先週に引き続き、今週もWordで年賀状の宛名面を作成する方法を紹介しよう。今回はExcelで作成してある住所録を基に宛名面を作成する方法や、様々なトラブルに対応できるように宛名面をカスタマイズする方法について解説する。
Excelデータから宛名面を作成
前回の連載では、宛先データを新たに入力して年賀状の宛名面を作成する方法を紹介した。しかし、すでにExcelファイルなどに住所録を作成してある場合は、そのデータを再利用したいというのが人情であろう。そこで、既存のExcelファイルを使って年賀状を作成するときの操作手順を紹介しておこう。
今回は、以下のExcelファイルを例に、Wordで年賀状の宛名面を作成する方法を紹介する。
まずは、Wordを起動して「はがき宛名面作成」のウィザードを呼び出す。「差し込み文書」タブで「はがき印刷」→「宛名面の作成」を選択しよう。ウィザードの操作は、基本的に前回の連載で解説した手順と同じである。宛先データの編集方法を指定する画面まで進んだら、「既存の住所録ファイル」を選択して「参照」ボタンをクリックする。続いて、宛先データとするExcelファイルを指定し、「開く」ボタンをクリックする。
その後、ウィザードの「完了」ボタンをクリックすると、シートを選択する画面が表示される。ここでは、宛先データが入力されているシートを選択して「OK」ボタンをクリックすればよい。
以上で、Excelファイルを基にした宛名面の作成は完了。宛名面の文書(差し込み文書)がWordに作成される。Excelファイルで各項目の名称(列見出し)を適切に入力されていれば、郵便番号、住所、氏名などのデータが自動的に適切な位置に挿入されるはずだ。ただし、以下の図のように適切ではない位置にデータが差し込まれてしまう場合もある。
フィールドと差し込みデータの対応
郵便番号や住所、氏名のデータを適切な位置に挿入するには、Wordの差し込み文書の仕組みをよく理解しておく必要がある。宛名面の文書が作成されたら、一度「はがき宛名印刷」タブにある「フィールド/値の表示」をクリックしてOFFにしてみるとよいだろう。
宛名面の画面が《住所1》《住所2》《会社名》…といった表示に切り替わるはずだ。ここに表示されている《……》のことをフィールドという。Wordの差し込み文書では、これらのフィールドに対応するデータを自動挿入することで文書(宛名面)を作成する仕組みになっている。
先ほど示した例では、宛名が「青木 正巳 青木 正巳」と2回繰り返されていたが、これは《姓》のフィールドに「名前」のデータが挿入され、《名》のフィールドにも「名前」のデータが挿入されていることが原因だ。
このようなトラブルを解消するには、《姓》または《名》のフィールドを削除してやればよい。そのほか、《役職》や《住所2》などの使用していないフィールドも削除しておくとよいだろう。フィールドを削除するときは、《……》の部分をマウスでドラッグして選択し、「Delete」キーを押せばよい。
また、各フィールドに対応させるデータを変更することでトラブルを解消できる場合もある。「はがき宛名印刷」タブで「フィールドの一致」をクリックすると、各フィールドに差し込まれるデータを指定する画面が表示される。先ほどの例の場合、《姓》または《名》のデータを(対応なし)に変更すると、氏名が2回繰り返される現象を回避できる。郵便番号や住所が正しく認識されていない場合も、ここで対応させるデータを正しく指定してやればよい。
各フィールドに対応させるデータの指定 |
なお、各フィールドに対応させるデータを変更したにも関わらず、それが画面に反映されない場合もある。この場合は、表示させる宛先データを前後に移動するボタンをクリックして別の宛先を表示してみよう。対応データの変更が反映されるはずだ。
宛名面を細かくカスタマイズするには…?
こまでの操作でたいていのトラブルには対処できると思われるが、さらにカスタマイズが必要になる場合もある。今回の例の場合、「住所」のデータが「住所1」「住所2」に分割されていないため、以下の図のように不適当な位置で改行されてしまうケースが何件も発生する。
また、宛名を連名にする場合なども、そのつど対応が必要となる。さらに、連名が3名の場合、会社名の入力が必要な場合…といった状況を考えると、1パターンのフィールド配置であらゆる状況に対応させるのは相当に難しいといえるだろう。
このような場合は、「差し込み文書」を「通常の文書」に変換すると個々のカスタマイズが行いやすくなる。おおまかな配置を整えてから、「はがき宛名印刷」タブにある「新規文書へ差し込み」をクリックし、レコード(何件目の宛先を出力するか)を指定すると…、
以下の図のように、各ページに個々の宛名面を配置した文書を作成できる。この文書は「差し込み文書」ではなく「通常の文書」なので、他の宛名面に影響を与えることなく、それぞれの宛名面を自由に編集できるようになる。
住所を改行するときは、その位置にカーソルを移動して「Enter」キーを押せばよい(以下の図の右側)。宛名を連名にする場合は、氏名の最後で改行し、2行目に連名を入力すればよい(以下の図の左側)。このとき、氏名のテキストボックスに「均等割り付け」が指定されていることに注意しよう。名前の開始位置を揃えるには、全角/半角スペースを挿入するなどの工夫が必要である。
同様の操作で、宛名が3名の連名にも対応できる。ただし、この場合は氏名のテキストボックスから文字がはみ出してしまうため、行間を調整する必要がある(行間の指定方法は第4回の連載を参照)。
ここ2週にわたって紹介してきたように、Wordを使って年賀状の宛名面を作成、印刷することも可能である。専用の年賀状作成ソフトのようにはいかないが、気になる方は利用してみるとよいだろう。