プロジェクトマネジメント専門のプロフェッショナル集団
リクルートが主要事業部門および横断機能部門を分社化し、グループ体制への移行により2012年10月1日付けで誕生したリクルートグループ。ブライダル関連の情報を網羅した「ゼクシィ」や不動産情報を広く提供する「SUUMO」、中古車の購入に便利な「カーセンサー」など、グループ全体として数多くのサービスを提供している。
グループ内でのサービス数が多く、それぞれを裏で支える事業システムも多数存在するため、リニューアルや再構築を行う際にはより多くの時間や手間が必要になるのも事実。そこで活躍するのが、グループ内の各種サービスのシステム開発やWebマーケティングなどを幅広く担うリクルートテクノロジーズだ。
同社 ITソリューション統括部 プロジェクト推進部 プロジェクト推進2グループ グループマネジャーの石原和幸氏は「サービスの数が多いのはもちろんですが、各サービスのエンハンスに携わっている事業会社では、日々のサービス改善の積み重ねが中心となり、常に大規模なリニューアルやシステム再構築を行っているわけではありません。プロジェクト推進部にリクルートグループ内の大規模案件を集約させ、必要な知見と人材を集約することで、より高度なプロジェクトをスムーズに実行する狙いがあります」と語る。
プロジェクト推進部が発足したのは今から6年ほど前、リーマン・ショック後のことだった。それまで注視されてきた新規サービスの迅速な立ち上げ以上に、利益を上げている既存サービスをどのように守り、いかに良いものへ育てていくかということの重要性に改めて注目が集まっていた。 そこで当時の各事業部では、さらなる成長に向けてリニューアルや再構築を決断したのだが、大規模なシステム開発を要する複数の案件で、いくつかのトラブルが発生。これを機に、大規模プロジェクトを管轄する専門部隊の設立が議論されるようになったという。
「従来の社内体制では、基本的にそのサービスをエンハンスしてきた各事業部付きのIT担当がリニューアルや再構築も行っていました。しかしこうしたトラブルを通じて、リニューアルや再構築といった一定規模を超える開発には、日々のエンハンス開発とは異なるスキルや考え方が必要なのではないか、という仮説が生まれたのです。この仮説をもとに、大規模プロジェクトのマネジメントを専門に手がける部署として生まれたのがプロジェクト推進部です」と、同組織の初期メンバーでもある石原氏は発足の経緯について語る。
求められるのは「How+What+Why」
日本においてプロジェクトマネジメントといえば、一般的に受託開発を手がけるSIerの領域というイメージが強い。事実、企業がSIerにプロジェクトマネジメント部分も含めて案件を丸ごと依頼するケースは多々見受けられる。逆にリクルートテクノロジーズのように、社内で専門の部署を持つユーザー企業はごく少数だ。
しかし、プロジェクトマネジメントの発祥国である米国の場合、むしろ発注側の企業がマネジメントすべきであり、リソースが足りない部分にSIerを招き入れて実現していく、といった基本姿勢でビジネスに取り組んでいる。石原氏も「Webサービスで本当に勝ち残っていくには、システム実装の要否や機能要件を意思を持って合意形成できる立場にいる者がプロジェクトを進められるような体制が、必要不可欠だと実感しています」と語る。
また同社の場合、一般的なSIerのプロジェクトマネージャと比べて立ち位置にも決定的な違いがある。SIerは顧客の要望をどのように実現するか、いわば「How」のプロフェッショナルだ。一方、プロジェクト推進部はリクルートグループの一部門であるという背景から、このHowに加えて「What」と「Why」、つまり“本当に意義があるのか”“なぜ実施するのか”までを含めてプロジェクトのかじ取りをするスキルやスタンスが必要になる。
「これはユーザー企業のプロジェクトマネージャならではの楽しみだと思います。SIerという立場では、顧客相手になかなか本音は出しづらいでしょうし、ビジネスの上で守るべきものも異なります。しかし私たちは、分社化した今でもリクルートのサービスを一緒に作っているという意識が非常に強いため、会社の垣根を越えて本音が言いやすく、互いにより良いサービスにしたいという思いを持っています。つまり、自分たちが本当にやりたいことを実現しやすい環境にあるわけです。グループ全体として数多くのサービスを展開しているため、小規模から大規模なものまでバラエティに富んだプロジェクトへの参加機会が多いのもポイントですね」と、石原氏は同社ならではの魅力を語る。
“やらない”決断がチャンスを生む可能性も
プロジェクト推進部の業務は、各事業部から寄せられた案件に対して、まずはプロジェクト化するか否かの判断を行うことから始まる。すべての案件をプロジェクト化するには人的リソースの限界があり、また、大規模開発をすることが必ずしも事業のゴールを達成する最適手段ではない場合もあるという。
