当連載ではこれまで、Windows Serverのアップデートとそのための後継システムへの移行を進めるにあたり、「拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Update、ESU)」を利用して、最大3年間の時間的な猶予を得ることを前提としてきました。しかし、Microsoftは2023年7月に、Windows Server 2012/2012 R2およびSQL Server 2012向けESUの価格変更と、新しいESUの購入オプションを発表しました。今回はESUの変更内容とともに、新たな購入オプションを解説します。
年単位のESU価格はフルライセンスの100%に固定
連載第1回では、Windows ServerおよびSQL ServerのESUについて紹介しました。ESUはAzure上のインスタンスに対しては無料で提供され、追加設定なしでWindows Updateを通じてセキュリティ更新プログラムを入手できます。ESUが無料提供されるAzure上のインスタンスには、Azure Stack HCIクラスター上のHyper-V仮想マシンも含まれます。
オンプレミスやAzure以外のクラウド上のインスタンスの場合、ESUは年単位で購入する必要がある有料のサービスです。ボリュームライセンスプログラムを通じた購入とともに、Windows ServerではMAK(マルチライセンス認証)キーのインストール、SQL ServerではAzure Arcへの登録など追加設定が必要となります。
これまで、オンプレミス(およびAzure以外)でのESUは、エンタープライズ契約(Enterprise Agreement、EA)でソフトウェアアシュアランス(SA)を契約しているユーザーが1年ごとに購入することができ、その価格は1年目がフルライセンス料金の75%、2年目が100%、3年目が125%と段階的に増額されると紹介しましたが、この料金設定はSQL Server 2012の1年目までで終了となり、新たな価格設定は、次のように変更されます。
- 1年目のESU ・・・ フルライセンス料金の100%(ただし、SQL Server 2012の1年目ESUは75%)
- 2年目のESU ・・・ フルライセンス料金の100%
- 3年目のESU ・・・ フルライセンス料金の100%
この価格設定の変更は、次に説明する新しいESUの購入オプションに関係しています。なお、SQL Server 2012およびWindows Server 2012/2012 R2のライセンスは当時、物理プロセッサ数に応じたプロセッサライセンス(2物理プロセッサごとに1ライセンス)として販売されました。ESUのライセンスは、Windows Server 2016以降のコアライセンス体系に合わせて、SQL Server 2012が最小2コアパックから、Windows Server 2012/2012 R2が最小16コアパックからと、それぞれ物理/仮想コア数に応じて販売されます。