バックアップ・リストアの現状について詳しく知りたいと思ったら、具体的な事例をよく知るといい。そこには、リスクというものがどこに潜んでいるか、先達者はそれをどのように脱出したかというtipsに満ちている。ストレージクラフト テクノロジー ジェネラル マネージャー 岡出明紀氏は、同社システムバックアップソフトウェア ShadowProtectの場合においても、なぜこの製品が選ばれたかがよくわかる事例が豊富だという。

業務を指示するサーバーがダウン。多大な損失を未然に防いだのは20分足らずの高速な作業

米国カリフォルニア州オレンジ郡のある飲料メーカーでは、ある夏の暑い朝、配送センターで大きな問題が発生した。配送ルートを指示する配送管理システムサーバーがダウンし、80万ドル分の商品を積み込んだトラック群が出発できずにいたのである。

容器に入っているとはいえ、トラック内は飲料保存に適した環境ではない。そのままでは多大な損失が生じる危険性があったが、同社のシステムインテグレータ Numa Networks社は連絡を受けて、ただちに遠隔操作で復旧作業に入った。具体的にはShadowProtectのHSR(HeadStart Restore)機能を利用して、配送管理システムサーバーのバックアップが仮想マシンに事前リストアされていたため、これを起動することで迅速にフェールオーバーを完了。作業開始からわずか20分足らずという早さで業務再開へこぎつけたのである。

万全に備えていたつもりが…テープバックアップに潜んでいた"落とし穴"

もう一つ、"起こるときは起こる"という事例を紹介しよう。米国のある中堅規模のネット通販事業者は、なんとサーバー室が火災に遭った。

「時は10月、一年最大の商機であるクリスマスセールを目の前にして起こった事故でした。幸い、経営者はデータ保護の重要性を理解しており、過去の取引データをすべてテープバックアップして、自らの家で保管していました。そのため、サーバーさえ再構築すれば業務再開できるという希望を持つことができたのです」(岡出氏)

しかし、実際に始めてみると、重要なものを失っていることが判明した。"バックアップデータカタログ"である。テープはデータ収容密度が低いため、過去の取引データだけといっても、テープの総数は膨大な数になる。どのテープに何がバックアップされているかを記録したカタログを持ち出していなかったため、テープを1本1本"これか?あれか?"と中身を見ながらリストアすることになった。そのため、すべてのデータを戻すまでに20日間を要してしまったのである。それでもぎ

りぎりクリスマス商戦に間に合い、ビジネスは事なきを得た。ただ、この経営者は今回の件でテープバックアップに懲り、イメージバックアップへ移行することを決断。複数の製品候補の中から、迅速なリストア機能を評価して、ShadowProtectを選択したという。  

ShadowProtect独自のリストア機能を活用して、SIerが付加価値サービスを提供

ストレージクラフト テクノロジー
ジェネラル マネージャー 岡出明紀氏

「ShadowProtectはまた、競争厳しいシステムインテグレーションビジネスにおいて付加価値サービスを提供するのにも活用されています」そう岡出氏は語る。

システムインテグレータA社では、データ保護サービスにおいて、"サーバーダウン時、すぐにかけつけて必ず2時間以内に業務再開を可能にする"というオプションメニューを設定した。その確約の前提になっているのが、ShadowProtectのVirtualBoot機能だ。これは、保存してあるバックアップイメージファイルをそのまま仮想マシンに仕立てて起動させる。ブート所要時間はほんの数分ですむため、とにかくすぐに仕事を始められる。このシステムインテグレータは常に手元にサーバー在庫を備えておき、連絡を受けるやこのサーバー1台を抱えて顧客の元へ向かうそうだ。


ベアメタルリストア機能で旧システムを仮想化し、新システムと"並立稼働"

日本の企業でも、ShadowProtectのリストア機能は有効活用されている。岩手県に本拠地を構える金属加工メーカー 千田精密工業は、運用保守が困難になったことから、Windows Server 2003上で動かしていたCOBOLベースの生産管理システムを刷新することになった。新システムはOSにWindows Server 2008 R2を採用し、アプリケーションそのものも新規開発。

ただし、頻繁に過去のデータを参照することから、旧生産管理システムもまったく不要になるわけではない。そこで、同社のシステムインテグレータであるキヤノンシステムアンドサポートは、ShadowProtectを活用することにした。バックアップソフトウェアとして導入するとともに、このソフトのベアメタルリストア機能を用いて、旧生産管理システムをOSからそっくりそのまま仮想化したのである。デバイスドライバの自動調整を行うHIR(Hardware Independent Restore)機能を備えているため、サーバー環境が異なっていても、動作にはまったく問題がなかった(図1)。

現在、新しいサーバー上には、仮想化された新生産管理システムと旧生産管理システムが同居、必要なときには従来のデータをいつでも引き出せる体制が整った。もちろん、リストア機能のもともとの目的である、迅速なシステム復旧力も同社に大きな安心感を与えている。

ついにLinux版が登場!特許取得のユーザーインタフェースに注目集まる

「ShadowProtect SPX」公式Webサイト。体験版も公開されている。

5月19日、ストレージクラフト テクノロジーは新製品 ShadowProtect SPXを発表した。満を持してLinux版が登場したのである。この製品はユーザーインタフェースをさらに進化させ、ジョブのタイムラインが表示できるようになった。バックアップ履歴が棒線でビジュアルに示され、マウスで棒線にカーソルを合わせるといつの時点のバックアップか、サイズはいくらかといった情報が取得できる。

またその下部では、さらにファイルの詳細を知るためのインフォメーション取得ボタン、バックアップファイルの内容をブラウズするボタン、バックアップファイルを仮想マシン化するボタンなどが配置されており、全容を把握するだけでなく、その画面から直接アクションを起こすことが可能である。同社はこのUIで特許を取得した(図2)。

図2 特許も取得したShadowProtect SPXのユーザーインタフェース

バックアップ&リストアは、迅速な対応や状況の適切な把握が極めて重要なファクターを占める。「特許取得したShadowProtect SPXのユーザーインタフェース」 は、大きなアドバンテージを提供してくれる   また、さらに柔軟にバックアップスケジュールを組めるようになっており、たとえば"会計処理の集中する月末月初だけバックアップの頻度を高める"などといったことが容易に行える。

OSのファイルシステムに依存しない独自のバックアップアーキテクチャを実現、大量のデータを高速にバックアップしたいシステム環境で歓迎されているShadowProtect。今後は、クラスプラットフォームでこの製品を採用した事例が国内外で増えてくることだろう。

提供企業: ストレージクラフト テクノロジー

家庭向けから中小企業、大企業向けと世界各国でバックアップ&リストアソリューションを展開するストレージクラフト テクノロジー。高速性、確実性を追求しながら、大切なデータの運用をサポートする。お馴染みShadowProtectのLinux版「StorageCraft ShadowProtect SPX 」も登場!!

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