「フォント」ダイアログの「詳細設定」タブでは、文字の「倍率」(文字幅)や「文字間隔」を調整することが可能となっている。今回はこれらの書式について、その利用方法を紹介してみよう。
文字幅と文字間隔の指定
Wordでは、各文字の倍率(文字幅)を指定したり、文字と文字の間隔を調整したりすることが可能である。これらの書式は「フォント」ダイアログの「詳細設定」タブで指定する。「フォント」ダイアログを開く手順は特に難しくはないが、念のため紹介しておこう。
まず、書式を指定する文字を選択する。続いて「ホーム」タブにある「フォント」のダイアログボックス起動ツールをクリックすると、「フォント」ダイアログが表示される。あとは「詳細設定」タブを選択するだけ。これで文字幅や文字間隔を指定できるようになる。
文字幅を変更するときは「倍率」の値を変更すればよい。ここには「200%、150%、…、50%、33%」といった数値が並んでいるが、これら以外の倍率を指定することも可能だ。たとえば、ボックス内に「80」と入力すれば、80%の文字幅を指定することができる。
なお、専門用語では文字幅が100%(標準)の文字は「正体」(せいたい)、標準より縦長の文字は「長体」(ちょうたい)、標準より横長の文字は「平体」(ひらたい)と呼ばれている。ついでに覚えておくとよいだろう。
文字と文字の間隔を指定するときは「文字間隔」の書式を変更する。最初に「広く」または「狭く」を選択し、その右側にあるボックスで間隔を広げる(狭める)量を数値で指定すればよい。
このとき、文字間隔が変更される位置は、選択していた文字の右側となることに注意すること。たとえば、「鹿児島の人口は…」という文章で「鹿児島」の部分の文字間隔を変更する場合は、「鹿児」だけを選択(1文字少なく文字を選択)した状態で書式を指定する。
文字幅と文字間隔の活用
「倍率」や「文字間隔」の書式は、文書の見出しを作成する場合などに活用できる。以下に、その一例を示しておこう。
見出しのデザインを作成するときは、フォント/文字サイズ/文字色を変更したり、下線や段落罫線などを利用したりするのが一般的であるが、これだけではバリエーションに乏しい。「倍率」や「文字間隔」を使って変化をつける方法も覚えておけば、色々と応用が効くだろう。
また、文字の読みやすさ(文字サイズ)を維持しつつ、決められたスペースに多くの文字を詰め込むための手段として、長体や平体が利用される場合もある。たとえば、新聞では80%程度の平体で本文が記載されている。これに習って、縦書きの文書で本文の倍率を「80%」に変更すると、新聞のようなイメージの文書に仕上げることができる。
「倍率」や「文字間隔」の書式は頻繁に利用するものではないが、使い方を覚えておけば文書作成の幅が広がるはずだ。いちど試してみるとよいだろう。
文字数が異なる単語の整列
文字数が異なる単語を整列させて配置するときにも「文字間隔」の書式が活用できる。たとえば以下のようなレイアウトを作成する場合は、「東京」の文字を選択した状態で「文字間隔」を広くすると、文字を揃えて配置できるようになる。
ただし、「何pt広くすればよいのか?」はケース by ケースとなるため、試行錯誤が必要となる。そこで「均等割り付け」を使って文字を整列させる方法も覚えておくとよい。この場合は、以下の手順で操作を行う。
このような設定画面が表示されるので、何文字分の幅に変更するかを指定して「OK」ボタンをクリックする |
なお、ここで指定する「文字列の幅」は選択している文字の文字サイズが基準となる。他の書式のように、「1字」=「標準の文字サイズ」(10.5pt)とならないことに注意しよう。
ちなみに、先ほどの手順で文字を整列させた後、「東京」の文字を選択して「フォント」ダイアログを開くと、文字間隔が「2.6pt広く」に変更されているのを確認できる。
つまり、「均等割り付け」の機能は「文字間隔」を自動調整する機能となる訳だ。このように「各機能がどのような仕組みで動作しているか?」を把握できるようになると、それだけWordへの理解も深まると思われる。
最後に、「均等割り付け」で指定した文字間隔の自動調整を解除する方法を紹介しておこう。「均等割り付け」を解除するときは、その文字を選択した状態で「均等割り付け」をクリックし、続いて「解除」ボタンをクリックすればよい。
「均等割り付け」の解除 |