クラウド型会計ソフトのパイオニアとして、現在トップシェアを誇っている「freee」。クラウドとしての使い勝手はもちろん、"会計業務を自動化できる"ことから、さまざまな業界・業種で活用されている。今回は、自身も同ソフトのユーザーだというフリージャーナリストの西田宗千佳氏がfreeeを直撃インタビュー。freee クラウドバックオフィス コンサルタントの井上健氏に、freeeが持つ魅力や圧倒的な低価格の秘密、今後の展開などを聞いた。
"経理を自分でやらなくて済む" freeeの魅力
西田: 私のようなフリーランスの場合は小売業など一般的な会計と違うので、正直なところ今までの会計ソフトは手に余るものが多かったんです。その点、freeeは幅広い業種に対応していて使いやすいですね。
井上: ありがとうございます。freeeを使うメリットは、経理を自分でやらなくて済むということです。現金での購入時は若干入力が必要ですが、クレジットカードで購入すれば情報の取得から帳簿入力までをすべて自動化できます。
西田: 特に外部連携と自動仕訳の組み合わせが非常に助かっています。仕事柄、Amazonで電子書籍を購入する機会が多いのですが、今までは品目がすべて「Amazon international」と記載されていたので、明細を見ながらExcelで再入力する必要がありました。でもfreeeならゲームや電子書籍を自動で仕訳でき、なおかつレポート機能で可視化してくれます。電子書籍の購入量が右肩上がりに増えているのも一目瞭然でした。
井上: 経理業務の効率化に加えて、freeeで注目していただきたいのがそのレポートなんです。
たとえば飲食店が税理士にレポートを依頼したとして、2カ月後に「こんなに売上が落ちていた」「経費が増えていた」など前々月のレポートを渡されても、対策をするには遅い状況ですよね。その点、freeeならリアルタイムでレポートに反映されるので、売上が好調な商品を中心にキャンペーンを開催するなど、今現在の数字からすぐに判断できます。
西田: 確かに現在は昔と比べて人の動きやビジネスのスピード、トレンドの移り変わりも格段に速くなっているので、的確なタイミングで上手くフォローできるが勝負の分かれ目になりますね。通常は勘に頼るしかなく、場合によっては過剰発注などアンバランスさを生むこともありますが、システムのサポートがあれば明確に把握できます。なにより、経理があまり得意でない人でも全体のバランスが分かる、というのが重要ですね。起業される方は必ずしも経理が得意なわけではなく、あくまでもビジネスをやりたいわけですから。
井上: そうなんです。経理業務はお金を生まないですから、なぜそこに時間を費やさなければいけないのか、という方も相当数いらっしゃいます。でも法律で決まっているから、白色申告や青色申告の期限ギリギリに重い腰を上げるのですが、そこは自動化すれば焦らなくて良いんですよ。
シェアよりもユーザーの利便性向上が最優先
西田: freeeが業界で一番最初に自動仕訳機能付きのクラウド型会計ソフトを提供開始しましたが、そこから他社も続々と競合製品をリリースしてきています。こうした競合他社に対してはどのように考えていらっしゃいますか?
井上: 昨年末に発表された会計ソフトの市場調査では、freeeが41.3%でトップシェアを獲得(参考記事: クラウド会計ソフト、シェア1位は「freee」)しましたが、実はシェアに関して弊社ではあまり関心がありません。1位という肩書よりも、実際にfreeeで中小企業のビジネスが円滑になることの方が重要です。お客様の声を真摯に受け止め、それを反映していけば、きっとシェアも伸びるんじゃないか、といった程度ですね。
西田: なるほど。そうした使いやすさの向上にも関連しますが、freeeは他のサービスとの連携スピードが非常に早いですよね。やはりフットワークの軽さも意識されているのでしょうか。
井上: freeeの弱みは十分把握しており、改善が必要な部分もありますが、すべてを社内開発で賄えるとは思っていません。むしろ、ユーザーの使いやすさが向上するのであればパートナーシップは大歓迎ですし、オープンな会計ソフトを目指してAPIの公開も行っています。大変嬉しいことに、最近は「このようなソフトを作っているのでぜひ連携させてください」といったご依頼も多くなっています。
入りやすさを重視したからこその低価格
西田: ユーザーからの相談やサポート依頼については、どのような内容が多いのでしょうか?
