ネットワーク経由でアクセスしてデータの保存と管理が行えるNASは、非常に便利な機器だ。このほどネットギアジャパンから登場したNASキット「Stora(ストラ)」は、難しい設定が不要で手軽に利用でき、実売価格も11,800円程度とリーズナブル。初めてNASを導入する人にもオススメだ。今回から前編と後編の2回にわたり、Stora(ストラ)の魅力を紹介していく。

レビューシリーズ後編となる
【 高機能でもリーズナブル! ネットギアの個人向けNASキット「Stora」(後編) 】
も合わせてご覧ください。

ネットワーク機器メーカーとして名高いネットギアのエントリーNASキット

ネットギアジャパン(以下、ネットギア)は多彩なネットワーク機器を手がけており、コンシューマー向け製品から、高性能なエンタープライズ向け製品まで、幅広いラインナップを誇る。信頼性と性能の高さでも定評があり、基幹ネットワークにネットギア製品を導入している企業も多い。コンシューマー向けの製品にはやや高価なイメージがあるが、その性能や充実した保証などを考えると、決して高くはなく、むしろコストパフォーマンスは高いといってよい。

Stora(ストラ)の外観。キューブ状のボディを採用し、本体サイズもW150×D175×H146mmとコンパクトだ

今回登場したNASキット「Stora(ストラ)」は、ネットギアのコンシューマー向けNAS製品の中では、エントリークラスに位置する。使い勝手がよく機能も充実しているので、NASを使うのは初めてという人にすすめたい製品だ。Stora(ストラ)は"NASキット"であり、Stora(ストラ)に内蔵するためのHDDは別途用意する必要があるが、そのぶんStora(ストラ)本体は実売価格11,800円前後と安い。HDDの価格は年々低下しており、2TBの製品でも6,000円前後から購入できるので(2011年7月現在)、あまりコストがかからず気軽に導入できる。また、PC自作が趣味の中上級者なら、HDDが余っているという人も多いだろう。Stora(ストラ)を利用すれば、そうしたHDDも有効活用できるのだ。

なお、ネットギアのコンシューマー向けNAS製品としては、下記に示すように、上位機種としてスタンダードモデルの「ReadyNAS Ultra」シリーズと、ハイパフォーマンスモデルの「ReadyNAS Ultra Plus」シリーズが用意されている。ReadyNAS Ultraシリーズは、独自の自動ボリューム拡張機能「X-RAID2」やiSCSI SAN機能、2つのギガビットイーサネットポートを備えた高機能NASで、アドオンによってリモートアクセス機能やメディアサーバ機能などを自由に追加できることが魅力だ。ハイパフォーマンスモデルのReadyNAS Ultra Plusシリーズは、デュアルコアプロセッサ搭載で高速なスループットを実現し、大容量ファイルの転送や動画のストリーミングといった用途にも向いている。ReadyNAS UltraシリーズとReadyNAS Ultra Plusシリーズとも、HDDを2台まで搭載可能な2ベイモデル、4台まで搭載可能な4ベイモデル、6台まで搭載可能な6ベイモデルが用意されている。

ネットギアのコンシューマー向けNAS製品のラインナップ。今回登場したエントリーモデルのStora(ストラ)の上位機種として、スタンダードモデルの「ReadyNAS Ultra」シリーズ、ハイパフォーマンスモデルの「ReadyNAS Ultra Plus」シリーズがある

3.5インチSATA HDDを2台搭載可能な「Stora(ストラ)」

それではまず、Stora(ストラ)の概要を紹介しよう。Stora(ストラ)は、3.5インチSATA HDDを2台搭載なNASキットだ。対応HDDは2TBまでのSATA HDDで、HDDは1台でも動作する。HDD×2台搭載時は、信頼性重視のRAID 1(ミラーリング)と容量重視のJBODを選択できる。2TB HDDを2台搭載した場合、利用できる容量はRAID 1では2TB、JBODでは4TBとなる。ボディはキューブ状で、本体サイズはW150×D175×H146mmとコンパクトで、重量は1.36kgと軽い。カラーはブラックで光沢があり、Blu-rayレコーダーや液晶テレビなどと一緒に設置しても違和感がない。ボディのデザインや質感にこだわる人も満足する外観に仕上がっている。

