F5ネットワークスジャパン(以下、F5)は2014年2月6日、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルにて、F5の最新ソリューションやテクノロジーを紹介するプライベートイベント「F5 AGILITY Tokyo 2014 ~Solutions for an application world~」を開催した。このイベントには、カスタマーやパートナーなど500名近くが参加、セミナーセッションやソリューションを紹介するブースなどは熱気を感じる活況を見せた。またセッションでは、米国本社のF5 Networks Inc. からCEOをはじめ3人の役員が来日し、講演を行った。そこではF5の新しいビジョンである「F5 Synthesis(シンセシス)」を中心に最新の市場動向やソリューションが披露された。本稿では、「F5 AGILITY Tokyo 2014」の模様とともに、3名の役員のセッション内容を紹介する。

F5 AGILITY Tokyo 2014 ~Solutions for an application world~

F5の新しいビジョン Synthesis:
クラウド上のあらゆるアプリケーションを制約から解き放つ

F5 Networks, Inc. プレジデント & CEO ジョン・マッカダム氏

最初に登壇したのはF5 Networks, Inc. プレジデント兼CEOのジョン・マッカダム氏。セッションのテーマは「F5の新ビジョン"Synthesis"でビジネス環境を変える」だ。2013年、F5 Networksはグローバル規模で過去最高の売上となる14億8000万ドルを達成。グローバル規模で積極的に人材を採用するなど、事業規模は拡大の傾向を続けている。ユーザー層もあらゆる業種とアプリケーションに広がっており、マッカダム氏は「モバイルオペレータ、クラウドプロバイダー、エンタープライズ、Webサービス事業者などのあらゆるビジネスアプリケーション環境でF5製品の採用が広がり続けています」と語る。
同社の戦略は、今回のイベントテーマでもある新ビジョン「F5 Synthesis」と「Software Defined Application Services(ソフトウェア・デファインド・アプリケーション・サービス)」そのものと言える。

「アプリケーションを制約から解き放つ。これがF5の新ビジョン Synthesisが目指すところです。クラウドへ展開される全てのアプリケーションが直面する課題を解決する為に生まれたものなのです」(マッカダム氏)

F5は、従来より「Software Defined Data Center(SDDC:ソフトウェアによってITインフラが仮想化、自動化、集中制御され、「サービス」として提供されるデータセンターのあり方)」の推進を提唱しており、このSDDCの実現をSynthesisは加速させると確信している。

F5 Synthesisは、あらゆるクラウド上のアプリケーション環境に「迅速性、安全性、可用性」を実現するための新しいビジョンであり、Software Defined Application Servicesは、そのビジョンを実現するためのアーキテクチャデザインだ。ビジネス要件の変化に合わせたアプリケーションのシームレスな拡張性、可用性、安全性を、プライベート/パブリック/ハイブリッドクラウド基盤へオーケストレーション技術と連携しながら迅速に実現するといった特長があります。お客様はビジネスの競合優位性をより高めながら、トレンドに合致したアプリケーションを素早く展開できます」(マッカダム氏)

Software Defined Application Servicesアーキテクチャは、エコパートナーと連携してSDDCを実現する

『F5 AGILITY Tokyo 2014 ~Solutions for an application world~』の資料を配布中です。以下のURLからダウンロードしてご覧ください。
http://www.f5networks.co.jp/agility/

アプリケーションをクラウドで利用するとき、
果たして安全かつ安定して素早く運用できるのか?

F5 Networks, Inc. エグゼクティブ バイスプレジデント オブ ストラテジックソリューションズ マニュエル・リベロ氏

続いて登壇したのは、F5 Networks, Inc. エグゼクティブ バイスプレジデント オブ ストラテジックソリューションズのマニュエル・リベロ氏だ。リベロ氏のセッション「Software Defined Application ServiceでITを革新する~アプリケーションの力を最大化する新時代アーキテクチャ~」では、F5 Synthesis とSoftware Defined Application Serviceについて、より具体的な紹介が行われた。

リベロ氏は、「いまユーザーは、あらゆるビジネスシーンで戸惑っています」と指摘する。「アプリケーションをクラウド上で展開するとき、果たしてセキュリティは確保できるのか、アプリケーションは安定して運用できるのか……また、SDN(Software Defined Networking:ソフトウェアによってネットワークを集中制御する技術)への期待や不安を持っているお客様もいます。当社は『あらゆるアプリケーションを必要なときに、時間や場所にかかわらず、安定してかつ安全に、素早く配信できる環境を提供する』ことをミッションにしています。ユーザーのモビリティは急速に高まりを見せ、IoT(Internet of Things:物のインターネット(あらゆる物をインターネットに接続し、制御する技術)も普及段階に入っています」と、リベロ氏はユーザーを取り巻くIT環境の変化を端的に説明する。

