これまでの連載では、Wordに用意されている文字や段落の書式を中心に解説してきた。ここで一度、これらの書式を利用した応用例を紹介しておこう。書式指定を上手く活用するだけでも、幅広い用途に対応できることを理解できるはずだ。

文字だけで表を作成する

まずは、文字だけを使って「表」を作成する方法を紹介する。Wordには「表」を作成するためのツールも用意されているが、このツールを使わなくてもシンプルな表なら十分に作成可能である。

最初に、表内の文字をタブで区切って入力する。今回の例では、以下のように文字とタブを入力し、文字の書式(太字)を指定した。この時点で、必要に応じて行間などの設定も変更しておくとよい。

表の文字とタブを入力した状態

続いてタブ位置を指定する。先ほど入力した文字(表の部分)をすべて選択し、「段落」ダイアログから「タブとリーダー」の設定画面を開く。今回の例では、「7字」と「24字」の位置にタブ位置を指定した。なお、表内に数値がある場合は「右揃え」のタブ位置を利用するとよい(タブ位置の指定方法は第7回の連載を参照)。

表にする部分の文字を選択し…、

各列のタブ位置を指定する

ここまでの作業で以下の図のような表を作成できる。

タブを利用して作成した表

続いて、表を見やすくするために段落罫線を引いていこう。表内の段落をすべて選択し、「上罫線」と「下罫線」の段落罫線を描画する。すると、以下の図のようになる。

上下の罫線の指定

上下の罫線を描画した表

さらに表の内部に罫線を描画していくが、段落罫線には「書式の引き継ぎ」に関する特別ルールがあることに注意しなければならない(詳しくは第9回)の連載を参照)。今回の例の場合は、罫線を描画する場所の1つ上にある段落だけを選択して「横罫線(内側)」を指定する。同様の操作を繰り返すことで、表内の好きな位置に段落罫線を描画することが可能だ。

表内部の段落罫線の指定

段落罫線の指定を終えた状態

最後に、「段落」ダイアログで右インデントを指定し、段落罫線の長さを調整する。今回の例では「13字」の右インデントを指定した。これで文字だけで表を作成できたことになる。

右インデントの指定

完成した表

もちろん、Wordに用意されているツールを利用して「表」を作成しても構わない。むしろ、表ツールを利用するのが一般的な手法といえるだろう。ただし、表ツールの仕組みを十分に理解していないと予想外のトラブルに見舞われるケースもある。

一方、上記の手順で作成した表は「単なる文字」でしかないため、非常に扱いやすいのが利点となる。表ツールを利用した時のように、思わぬ挙動に悩まされることも少ない。シンプルな表であればタブと段落罫線でも作成できる、と覚えておくと役に立つであろう。

囲み記事(コラム)の作成

次は、段落罫線を活用して囲み記事(コラム)を作成する例を紹介しておこう。

まずはコラムの文字を入力し、文字の書式を指定する。コラム本文の文字サイズは少し小さめにし、それに合わせて行間を小さくしておくとよい(行間の指定方法は第4回の連載を参照)。

文字入力と書式の指定

続いて、段落罫線を指定する。先ほど入力した文字をすべて選択し、「罫線」コマンドから「線種とページ罫線と網掛けの設定」を選択する。今回は、以下のように段落罫線を指定した。

段落罫線の指定

これでコラム全体を段落罫線で囲むことができるが、初期設定のままでは罫線と文字の間隔が狭くなりすぎる傾向がある。「オプション」ボタンをクリックして、上下左右の間隔を調整しておこう。

文字と罫線の間隔調整

さらに、「網掛け」タブを選択して背景色を指定しておこう。これで、このダイアログでの基本的な設定作業は完了となる。

背景色の指定

最後に、「段落」ダイアログで左右のインデントを指定し、段落罫線が左右に飛び出すのを回避させる。今回の例の場合、左右のインデントに5.5mmを指定した。

左右のインデントの指定

以上の操作で、以下の図のようなコラムを作成できる。もちろん、段落罫線の種類や背景色(網掛け)を変更することにより、様々なデザインのコラムを作成することが可能だ。

完成したコラム

段落罫線の仕組みをよく理解していれば特に難しい点はないが、間隔の調整などに試行錯誤を要すると思われる。時間に余裕のあるときに作業に慣れておくとよいだろう。