業務用インクジェットプリンターメーカーとして有名なローランド ディー.ジー.(以下ローランドDG)。同社は平面の印刷以外にも、3次元造形機器として切削加工機を開発している。実は1986年以降、四半世紀に及ぶ歴史と実績があるのだ。そして2014年9月3日、同社は新シリーズとして「monoFab」を発表。そのラインナップとして、光造形方式による3Dプリンター「ARM-10」、切削加工機「SRM-20」の2機種が同時発売されることとなった。
両機種とも、ローランドDGが掲げる「Desktop Fabrication(机上でのものづくり)」のコンセプトに沿った、コンパクトな設計がポイント。特に「ARM-10」は、切削機において数多くの実績をもつローランドDGが、初めて開発した3Dプリンターとして大きな話題となっている。本記事では、同社 国内営業部 国内マーケティング課 錦見尚樹氏に話を伺い、新たに登場した2機種の実力を紹介する。
デスクトップにこだわった新製品
発表された新製品で、特に目を見張るのはそのコンパクトさだ。「ARM-10」は430(幅)×365(奥行)×450(高さ)mm、「SRM-20」は451.0(幅)×426.6(奥行)×426.2(高さ)mm。また重さはそれぞれ17kgと19.6kg。一般的なオフィスにあるデスクでも、ノートPCも含めた機材一式が十分に収まるサイズとなっている。
「今回の新製品は、オフィス環境でもストレスなく使用できることが大きな特徴となっています。かつてのDTPやDTMのように、デスクトップで3次元造形が可能になれば、そこからさまざまなイノベーションが生まれます。それが我々ローランドDGのコンセプトである"Desktop Fabrication"なのです」(錦見氏)
続いて、それぞれの特徴について、さらに深く掘り下げてみよう。
光造形方式を採用したローランドDG初の3Dプリンター「ARM-10」
ローランドDGにとって初めての3Dプリンターである「ARM-10」は、光造形方式を採用している。これはUV-LED(紫外線発光ダイオード)からのUV照射により、液状の樹脂を一層ずつ硬化させながら積層し、造形を行うもの。面で照射するプロジェクター方式によって、点で照射するレーザー方式よりも短時間での造形を実現している。
なお、同製品には出力用ソフトウェア「monoFab Player AM」が標準で付属されている。3Dデータの不備を自動修復するヒーリング機能や、サポートを自動生成する機能が搭載されており、3Dプリンターに不慣れな人でも気軽に扱うことが可能だ。
「削って造形する切削加工機と、盛って造形する3Dプリンター。この2つを組み合わせることで、各工程の要求や状況に応じた、最適な提案が可能となります。私たちにとっても、ARM-10の誕生は非常に大きな意味を持ちます」(錦見氏)