Windows XPの延長サポートが2014年4月で終了する。今、多くの企業では様々な移行方法やソリューションを検討しているはずだ。どの方法が自社にとって最適なものであるか、判断に迷っているところかもしれない。移行の方法を検討する際に忘れられがちなのが、移行"後"のPC運用についてである。多大なコストをかけて移行するのだから、移行時のみならず、移行後の運用も見据えたソリューションを選択する事が重要だ。本稿ではその"解"となるソリューションを紹介したい。

OS移行時のダウンタイムは非常に大きなロス

IT管理者だけでなく、ビジネスの最前線にいる一般社員にとっても、OSの移行は手間も時間もかかる作業である。データの移行やアプリーションのインストール、さらに新規PCにリプレースした場合には初期セットアップやデータコンバートも必要だ。さらに問題なのが、移行作業中は完全に業務が中断され、その間の機会損失が発生する事である。

こうしたOS移行時に発生するダウンタイム、つまり「PCが使えない時間」は企業にとって非常に大きなロスとなる。

株式会社ネットワールド
マーケティング部 クラウド基盤グループ 主任 向平 友治氏

「Windows XPから新OSへの移行ソリューションを検討する際大事なのは、スムーズに移行する事はもちろん、移行時に発生する社員がPCを使えない時間を極小化する事、さらには多大な損失をかけて移行するのだから、移行後に運用が改善できるソリューションを選択する事である」と説くのは、ネットワールド マーケティング部クラウド基盤グループ主任の向平友治氏である。

同氏は「Windows XPから新OSに移行しただけでは、サポート終了の問題は解決してもクライアント管理の課題は先送りされるだけ。次のOSサポート終了時にも同じ事を繰り返さなければならなくなる」と警鐘を鳴らす。

こうした環境の構築に必要なのは、社員が利用するクライアントPCを、"企業として生産性を向上させつつ、ある一定の管理ができる"、トレードオフになりがちなこの2つの要素を両立する環境構築であり、それを実現するのが、「VMware Horizon Mirage」であると向平氏は主張する。

クライアントPCをイメージ化して集中管理する

「VMware Horizon Mirage」は、クライアントPCをイメージ化してサーバ側で集中管理するソリューションである。イメージ化されたクライアントPCのデータは、管理者がオンライン配信する事ができるOSやアプリケーションなどのレイヤとPCのプロファイルや使ったデータのバックアップが自動で取得される部分であるユーザーが管理するレイヤの大きく2つに分割されサーバ側にイメージが作られる。

サーバ側で各クライアントPCのイメージに対してマスタイメージを適用すると、各クライアントPCに配信される。配信はバックグラウンドで行われるため、クライアントPC側には影響が少ない

Mirageのレイヤリング技術。クライアントPC内のデータを大きく2つに階層化し、データをサーバにイメージ取得する

2つのレイヤに分けて管理する事で、1台のPCイメージでありながらお互いを独立して管理する事ができる。たとえば、OSやアプリケーションを管理者からオンラインで配信しても、ユーザーのプロファイルやデータは維持されるのである。反対に、ユーザーのプロファイルやデータのみを他のPCに移行して利用する事も可能になる。

またOSやアプリケーションの配信やバックアップの取得などのサーバとの通信は全てバックグラウンドで行われる為、ユーザーは配信されている最中も通常通りPCを利用し続ける事が可能である。この機能を利用して対象となるPCへWindows7を配信する事で、ダウンタイムの発生を限りなく抑えた移行作業が実現するのである。