井上: 昔から多かったのは「なにが分からないのか分からない」、そして最近増えてきたのが「他社ソフトから移行したい」というものです。
前者の場合は、銀行口座の登録やネットバンキングとの同期、そしてネックになりやすい開始残高の設定など、基本的な部分からご案内していきます。UI自体は直感的に操作できるので、あとは「自動で経理」の使い方や取引の登録方法を説明。実際に数回使ってもらい、それでも分からなかったらチャットでお声掛けください、という感じです。なるべく分かりやすいようヘルプページを充実させ、解説動画も用意しました。サポートについては昨年の数名体制から、現在は数十名まで拡充しています。
西田: やはり最初の導入で躓かれる方が多いんですか。他社ソフトからの移行も最近増えているとのことですが、freeeはCSVファイルのインポートができましたよね。
井上: はい、対応しています。他社製の会計ソフトから仕訳帳をエクスポートした後、Excelなどでfreee用にデータを一部整える必要がありますが、わずかな手間だけで使えるようになります。インポート時、freeeにない勘定科については修正が可能です。もし分からないようでしたら、無料の代行サービスもご提供しています。
西田: 無料の代行サービスは、これまで悪戦苦闘していた方にとって非常にありがたいですね。
井上: よく「本当に無料ですか?」と聞かれますが無料です(笑) 他社ではサポート料金が別途必要になる場合もありますが、freeeはチャットサポートも月額980円の中に含まれています。
西田: 以前からお聞きしたかったんですが、なぜこんなに安いのか? 会計関連のソフトやサービスは、freeeが登場するまでいかにも"業務系"という価格でした。それをなぜこの価格で提供しているのかが不思議で。もちろんユーザーとしては嬉しい限りなんですけど(笑)
井上: 数万円するパッケージ製品と違い、980円ならコンビニでジュースを買うような感覚で気軽に使っていただけると思います。ユーザーが増えれば最終的にはこの価格でも利益は出ますから、まずは入りやすさを重視しました。おかげさまで、2013年3月のサービス開始から1年4カ月で登録事業者数10万件を突破し、2014年昨年末で約15万件にまで達しています。
freee上ですべて完結できる統合プラットフォームを目指して
西田: freeeは現在、会計ソフト市場でトップシェアを獲得していますが、今後どのような方向性を目指しているのでしょうか? 新たなビジョンなどがあればお聞かせください。
井上: 会計はすべての着地点だと思っています。そこで会計ソフトとしてのブラッシュアップはもちろん、将来的にはfreeeへログインするだけで、販売管理や予算管理などまですべて完結できるような統合プラットフォームを目指したいですね。freeeと起業のアイデアがあればビジネスができる、そんなイメージです。
日本の開業率は米国などと比べて非常に低いのですが、そのネックのひとつとなっている会計をサポートすることで、ビジネスの新しい扉が開くかもしれません。
それともうひとつ、いま社内では"バックオフィスの最適化"というワードに注目しています。会計に限らず、ワークスタイルも含めて良い方向に導いていければと考えています。
西田: freeeが統合プラットフォーム化すれば、今よりもさらに需要が高まりそうですね。個人的にも非常に期待しています。本日はありがとうございました。
・freee公式サイト
http://www.freee.co.jp/
■freeeより、読者プレゼントのお知らせ |
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今回取材した、クラウド会計ソフト「freee」を使用した確定申告の手順ハウツー書籍 「世界一ラクにできる確定申告 ~全自動会計ソフト「freee」で手間なく完結! ~ 平成27年版」(技術評論社) を、抽選で3名様にプレゼントします。 |
応募方法 |
こちらのメールアドレス『 news-present01@mynavi.jp 』宛に、当選時の送付先となる ・氏名 ・住所 ・電話番号 を明記し、送付下さい。(当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます) |
応募期間は、2015年2月15日(日)23:59まで |
西田宗千佳 --聞き手プロフィール
PC/デジタルAV/家電/ネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」を得意分野とするフリージャーナリスト。各媒体への寄稿に加えて、テレビ番組・雑誌などの監修も手がけている。
主な著作に「漂流するソニーのDNA・プレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏」(エンターブレイン)、「世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)など。
コラムニストの小寺信良氏と合同で発行する業界俯瞰型メールマガジン「金曜ランチビュッフェ」も配信中。
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