてきたという。
「そうしたトレンドを踏まえ、今回のカンファレンスのテーマは、"MATLAB/Simulinkの新しい可能性を見つけよう"に設定されています。現在、起こっているトレンドについて、センシング、コンピューティング、通信(コミュニケーション)、制御(コントロール)の4つをキーワードにし、そのなかで、MATLAB/Simulinkをご利用いただくことで、新たな可能性の発見につながるよう、具体的な事例等をご紹介していきます」(同氏)
阿部氏が語るように、MATLAB EXPO 2015のページトップには「MATLAB/Simulinkの新しい可能性を見つけよう」というテーマを掲げている |
4つのキーワード「センシング」「コンピューティング」「通信」「制御」
センシング、コンピューティング、通信、制御という4つのキーワードは、これまでのような個別の領域を掘り下げる視点ではなく、それぞれの領域で実際に用いられるアプリケーションの視点から見たものということができる。
たとえば、「センシング」は、自動車、制御装置、プラント、メディカル、コンシューマデバイスなど広い領域で用いられるようになった。センサから得られたデータを活用して、プロセスを改善したり、新しいサービス開発につなげるモデルはIoTの取り組みの骨子とも言える。
「Release 2015b」リリースハイライト公式Web |
また、「コンピューティング」でも、これまではたとえば製造装置や制御装置などに特有のデータフォーマットとブロトコルが用いられ、ITシステムとの連携は必ずしもスムーズではなかった。ところが、今では、ITシステムのデータベースに直接データを取り込み、一般向けのタブレットやスマートデバイスに結果を出力するといったことを普通に行っている。
「通信」、「制御」も同じだ。特定のフォーマットやプロトコルにしばられることなく、信号や画像、映像がインターネットを介してさまざまなデバイスと連携するようになった。MATLABおよびSimulinkの最新版となる「Release 2015b」では、そうした新しい環境に向けたアップデートも多数行われている。先頃、発表されたRelease 2015bでは、さらなる高速化が図られた新実行エンジンを筆頭に大きな新機能が数多く加えられている。
MATLAB/Simulinkと言うと、個別の領域を掘り下げて分析するための基盤技術のように思われがちだ。ただ、近年では、それだけでなく、現場の担当者が利用するアプリケーションとしての利用も広まっている。データの収集から分析、加工、利用までを一貫して行うことができるプラットフォームとしての利用が進んでいるのだ。
「4つのキーワードの裏にあるテーマは、融合すなわちフュージョンです。あらゆる領域で融合が始まっていて、その融合のなかから、新しい価値が生まれ始めています。それを実感していただくために、今回のMATLAB EXPOは、7つのトラックを設けました」(阿部氏)
"融合"を実感できる7つのトラック
7つのトラックとは、「入門」「Simulinkワークフロー」「データアナリティクス / IoT」「メディカル / 通信 / AMS」「ADAS / ロボティクス」「EMS / パワーエレクトロニクス」「自動車業界 適用事例」だ。
昨年のプログラムがどちらかというと、個別の領域に寄せた構成だったのに対し、今回のMATLAB EXPOでは、"融合"が起こっている領域をクロスして構成していることがポイントだ。
たとえば、昨年は単独トラックだった「メディカル」は、「メディカル / 通信 / AMS」として、医療を中心とした関連領域がテーマとなった。ヘルスケアと機械学習、モデルベースデザイン適用例など、医療分野においてどのような融合が進むかが紹介される。
同じように、「ADAS / ロボティクス」では、自動車分野で進む自動運転システムやロボティクスをテーマに、画像認識、物体認識、機械学習などのITシステムとの連携などが紹介される。
また、「EMS / パワーエレクトロニクス」は、エネルギーマネジメント、制御システム、マイクログリッドなどがテーマだ。CO2削減や電力自由化などを受け、さまざまなシステムや機器との連携も必要になってきていることが理解できるだろう。
「データアナリティクス / IoT」も、ITシステムだけにとどまらず、さまざまな産業と連携した取り組みが進んでいる。センサデータ解析や機械学習の結果がどのように現場で生かされるのかを示すという。
錚々たるメンバーで構成する一大ユーザーカンファレンス
基調講演には、ドローン研究の第一人者である千葉大学 特別教授で株式会社自律制御システム研究所の代表取締役社長である野波 健蔵氏が登壇。「ドローンによる空の産業革命と近未来」と題した講演を行う。また、米MathWorksのRoy Lurie氏が初来日し、「The Transformative Fusion of Sensing, Computing, Communication, and Control」と題して、"融合(Fusion)"の最新動向を伝える。
注目すべきは、錚々たるユーザ企業の事例講演だろう。各トラックにおいて豊富に事例セッションが組み込まれていることにくわえ、「自動車業界 適用事例」という専門トラックも走る。同トラックでは、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダ、富士重工業、デンソーと、国内自動車の主要プレイヤーが揃い踏みし、それぞれの取り組みを事例として披露する。
また、展示エリアでは、パートナー、MathWorksによるデモやMATLAB関連書籍の展示を行う。幅広い内容の最新のソリューションが紹介される予定だ。
データ解析、機械学習、信号・画像処理、通信、制御系設計、プラントモデリング、メディカルデバイス設計など、あらゆる領域を巻き込んで利用が進むMATLAB / Simulink。今年のMATLAB EXPOは、そうした変化のなかでの"融合"の波がいかに大きいかを肌で感じられるはずだ。ぜひ会場まで足をお運びいただきたい。
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