クラウドについても、リベロ氏は自身の考えを以下のように語った。「パブリッククラウドが普及し、これを利用することでユーザーは迅速なサービス展開が可能になりました。しかしサービスレベルは保証されず、セキュリティレベルに不安も残ります。今後はプライベートクラウドとパブリッククラウド、ハイブリッドクラウド環境へビジネス活動に応じて自在にアプリケーションをシームレスに展開していくことが必然と私は確信しています。また、ユーザーは常に変化し続けるものです。モバイルデバイスで、時間や場所に関わらずアプリケーションを利用する近年のトレンドを考えると、アプリケーションの出入り口だけに鍵をかけていたような従来のセキュリティアプローチだけでは通用しなくなりつつあります。モバイル端末の中に入り込んでユーザーを追跡していくことが、これからのセキュリティのあり方だと考えています」

またリベロ氏は「これからの時代、『クラウドを作る』というのはアプリケーションにダイナミックなサービス環境を提供することを意味しています」と言う。アプリケーションを安全かつ安定して、そしてユーザーの変化に合わせて迅速に変化させるためには、どう運用管理すべきか。クラウドではネットワークを介してアプリケーションを使うことが前提ですが、ネットワークで繋ぐことを中心に考えられている従来のSDNではこうした課題を解決できなかったのです。その解決のためには、ネットワークからアプリケーションへ安全性、安定性、高速性サービスを提供するレイヤー4~7のテクノロジーが不可欠です。このレイヤー4~7のテクノロジーについて、SDDC全体を見据えて如何に管理すべきなのか、というのがお客様の新しい課題です。そうした課題に対するF5からの回答がSynthesisであり、アーキテクチャデザインがSoftware Defined Application Serviceなのです」

『F5 AGILITY Tokyo 2014 ~Solutions for an application world~』の資料を配布中です。以下のURLからダウンロードしてご覧ください。
http://www.f5networks.co.jp/agility/

進化し続けるF5のテクノロジーロードマップ

F5 Networks, Inc. エグゼクティブ バイス プレジデント オブ プロダクトディベロップメント兼CTO カール・トリーブス氏

ゼネラルセッションの最後は、F5 Networks, Inc. エグゼクティブ バイス プレジデント オブ プロダクトディベロップメント兼CTOのカール・トリーブス氏が登壇。「すべてのレイヤーをSoftware DefineするF5のテクノロジー戦略」について講演した。トリーブス氏は現在のF5の開発拠点が世界各地へと拡大していることを紹介した後、2014年前半に予定しているコードネーム「バンクーバー」と呼ばれる大規模リリースについて紹介。セキュアWebゲートウェイやDDoS攻撃対策などセキュリティ製品のリリースおよび強化、サービスプロバイダー向けの製品アップデートについて解説した。

「2013年はアプライアンスを大幅刷新しました。そして2013年12月に登場したF5 Synthesis Software Defined Application Serviceアーキテクチャの実現と拡張を目指して、製品やテクノロジーの開発に注力していきます。F5のコアテクノロジーであるTMOSのアプリケーションフルプロキシから生まれるサービスの品質の向上、管理性、セキュリティ強化を実現しています。管理性を高めるために『iCall』『iRules』『iControl』などの機能を提供しているほか、ハードウェアもより高密度化してパフォーマンスを向上させる開発を続けています。これらはすべて、お客様がより良いサービスをクラウド環境で容易に実現可能にするためのものなのです」(トリーブス氏)

モビリティ化に向けたセキュリティ向上も、F5のフォーカスしているテーマの一つだ。トリーブス氏は「Versafeの買収、Websenseとの協業などを通じてモバイル化に伴う脆弱性への対策を強化しています。また、SDDC全体の高度化に向けて、Cisco SystemsのACIやVMwareとのVDI、ネットワーク仮想化の分野での協業、製品開発も強化していきます」と話を締めくくった。

F5ネットワークスジャパン 代表取締役社長 アリイ・ヒロシ氏

このイベントで、F5ネットワークスジャパンの代表取締役社長、アリイ・ヒロシ氏が日本市場におけるユーザーやパートナーに対して力強いコミットメント・メッセージを贈るとともに、基調講演では楽天 執行役員 情報技術部副部長、楽天技術研究所所長の森正弥氏が登壇し、制約から解放されたネットワークが実現するeコマースの最前線について語った。森氏はハイブリッドクラウドの仮想化、そして本格的なIoT時代に向けたデータサイエンティストの育成の必要性などを訴えた。また、会場内ではパートナー各社によるセッションをはじめ、展示ブースでの実機デモも繰り広げられた。各社とも熱いデモンストレーションを繰り広げた。いずれの会場も熱心に耳を傾ける来場者で溢れ、IT市場の今後の方向性について強く実感できるイベントとなった。

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