今週はWordで段組みを利用する際に必須となるセクションについて紹介する。複数のページ設定を含む文書を作成する場合などにも使えるので覚えておくとよいだろう。

段組みの指定

Wordは1段組みで文書を作成するように初期設定されているが、状況によっては、2段組み、3段組みの文書作成を迫られる場合もある。たとえば、学会に発表する論文などでは文書フォーマットが指定されている場合が多く、決められた形式に従って文書を作成しなければならない。そのほか、社内報の作成などで多段組みを使用することもあるだろう。このような場合に備えて、段組みの基本的な利用方法を覚えておくとよい。

まずは、Wordで段組みを指定する方法から紹介する。この手順に特に難しい点はなく、「ページレイアウト」タブにある「段組み」で段数を指定するだけでよい。すると、文書が指定した段数に変換され、多段組みの文書を作成できるようになる。

段組みの指定

2段組みを指定した文書

このとき「段組み」-「段組みの詳細設定」を選択して、「各段の文字数」や「段と段の間隔」を細かく指定することも可能だ。1行あたりの文字数などが決められている場合は、ここで段組みの詳細を指定すればよい。

段組みの詳細設定

このように、段組みの指定そのものは簡単に行うことができる。ただし、この指定だけで実用的な文書を作成できるケースは極めて稀で、たいていの場合、セクション区切りの挿入を併用しながら編集作業を進めていく必要がある。

セクション区切りの挿入

先ほど、2段組みを指定した文書について紹介したが、この場合は文書全体が2段組みの構成になるため、以下の図のようにタイトル文字なども2段組みでレイアウトされてしまう。よって、このままでは最適なレイアウトに仕上げることができない。

2段組みを指定した文書

タイトル文字などは1段組みのまま残しておき、本文だけを2段組みにするには、セクションで文書を区切る必要がある。この操作は「ページレイアウト」タブにある「区切り」で指定する。ページの途中にセクション区切りを挿入するときは、その位置にカーソルを移動し、「区切り」-「現在の位置から開始」を選択すればよい。

セクション区切りの挿入

すると、セクション区切りの前後で段数を変化させることが可能となる。先ほどの例の場合、タイトル文字の段数を「1段」に戻してやると、「タイトル文字は1段組み、本文は2段組み」のレイアウトで文書を作成できる。

タイトル部分の段数を「1段」に戻すと…

このようなレイアウトになる

あとは改行の数などを調整して全体的な配置を整えるだけ。これで思いどおりのレイアウトに仕上げることができる。なお、セクション区切りの位置を明確に確認したい場合は、「ホーム」タブで「編集記号の表示/非表示」をONにするとよい。

セクション区切りの表示

そのほか、指定した範囲だけ段数を変更する方法も用意されている。この場合は、あらかじめマウスのドラッグで範囲を選択してから段数を指定する。この方法で段数を指定した場合は、選択した範囲の前後に自動的にセクション区切りが挿入される仕組みになっている。

範囲を指定してから段数を変更すると…

その前後にセクション区切りが自動挿入される

要するに、「セクション区切りを自分で挿入するか」もしくは「自動的にセクション区切りを挿入させるか」が異なるだけで、最終的には同じ結果になる。「編集記号の表示/非表示」をONにした状態で操作を行うと、その仕組みをよく確認できるだろう。

セクション区切りの用途

このように文書をセクションで区切ると、「1段組み」と「2段組み」を混在させた文書を作成することが可能となる。むしろ、多段組みの文書ではセクション区切りは必須の機能といえるだろう。

また、セクションで区切った文書では、それぞれのセクションごとに「ページ設定」を指定することも可能となる。

「ページ設定」の設定対象

この仕組みを利用すると、「本文はA4縦、図表はA4横」のように変則的なページ配置の文書も作成できるようになる。あまり使用頻度は高くないが、頭の片隅に覚えておくとよいだろう。