「目的を果たすために他の打ち手を投じた方が近道だったり、投資価値が得られないといったケースでは、プロジェクト化しないという結論を出すこともあります」と石原氏。
しかし同氏はこうした案件についても、決して事業部へ突き返すだけの事務的な処理は行わない。目的に照らして余計と思える部分を省いて小規模化したり、難易度を軽減するために複数のステップに分けて進行したりと、各事業会社内で対応できるよう、プランを再構築して新しいアイディアを提示するのである。
「各事業会社のサービス企画者の視点に立てば、サービスを進化させるためのビジョンを描き、その手段として大規模なリニューアルや再構築を行いたくなるのは当然です。しかし、プロジェクトが大規模になるほど投資額が大きくなり、同時に時間もかかります。一方でリクルートグループという経営の観点から見ると、当然ながら投資額や開発にかかる時間は少ない方が良いわけです。変化の激しいWebサービスにおいてはなおさら短期間で効果を測定することの重要度は高まります。そこでプロジェクト推進部では、グループ全体のサービスを横断的かつ客観的な視点で見られる特性を活かし、目的の実現に向けたより最適な別の手段を、事業部と一緒に考えています。なにかを“やらない”と決めることも、次のチャンスを生み出す可能性につながるわけです」と語る石原氏。
ふたつの目線でバランスを保ちながらの共同作業
プロジェクト化が決定した場合、それを進行する上で重要になるのが、ふたつの目線を用いた考え方だ。まずひとつめは、ビジネス・経営の戦略や目的など、実現したいことをベースとした経営者目線。そしてもうひとつが、サービスやシステムを十分に理解した上で、本当に別の手段がないのかを模索する現場目線である。経営者と現場、両方のアプローチから考えていくことで、全体のバランスを保ったプロジェクト進行が可能になるという。
実際のプロジェクト編成に関しては、各事業部と協力しながら、お互いの長所が最大限に発揮できる体制を作り上げている。プロジェクトマネジメントの部分こそプロジェクト推進部が担当するが、仕様の検討など実務の部分は既存サービスに対する理解度が重要になるため、普段のエンハンス開発を担っている組織のエンジニアと入り混じるような編成にするそうだ。
「これは組織の壁を生まないようにするだけでなく、リニューアル後のサービス運用に必要な情報のフィードバックが容易になるというメリットもあります。確かにプロジェクト推進部はチャンスを生み出しますが、その後のサービスを成長させる、もっとも重要なエンハンスの主体はあくまでも各事業のシステムやIT戦略を日常的に見ている弊社内の別の部隊になります。そこで、いかに機能を洗練させながらも、リニューアルや再構築の前後で円滑にサービスを運営できるかがポイントとなります」と石原氏は語る。
重要なのは自分を変える強い意思
プロジェクト推進部ではこのように、複合的なスキルに加えて自らが率先して動く判断力が求められる。同部署にはSIerでのプロジェクトマネジメント経験を持つ人材も数多く在籍しているが、決められた要件を実現する立場から、実現したい要件を決める立場へと大きな変化を経験するという。前職でのスキルを活かしつつも、それまでの考え方やスタンスから脱却するのに落ち込んだり、壁にぶつかったりするメンバーも多いそうだ。「サービスを作りたいという強い意志を持って仲間になってくれている。そうした想いがあるからこそ、凹んでも必ずみんな這い上がるんですよね。自分で立ち上げて、成功させるチャンスを作ることができるという面白さを、もっともっと感じてほしい」 自分を変える強い意思さえあれば、過去の経験とスキルを活かしつつ自分の幅を広げていける。サービスの進化を実現しながら新しい分野にも積極的に取り組める、プロジェクトマネージャとして理想の職場といえるかもしれない。
最後に石原氏は「プロジェクト推進部での業務を通じて、私自身が多方面のスキルアップを経験し、より大きなプロジェクトやビジネスの上流の課題に取り組むための礎を築くことができました。まったくの私見ですが、プロジェクトの現場において、内心『これってベストな方法なのか?』と疑問を抱きつつ、その感情を押さえ込んで仕事をしているようなケースは多いと思います。そうした方々が、自身のキャリアを活かしながら理想を追求する場所として、プロジェクト推進部は1つの理想的な場所なのかなと思います」と笑顔を見せた。
現在も、さまざまなサービスのリニューアルや再構築を手がけているプロジェクト推進部。自分たちが携わったサービスが、より大きく成長していく姿を間近で見られるのも、同部署ならではの楽しみといえるだろう。
(マイナビニュース広告企画:提供 リクルートテクノロジーズ)
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