JRA(日本中央競馬会)のオフィシャル放送として2015年1月に20周年を迎えたグリーンチャンネルは、競馬の魅力をさらに高めるための番組制作ならびに有料放送を主な事業としている。そして、若い世代を中心とした競馬ファンの拡大と新たな有料会員の獲得を目指し、番組コンテンツを届けるメディアの多様化に乗り出した。こうして「グリーンチャンネルを持ち歩こう!」のキャッチフレーズのもとで開始したのが、「グリーンチャンネルモバイル」や「グリーンチャンネルWeb」といったインターネット経由の動画配信サービスである。完全レベニューシェアのビジネスモデルによるNTTデータとのアライアンスが、この新事業を立ち上げ、成功へと導いている。
お客様の課題 | 導入効果 |
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個々人のライフスタイルに対応した番組視聴の多様な選択肢の提供 | インターネットを経由した、マルチデバイス向けの動画配信サービスを開始 |
健全な財務の維持を前提とした事業計画のもとでの新サービス展開 | 完全レベニューシェアによるNTTデータとの共同事業で投資リスクを軽減 |
有料放送であるグリーンチャンネルの会員拡大 | 新規会員の上昇トレンドを継続するとともに、上位サービスへの移行も堅調に推移 |
導入の背景と課題
新たな競馬ファンの獲得として
若い世代の掘り起こしが急務
JRAの関係団体の一つであるグリーンチャンネルは、JRAのオフィシャル放送として競馬に対する認知度の向上と視聴者の拡大に取り組むとともに、JRA電話投票会員をはじめとする多くの競馬ファンに信頼、支持される番組の提供をミッションとしている。 中央競馬開催日の全レース中継はもちろん、パドック、返し馬など、勝ち馬検討に役立つさまざまな情報を届ける。また、「地方競馬と中央競馬の連携協調」に基づいて交流重賞競走を中心とした地方競馬を中継するほか、日本馬の海外での活躍を伝えるために海外競馬も中継するなど番組の拡充を進めてきた。
グリーンチャンネルの理事長である石井秀司氏は、「2015年1月に開局20周年を迎え、有料放送ながらも視聴者数は30万人を超える状況にあります」と、事業の手応えを語る。
ただ一方で、グリーンチャンネルは現状に満足しているわけではない。JRA電話投票会員の総数は約300万人のため、視聴者数30万人ということはコアな競馬ファン層の1割しか取り込めていないという見方もでき、さらなる掘り起こしが求められている。
また、少子高齢化の影響が徐々に競馬にも現れ始めているだけに、「特に20~30歳代の若いファン層を新たに獲得していくことが急務です」と石井氏は語る。
選定ポイント
“グリーンチャンネルを持ち歩く”
動画配信サービスを開始
視聴者の拡大、ひいては新たな競馬ファンの獲得に向けてグリーンチャンネルが活路を見出したのが、競馬中継などのコンテンツを届けるメディアの多様化である。
従来からのBS放送、CS放送、CATV、IPTVに加え、インターネットを利用した動画配信サービスに乗り出したのだ。具体的には、NTTドコモの携帯モバイル端末に向けて番組を配信する「グリーンチャンネルモバイル」と、特定の通信事業者に限定されないキャリアフリー&マルチデバイス(パソコン、タブレット、スマートフォン)に対応した「グリーンチャンネルWeb」といったサービスだ。
「スマートフォンやタブレットで動画コンテンツを楽しむことは、すでに若者にとって日常生活の一部となっており、その流れはさらに中高年層や高齢者層にまで広がりつつあります。また部屋にテレビを持たない単身世帯の方々や、ショッピングやレジャーといった出先でも競馬を楽しみたい方々など、多様なライフスタイルにあわせた選択肢を用意していきたいと考えました。キャッチフレーズは『グリーンチャンネルを持ち歩こう!』です」と、石井氏はその狙いを語る。
そして、この新サービスの事業化にあたり、グリーンチャンネルがパートナーに選定したのがNTTデータである。決め手となったのは、動画配信サービスに必要となるITインフラやプラットフォームへの初期開発コストをNTTデータが負担し、リスクを共有しながら相互の協力で生み出した利益をあらかじめ定めておいた配分率で分け合う、いわゆる“レベニューシェア”というビジネスモデルの提案だった。