機能も充実しており、DLNA対応のメディアサーバ機能やiTunesサーバ機能を備える。また、USB 2.0ポートを備えており、USB接続の外付け型HDDやプリンタ/複合機、デジタルカメラといったUSB機器の接続が可能だ。対応OSがWindows XP/Vista/7、およびMac OSと幅広いのも嬉しい(※MacOS X 10.7 Lionには対応していません)。

カラーは光沢のあるブラックで、AVラックやテレビ台に置いても違和感なくすっきりと溶け込む

Stora(ストラ)の背面。ギガビットイーサネットポートとリセットボタン、電源ボタンが用意されている。上部にある2つのレバーはHDD取り外し用のレバーだ

Stora(ストラ)へのアクセスや設定はWebブラウザから行えるが、サポートされているWebブラウザも、Internet Exolorer 6.0以上(IE 9.0動作確認済み)、Netscape Navigator 7.0、Safari 1.22以上、Mozilla Firefox 1.03以上と多い。PCからのアクセスはもちろん、iTunesクライアントやiPhone/iPad/iPod touch、Android端末、DLNA/UPnP対応デバイスからのアクセスもサポートされているので、さまざまな場面で活用できる。さらに、Windows BackupやApple Time Machineにも対応するほか、外出先からインターネット経由でアクセスできるリモートアクセス機能も備える。有線LANポートはギガビットイーサネット対応であり、このクラスのコンシューマー向けNASとしては、トップクラスの機能を誇るといってよい。

ネジ止めやドライバー不要でわずか10秒の組み立て

Stora(ストラ)は、内蔵HDDの組み込みが簡単なこともウリの1つだ。一般的なNASキットでは、ドライバーでカバーを固定しているネジを外して、HDDを中に組み込み、HDDをネジ止めして、再びカバーを固定するといった手順が必要になるが、Stora(ストラ)ではドライバーなどの工具は一切不要。フロントパネルを上方向にスライドして外し、HDDを挿入したら、再びフロントパネルを装着するだけで、組み立てが完了する。この簡単さは、まさに感動ものだ。

ドライバーを使わず、フロントパネルをスライドさせるだけで、フロントパネルを取り外せる

HDDを2台搭載する場合、このようにHDDを向かい合わせにして挿入する

HDDを挿入した状態。HDDが完全に内部に収納されていればOKだ

冷却用ファンが上面に用意されているが、通常利用時のファンの騒音はかなり小さく、ほとんど気にならないレベルだった。NASは常に電源オンで使うケースが多いため、この静音性はとても嬉しい。

ソフトウェアのセットアップも簡単

ソフトウェアのセットアップも非常に簡単だ。ネットワークに関する専門知識がなくても、戸惑うことなくセットアップできる。HDDを組み込んだら、ルータ(有線LANハブ)とStora(ストラ)本体をLANケーブルで接続し、電源ケーブル(電源は付属のACアダプタ)を接続。電源ボタンを押せば、自動的にHDDの認識が行われる。Stora(ストラ)本体のHDD LEDが緑色に点灯したら、準備は完了だ。付属CD-ROMをPCの光学ドライブに入れ、セットアッププログラムを起動して画面の指示に従っていくだけでよい。

Stora(ストラ)のセットアッププログラム。まず「ステップ1」をクリックし、初期セットアップを行う

セットアップの途中でプロダクトキーとStora名を入力。Stora名はユニークな名称(他のStoraユーザーが使っていない名称)にする必要がある

セットアップの途中で、付属CD-ROMのジャケットに記載されているプロダクトキーとStora名の入力を求められる。Stora名は、リモートアクセス機能での識別に使われるため、すでに使われている名称(他のStoraユーザーと同じ名称)は利用できない。Stora名の入力が終わったら、同様にユーザー名やパスワードを指定すれば、初期セットアップは完了だ。