セイコーインスツル株式会社(SII)は、電子デバイスと腕時計の開発・製造を手がけるメーカーだ。同社では、知的財産(特許)に関する企業間の契約書の情報を登録し、必要な時に情報を検索できるようにするため、富士通株式会社の知的財産ソリューション「ATMS PM2000(※以後旧システム)」の契約管理機能を使っていた。しかし、このシステムを使った業務には課題が存在しており、その課題解決のために「FUJITSU Enterprise Application Contract Eyes(以下、Contract Eyes)」に刷新した。ではその課題とは何だったのか。
まず1点目は、同システムが老朽化していたために操作性が悪かったことだ。「Contract Eyes」の導入に携わった知的財産部知財管理グループ課長の佐川暁子氏は、この操作性について「情報が必要になった時に、検索して取り出すまでのスピードが遅かった」と振り返る。旧システムはC/S(クライアント・サーバー)型で、画面全体は灰色で目立たず、昔ながらのコンピュータの画面という印象。契約情報の格納場所も一箇所にまとまっておらず、検索性が悪かったという。
2点目は、同システムがアクセス制御機能を備えていなかったため利用部門が知財部門に限られており、他部門における情報共有ができていなかったことだ。佐川氏曰く「本来は知財部門だけでなく事業部門の管理職も契約情報の入力や更新、検索などを行えるべき」だったが、前述の理由のため知財部門に閉じて運用するしかなかったのである。
さらに、一番の問題点としてあげられたのが、登録すべき入力データに「漏れ」があることだ。当時、契約情報は手入力で行われており、会社名を正式名や短縮名で入力するなど、各担当者レベルで入力内容に違いが生じていた。また、入力項目の統一が図られていなかったので、何か問題が起きた際の初動対応が遅れてしまう要因ともなった。
また、契約担当者内で相談から稟議段階まで完結させる風土も重なり、結果として稟議段階で契約担当の上長にあたる決裁者が契約の存在を知るようなケースもあり、知財部門内の情報共有という面でも問題があった。
問題を解決するために導入をしたソリューション
こうした課題を解決するべく、SIIでは2014年7月に株式会社富士通システムズ・ウエストの契約書の管理・活用に特化した契約管理ソフト「Contract Eyes」に刷新した。同ソフトは各用途においても統一化された情報を基に、契約書の期限管理・原本管理・履行管理、契約書の検索・添付ファイルの運用管理なども対応可能としていることが導入の決め手となった。
操作性の優れた契約情報登録システムを実現
「Contract Eyes」では、旧システムの機能を継承することに加え、それまで手作業でExcelに入力を行っていた契約履行の期限管理をシステム化した。佐川氏はデモを見た時に誰でも直感的に使えるUI(ユーザーインタフェース)だったことから「操作性が非常に優れており、情報共有のために関係者に「Contract Eyes」を開放した際、マニュアルを手に取ることなくすぐに利用を開始できるだろう」という期待を持った。
佐川氏は「結果として、入力漏れが無く統一されたデータを有する情報システムを構築できました」と、今回の移行プロジェクトを高く評価する。「データの入力は地道な作業ですが、着実にデータを登録することで得られるメリットは計り知れません。例えば、事業の名前で検索すると、その事業で継続中の契約がすぐに取り出せるようになり、万が一問題が発生した際も迅速な対応が可能になります。」(佐川氏)
前述した機能の中でも、特に履行管理のシステム化は、SIIにとって重要な意味を持つ。知財管理は契約の締結で終わりではなく、その後の履行管理業務が必要になるからだ。「Contract Eyes」では、履行の期限が迫った際のアラート通知が行えるほか、「いついくら払ったのか」の記録が可能になっている。加えて、どのような条件がそろった時に履行を実行するかなど、複雑な条件も設定できるようになった。
例えば、他社からライセンスを受けている場合、1カ月ごと、四半期ごと、半年ごとなどのスパンで売上情報を把握することでライセンス料の支払い漏れなどを防ぎ、適切に管理できるようになった。また、佐川氏は「システム内のデータの取り扱いが統一されることで、会社全体の業務の流れも統一することができるようになります。これは事業経営の改善そのものです。」と、「Contract Eyes」が経営に与える効果を説明する。
セキュリティを強化(機能追加)し利用者をグループ会社や法務部門、事業部門へと展開
運用開始から約1年が経った2015年6月には、関連会社や他部門がシステムを共用できるようした。所属会社や役職によって、アクセス権限を細かく制御できるセキュリティ機能を強化したからだ。さらに今後は契約情報を最も必要としている事業部門にも拡大をする予定で、統一化された運用を行えるよう、これまで各々がExcel管理をしていた契約の各情報を「Contract Eyes」に登録している最中である。
狙いは紙情報の電子化、契約文書へのタイムスタンプ署名も視野に
「Contract Eyes」の利用についてSIIの狙いは大きく分けて2点ある。
1点目は、紙情報の電子化を進めるとのことだ。佐川氏は「電子化に加えて関係者がもっと契約に関する情報をすぐに取り出せる環境を作りたいです。データによっては旧社名で記載されていたり、契約日付と契約テーマ名のほかには担当事業会社と原本管理番号しか書かれていないものもあるので、こうした足りないデータの整備も行っていきたい」と語る。また、事業部門の視点で継続中の契約を一覧表示するような使い方もできるようにするとのことだ。
2点目は、他のシステムとの連携によって機能を増やし、業務のさらなる最適化や効率化を実現することだ。例えば、契約相談については、契約検討の発生から法務部門検討あるいは合議部門とのやりとりを電子化することにより効率化を図る。さらに、関連会社のセイコーソリューションズ株式会社が提供する「SEIKOタイムスタンプサービス」と「ContractEyes」との連携機能により効率化される契約書の電子管理についても期待を寄せているとのことだ。
SIIではこうした連携を通じて、システムのさらなる機能拡充を目指すという。
※SEIKOタイムスタンプとは
高速・高精度なタイムスタンプサーバを活用し、あらゆる電子データの真正性を保証する (一財)日本データ通信協会のタイムビジネス信頼・安心認定制度の認定を受けた セイコーソリューションズの国際標準準拠のタイムスタンプ発行サービス。 スモールスタートに適した従量課金制の「SSL接続従量課金タイプ」から、大規模 システムに適した帯域保証型の「VPN接続タイプ」まで、お客様のニーズに合わ せたサービスが用意されている。
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