手軽に請求書・見積書を発行したい企業にうってつけ
Zohoの豊富なサービスの中でぜひ一度使ってみていただきたいのが「Zoho Invoice」だ。これは、請求書や見積書の発行と管理を担当してくれるツールだ。
今時、請求書や見積書を手書きで発行しているという企業はあまりないだろう。しかし、これらの作業を簡単に行っていて管理も完璧と言える企業はそれほど多くないのではないだろうか。
請求書や見積書発行専用のPCを用意する方法においては、外出先で見積りを簡単に修正できないのはもちろん、朝や夕方など営業担当者がオフィスに集まっている時間帯は順番待ちになってしまいがちだ。効率良く作業をしたいという現場の要望にこたえるには厳しい環境だろう。
一方、「作成は各自のPCで行ってよいけれど、作成したファイルは共有ファイルサーバに保存しておく」といったルールで運用している場合は比較的身軽に動くことができる。しかし、ユーザーがきちんとファイルを保存してくれなかったり、ファイル名の付け方がルールに従っていなかったりする人がいれば、管理面で不安が残る。実際の作成日ではなく書類上の日付で管理したい場合もバラバラにファイルを集めるだけの方法では難しい。
軽快に使うことが可能ながら、一元的に管理できる請求書・見積書発行システム。こういうものが欲しいならば、「Zoho Invoice」に乗り換えることで課題を解決できる。クラウド上のデータにどこからでもアクセスでき、作成されたデータや発行履歴もすべてクラウド上に蓄積されるから、管理も簡単で確実だ。
連絡先は「Zoho CRM」や「Google Apps」から取得可能
「Zoho Invoice」を使うには、Zohoアカウントでログインした後で企業情報などを入力する必要がある。機能を有効にした後、管理者は自社の住所や請求書に表示するロゴデータなどを登録し、さらに税金のデータを登録しておこう。まず、必須となるのは消費税だ。税率が変更されるという話もあるが、自分で入力するこの方式なら対応も簡単だ。
加えて、顧客情報もインポートしておこう。ローカルにデータがある場合は、CSVまたはTSV方式のカンマ区切りのデータに変換して取り込むことができる。区切り方式などに自信がない場合は、サンプルファイルをダウンロードして参考にするとよい。
「Zoho CRM」を使っているならば、CRMのデータから取り込むことも可能だ。「Zoho CRM」も請求書を作成できる機能を提供しているが、こちらはあくまでも顧客単位での管理となる。取引先がごく少数の場合は顧客ごとの請求書管理でも問題ないかもしれないが、企業としては全体で請求書・見積書を管理したいところだ。本格的に請求書・見積書の発行と管理をクラウド化しようと考えるならば、「Zoho Invoice」を有効化し、CRMから企業データを取り込もう。
もし「Zoho CRMを使っていないけれどGoogle Appsは導入済み」という場合は、Google Appsの連絡先から顧客情報を取り込むこともできる。この時、連絡先を1件ずつインポートするかどうか選択できるのがうれしい。メールのやりとりはしているが、請求書や見積書を発行する可能性はないという相手が存在する。そうした相手の連絡先をインポート時にフィルタリングできるから、ムダのない顧客リストが作成しやすいというわけだ。
発行作業はプルダウンでさくさく
実際の利用方法は簡単だ。まず、発行したい文書を決める。見積書を作るならば、上部メニューで「見積書」をクリックする。さらに右側にある「新しい見積書」をクリックすると、作成画面が表示される。
すでに登録してある顧客に定番商品の見積書を発行するなら、特に作業は簡単だ。顧客も商品もプルダウンメニューから選択するだけで入力できる。もちろん、ここで新しい顧客や商品を登録することも可能だ。使い始めは逐次入力する項目が多いだろうが、使い込んで行けばほぼプルダウンメニューだけで発行処理を済ませることができてしまう。
商品価格や割引などは、プルダウンで選んだ商品に合わせて表示された価格を手直しすることもできる。他社向けの見積書を参考に作りたい場合は、まるごと複製して顧客を変更することも可能だ。
見積書や請求書の基本的なフォーマットは、管理ユーザーがカスタマイズすることができる。ロゴの追加はもちろん、支払い条件や備考部分のデフォルトを決めておけばより扱いやすくなるはずだ。
作成した請求書はPDFとして出力したり、そのまま印刷したりできる。さらに、メール送信機能を使えばZohoメールを利用してPDF化したファイルを添付したメールの送信も可能だ。作られた見積書や請求書は、カテゴリトップで一覧化されており、発行状況や入金状況が一目瞭然だ。管理の手間がかからないのがうれしい。
柔軟なデータ操作とテンプレートで導入が容易
そのほか、経費や工数の記録も「Zoho Invoice」上で行える。企業の金銭管理をここに集中させてしまえるわけだ。専門のシステム構築ができない中小企業やSOHOワーカーにとって便利なのはもちろん、部署ごとに見積書を管理したいという場合にも有効だ。
過去の書類も、CSVまたはTSV形式ならば請求書や見積書という形でインポートすることができる。管理者ユーザーのみではあるが、逆に「Zoho Invoice」で作ったデータのエクスポートにも対応している。導入初期は「Zoho Invoice」で作成したものを出力して管理したり、逆に過去のものを取り込んだりして、いろいろ試してみるとよいだろう。
さらに、工夫次第で使い方を広げることもできる。Zohoが発信しているTipsに、オリジナルテンプレートのタイトル部分を「納品書」にしておくことで、簡単に見積書を複製して納品書を作成してしまうというものがある。しかも、参照番号を「納品書」としておくことで、後から納品書だけをピックアップするのも簡単だ。
無料版では登録できる顧客数が3社、利用できるユーザー数は1ユーザーまでとなっており、本格的に利用するには若干厳しい。しかし、機能面ではファイルを添付してのメール送信時にZohoロゴが入るかどうかという違いしかなく、全機能を確認してから導入することができる。ぜひ一度、使い勝手を試してみていただきたい。
また、日本式のサンプルテンプレートが同社より提供されているので、これを参考に自社のフォーマットに変更して利用するとよいだろう。