今回のテーマは「読書管理」
インターネットが登場した当時は書籍がなくなる、という意見もあった。しかし、いまだにそのような気配はまったくない。むしろAmazon.comをはじめ、インターネット上の書籍販売を行うサービスは活発になっている。もちろん店舗型の書店に影響はあったが、それでも書店ならではの良さは失われてはいないだろう。
書籍を買ったはよいが、読まずにそのまま放置してしまうことを"積読"という。みなさんもきっと積読本がいくつかあるのではないだろうか。今回は「読書管理」を行なうWebアプリケーション、オープンソース・ソフトウェアを紹介しよう。積読を上手に解消できるかもしれない。
今回紹介するOSS・Webアプリ
『メディアマーカー』 書籍以外にも! 大量のメディア管理にオススメ
『読んだ4!』 Twitterを使った新感覚「読んだよ」投稿サービス
『ItemShelf』 iPhoneのカメラ機能で蔵書をカンタン管理
『Bookqueue』 読書ステータス管理にメモ機能もあり
書籍以外にも! 大量のメディア管理にオススメ
名称 | メディアマーカー |
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URL | http://mediamarker.net/ |
『メディアマーカー』は、自分の持っているメディア(書籍以外にDVDや音楽なども)の登録や、気になっているメディアの情報を登録して管理できるWebサービスだ。大量のデータを持っているユーザ向けの機能が多く、CSVによる一括取り込みやバーコードリーダーからの入力にも対応している。
携帯電話向けやiPhoneアプリも提供されており、どこからでもアクセスが可能だ。読了した数をグラフ化したり、購入金額の累計を算出したりと面白い機能が多い。また、独自でメディアを追加することが可能で、ISBNを取得していないような書籍も追加できる。
物々交換の対象にしたり、同じ書籍を読んでいる人の登録メディアを推薦したりと、コミュニケーション機能も充実している。書籍に限らず多数のメディアをお持ちの方はぜひ使ってみてほしい。
Twitterを使った新感覚「読んだよ」投稿サービス
名称 | 読んだ4! |
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URL | http://yonda4.com/ |
『読んだ4!』は、Twitterのアカウント「yonda4」に対して書籍名やURLを添えてつぶやくことで読書管理を行うサービスだ。Twitterアカウントを持っていれば利用できる。書籍に関するページでは、同じ書籍を読んだユーザの一覧や、Amazon上でのレビューを閲覧することができる。
Twitterだけで使える点が手軽で便利だ。読んだ書籍について感想をつけてつぶやく。そうすることで、同じ書籍を読んだユーザとつながったり、自分用ページでこれまでに投稿した書籍一覧をいつでも確認できるようになる。
このほか、いま人気の本がリストアップされている。まさに"いま"をつぶやくTwitterならではの面白さを活かしたサービスと言えるだろう。Web APIが公開されており、すでにAmazonのページで使えるブックマークレットなどが作られている。
iPhoneのカメラ機能で蔵書をカンタン管理
名称 | ItemShelf |
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URL | http://itemshelf.com/ |
『ItemShelf』はiPhone向けの蔵書管理アプリケーションだ。iPhone 3GSからはマクロ撮影が可能になった。おかげで本アプリでは、従来モデルでは別途必要だったマクロレンズを使うことなく、書籍バーコードを撮影してデータを取り込む――ということができる(手作業でのISBN登録も可能)。
書籍は棚による分類管理のほか、複数登録することができる。本物の棚に陳列されているように、きれいに並べて表示できる。蔵書の登録はもちろん、読みたい本のバーコードを読み取って登録しておけば、ウィッシュリストとして使うこともできそうだ。
オープンソース・ソフトウェアではあるが、App Storeにて有料で販売されている。そのような形式が成り立つのもiPhoneアプリならではかもしれない。
読書ステータス管理にメモ機能もあり
名称 | Bookqueue |
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URL | http://github.com/caffo/bookqueue/tree/master |
『Bookqueue』は、Ruby on Railsで作られた書籍管理アプリケーションだ。蔵書を登録すると、読書途中か読了したか、次に読む本なのかといったステータスをつけることができる。ソファーの横に本が積み上げられた、雰囲気のいいイラストが特徴的だ。
色合いはとても落ち着いており、上品に仕上がっている。読んでいる途中でメモをしたり、感想を書いたりするスペースもある。データは手入力となり、Amazon Webサービスのような入力を補完する方法がないのがもったいなく感じてしまう。Bookqueueを使ってみたい方は自分で機能追加するのが良さそうだ(その上で本体に取り込んでもらおう)。
個々人で立てるシステムなので、他のユーザと共有するような仕組みはないが、その分自分の蔵書管理に集中できるのが利点だ。蔵書をコレクションとしてまとめつつ、感想や気になったところをまとめたりするのに便利なソフトウェアだ。
いかがでしたか?
公開型の読書管理サービスの場合、一覧性の良さや同じ書籍を読んでいる人とつながる仕組みが欠かせない。それによってさらに積読が増えてしまう可能性があるが、それこそが書店にはないオンラインならではの魅力と言えそうだ。
逆に個人用の蔵書管理サービスの場合は、手軽に登録でき、すぐれた一覧性を持つことが重要だ。今回紹介した「ItemShelf」「Bookqueue」ともに一覧性にすぐれている。見せ方もよく、登録していて楽しいソフトウェアだ。未読本が増えすぎてしまった方は、どんどん登録し、まずは現状把握を。そしてゆっくりと消化に努めてほしい。
著者プロフィール:MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)
1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。