さらに、複数拠点を持つ企業にとって大きなメリットとなるのが、遠隔地であってもオンライン配信で移行できる点である。

VMware Horizon Mirageには「Branch Reflector」という機能が標準で備わっている。これは、WAN(Wide Area Network)を介して通信される遠隔地の拠点にイメージを配信するときに用いられるものだ。遠隔地にあるすべてのクライアントPCがサーバとやり取りするとWAN帯域を圧迫してしまう。そこでBranch Refl ectorの機能を用いて拠点内のPCのうちの1台を、サーバの代わりとして指定する事ができる。これを利用すれば、サーバ側と通信するのはそのPC1台のみで、そこから各クライアントPCへローカル内でアップデートを行う。つまりBranch Refl ectorを利用すれば、WANを流れる帯域を極小化する事が可能なのだ。

PCをイメージ化して集中管理するメリットはそれだけではない。

「たとえば、新しいアプリケーションを導入する際でも管理者がそのアプリケーションを社員のPCへ一括配信するだけで済む。以前はインストール手順などを記したマニュアルを配布し、ユーザーがインストール作業をしていたが、一般社員にとっては全く業務に関係のないそのような作業が一切不要になる。

また、新規PCのキッティングも、管理者側からマスタイメージを配布するだけなので、作業工程が大幅に簡素化できる。もちろん、この作業もオンラインで配信できるので、管理者がクライアントPCのところまで行って作業する必要はない」(向平氏)

一方ユーザーが管理するレイヤはカスタマイズ情報などの「IDレイヤ」と、ユーザーのデータプロファイルやユーザーが個別にインストールしたアプリケーションなどの「ユーザーのカスタム設定レイヤ」で構成される。

ユーザーが作成したデータや独自設定は同レイヤに属しており、初期設定では1時間に1回サーバ側と同期される。その際には、変更データの差分のみ実行されるので、クライアントPC側にもネットワークにもほとんど負荷がかからない。

もちろん、管理者が管理するレイヤに変更があったとしても、ユーザーが管理するレイヤにあるデータが影響を受ける事はない。つまり、Windows XPから新OSへ移行する際も、ユーザーが管理するレイヤにあるデータを移動させたり手動でバックアップをしたりする必要がないのだ。

アプリケーションの互換性問題にも対応できる

Windows XPからの移行でもっとも懸念されるのが、アプリケーションの互換性である。新OS上で稼働するかどうかの検証は、思いのほか手間と時間がかかる。そのうえプログラムの改修が必要になった場合には、さらに時間を取られてしまう。

こうした課題も「VMware Horizon Mirage」にバンドルされている「ThinApp」を利用すれば解決できる。ThinAppはアプリケーションを仮想化するソリューションで、OSからアプリケーションの実行環境を切り離し、OSの互換性を排除する事ができる。これにより、アプリケーションの改修作業や、それにまつわるコストも大幅に削減できるというわけだ。しかもThinAppで仮想化したアプリケーションもMirageの配信機能で配信する事が可能だ。

「VMware Horizon Mirageは単なるWindows XPの移行ツールではない。移行時のIT管理者負担の軽減はもちろんだが、移行後もエンドユーザーの生産性を大きく向上させるための包括的なクライアント管理ソリューションだ」と向平氏は強調する。

たとえば、クライアントPC側のハードウェア上のトラブルがあった場合、一時的に他のクライアントPCにデータを展開すれば、すぐに業務が再開できる。ユーザーが管理するレイヤは定期的にサーバと同期がとられているので、クライアントPC側で間違ってファイルを消してもすぐにクライアントPC側の操作で戻す事もできる。

また、MirageクライアントPCがインストールされていないデバイスからでも、Webブラウザ経由で自分のクライアントPCデータにWEBアクセスが可能。今後、タブレット端末など、ひとりが所有するデバイス数が増加する中、こうした機能は社員の生産性向上に大きく貢献するだろう。

「Windows XPの移行作業と並行し、強固で柔軟性のあるクライアント管理システムを構築する事が、"移行後"のビジネスを大きく左右する。長期的視点で考えれば、移行作業のタイミングは、社内にあるクライアントPCの資産/運用管理のあり方を見直し、社員ひとりひとりがビジネスに集中できるシステム環境を整備するチャンスなのだ」(向平氏)

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