「グリーンチャンネルとしてもインターネットやモバイルデバイスを活用した動画配信には以前から大きな関心を寄せていました。ただ一方で、衛星基幹放送事業者として社会的な責務があり、安定した放送を支える設備や機材、それらの運用にも多大なコストがかかります。したがって新規サービスの投資には、どうしても慎重にならざるをえない側面があるのです。そうした中でNTTデータから、インターネット動画配信サービスを開始した場合の新規顧客見込み数、およびレベニューシェアのビジネスモデルの成功について深く分析された提案をいただき、私たちの事業計画に最もフィットしニーズに応えてくれるものだと確信しました」と石井氏は語る。
こうしてグリーンチャンネルがNTTデータと共同で推進する動画配信サービスが、実現に向けて一気に動き始めたのである。
導入の流れ
キャリアフリー&マルチデバイスへの要求に
スピーディーに対応して基盤を拡充
2012年12月にNTTドコモの携帯電話(i-mode)を対象としたグリーンチャンネルモバイルの開始、2013年2月にスマートフォン(Android)への対応、2014年3月にキャリアフリー&マルチデバイスのグリーンチャンネルWebのリリースを経て、グリーンチャンネルの動画配信サービスは拡大してきた。
「いつまでも特定キャリアのみの対応では公平さを欠いてしまいます。他キャリア利用者からのご要望にもお応えするべく、できる限り早い段階でキャリアフリーの体制に移行したいと考えていました。それは同時に、動画配信サービスの市場(見込み顧客)を大きく広げるという私たちのメリットでもあります。NTTデータはこの要望をくみ取って、提案から構築まで期待以上のスピード感でサービス提供基盤の拡充を図ってくれました」と、石井氏はNTTデータを高く評価する。
実際、テレビ放送用の映像データをリアルタイムに変換し、利用者の多様なデバイス(PC/タブレット/スマホ)向けに配信するプラットフォームや会員サイトを構築するという技術的なノウハウは、テレビ放送とはまったく質の異なるものだ。当然、エキスパートであるビジネスパートナー無しでは、スピーディーにかつ確実には成立し得ない。
「同じ目標に向かい、一丸となって事業を推進していくパートナーとして、NTTデータは非常に心強い存在です」と、石井氏は両社の関係の深さを強調する。
導入効果と今後の展望
放送と通信の融合を見据えた
付加価値サービスを検討
2014年3月にグリーンチャンネルWebをリリースしてから、わずか7カ月間で会員数は2万人を突破。この勢いはその後も続き、2015年5月の時点で2.8万人を超える会員数となり、先行したグリーンチャンネルモバイルと合わせると4万を超えた。
さらに、これらの会員にはサービス内容を“アップグレード”する動きも顕著に表れているという。グリーンチャンネルWebでは、スマートフォンのみで番組を視聴できるライトファンのための「500円プラン」、スマートフォンに加えてPCやタブレットでも視聴できる「1,200円プラン」の2つを用意している。最初は500円プランで加入した多くの会員が、続々と1,200円プランに移行しているのだ。
「率直なところ、このサービスを開始する前には、既存のテレビの有料視聴者がインターネットに移ってしまうのではないかという一抹の不安もありました。しかし、それはまったくの杞憂に過ぎず、既存のテレビ放送にプラスしてグリーンチャンネルWebを視聴する動きが顕著に表れています。グリーンチャンネルWebはテレビを含めた全体サービスの会員を底上げしていく原動力となっています」と石井氏は語る。
今後もNTTデータと二人三脚を続けながら、「グリーンチャンネルを持ち歩こう!」のコンセプトを進化させていく考えである。
企業プロフィール
一般財団法人 グリーンチャンネル
所在地 〒135-8464
東京都江東区永代1-14-5 永代ダイヤビル 13F設立 1993年9月1日 事業概要 ・競馬、馬事文化および農林水産業等に関する番組の制作、編集およびその支援
・放送衛星を用いて行われる基幹放送事業および、ケーブルテレビ局等の一般放送事業者への番組の供給および配信URL http://www.gch.jrao.ne.jp/
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