今回のテーマは「時間」
時間は有限だ。そして誰に対しても同じ長さだ。忙しい日々を送っている人は一日25時間、30時間にでもならないかと言ったりするものだが、それが変わることはない。一日24時間、一年365日(閏年は366日)は変わらず流れ続ける。
だが、むしろ固定だからこそ、それを利用したサービスがソフトウェアが登場する。有限の中でいかに効率よく過ごすかで、たとえ同じ時間であっても生産性が大きく変わってくる。また、時の流れは関係ないように思えるインターネットの中であっても、日々サービスは生まれ変わり、新しいサイトが生まれ、そして消えている。まさに歴史のごとく変化しているのだ。
今回はそんな「時間」をテーマにWebアプリケーションやオープンソース・ソフトウェア(OSS)を紹介したい。一日をいかに過ごすかは各自によって変わる、どうせなら楽しく過ごすのがよい。
今回紹介するOSS・Webアプリ
『BubbleTimer』 マークシート方式で時間を管理
『AllofMe』 オリジナル年表を作ろう
『TimeMap』 地図+年表のマッシュアップライブラリ
『TimeCloud』 時間+タグクラウドで見えるデータのトレンド
マークシート方式で時間を管理
名称 | BubbleTimer |
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URL | http://bubbletimer.com/ |
学生の頃、テストを受ける際によく使ったのがマークシートだ。回答と思われる数字に鉛筆で黒い印を入れていく。そんな懐かしい雰囲気を思い出させてくれるのが『BubbleTimer』だ。BubbleTimerは、横向きになったマークシートに作業内容を縦に並べていく。そして横に時間軸がとられており、実際に行った作業をマークしていくのだ。
しっかりとしたマークではなく、鉛筆で書いたようなちょっと乱暴なマークになるのがまた面白い。各作業に対して目標時間数が設定できるようになっており、マークしていくと当日の累計作業時間とともに残り作業予定時間が表示される。各作業時間は細かく入力する必要はなく、15分単位でしかチェックできないようになっている。これは作業における集中力の問題と、厳密に管理することの意味のなさに基づいているそうだ。
各作業は日々蓄積されていき、グラフで作業時間の推移を見ることができる。さらにトータルの時間も円グラフで作業ごとに割合で表示してくれる。懐かしさに加え、意外と見えにくい"作業効率の見える化"を進めてくれる実用的なWebアプリケーションだ。
なお、BubbleTimerは14日間のフリートライアル付きの有料Webアプリケーションだ。年間20ドルとのことなので、継続利用される方は登録すると良いだろう。
オリジナル年表を作ろう
名称 | AllofMe |
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URL | http://www.allofme.com/ |
『AllofMe』は年表を作り、公開、共有できるWebアプリケーションだ。日々消費されていく情報も、時間軸を使ってみるとなかなか興味深いデータが出てくる。歴史の教科書に出てくるような題材はもちろんのこと、Webサービスの移り変わりや、スポーツ史などさまざまな題材が存在する。
データは年表の上にマッピングして表示される。クリックするとバルーンが表示される。年表はマウスでドラッグして左右に移動させることが可能だ。さらにスライダを使って表示する年数の幅を調整することもできる。細かく見れば分単位まで広げられるので、年単位の変化以外の年表も表せるだろう。
他にスライドショーの機能がある。これは年表にマッピングした写真を専用のプレーヤーで再生する機能。昔なつかしのテレビシリーズっぽい音楽にのせてスライドしていくテーマもある。ただ写真をキレイに見せるだけでなく、ちょっとしたジョークとともに楽しめるのが面白い。
見栄えにこだわってデータを作り込むと、修正が面倒になったり、再利用性が低くなったりする。AllofMeのようなサービスを使えば、同じデータでもさまざまな角度からデータを見られるようになる。
地図+年表のマッシュアップライブラリ
名称 | TimeMap |
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URL | http://code.google.com/p/timemap/ |
「AllofMe」が年表をベースにしているのに対して、『TimeMap』はさらに地図を組み込んで使うことができる。これはまさに歴史年表を表すのにぴったりと言えそうだ。たとえ同じ場所であっても、歴史とともに所有者が移り変わり、何らかの事件があり、そして今がある。そうした時間の流れを表現できるオープンソース・ソフトウェアがTimeMapだ。
年表の項目をクリックすると地図が自動的に動いて該当するアイコンを表示する。他に表示されるアイコンは、同じ年代に存在するデータだけになる。戦国時代の領土の変化や、ヨーロッパにおける歴史などを表現してみると面白そうだし、何より勉強になりそうだ。
コンピュータ上のデータだけでは物足りないためか、地図を使ったマッシュアップサービスは数多い。時間軸という軸を持たせるとさらに面白いデータの見せ方が考えられそうだ。
時間+タグクラウドで見えるデータのトレンド
名称 | TimeCloud |
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URL | http://github.com/stef/timecloud/tree/master |
『TimeCloud』が表現するのは時間軸を横軸に、縦軸にタグデータを取ったグラフだ。グラフはドラッグして表示範囲を指定することができ、全体グラフの下に選択範囲だけに引き延ばしたグラフが表示される。同じ手法はGoogle Financeでもできる見せ方だ。マクロで見せる全体のデータと、ミクロで絞り込むふたつの見せ方ができる。
そしてグラフの下にはタグクラウドが並ぶ。サンプルアプリケーションではSubversionにおけるコミットログの変化をグラフ化したものや、 del.icio.usのデータをグラフ化したものが提供されている。どちらも一部のデータだけ取り出すとそのときのトレンドが見えて面白い。
そして選択した範囲は左右(過去と未来)に自動移動させることができる。刻々と時間が移り変わっていくと、それにつれてタグクラウドも変化していくのが面白い。日々の積み重ねでは分からなかったデータの特徴が、全体やある一定範囲を対象にすることで見えてくるものがあるはずだ。
いかがでしたか?
インターネット上のサービスは蓄積型よりも消費型のサービスが多い。そのために日々刻々と変化していくデータやトレンドを追いかけていくだけでも時間が過ぎ去ってしまう。2008年に自分がブックマークしたサイトからどのようなトレンドが見えてくるか、知っている人はどれだけいるだろうか。蓄積した後に活用されるはずのブックマーク系サービスでさえただ蓄積されていくだけの傾向が強い。
そうしたデータも時間軸とともに見てみると、新鮮な見方ができるはずだ。また、今あるのが当たり前だと思っているものも、なかった時代からその移り変わりを見てみると進化の度合いが見えて面白い。「今」ばかりが注目されるインターネットだからこその面白さだ。
2008年も残すところあとひと月を切った。今年を振り返る意味でも時間軸に注目してみるのはいかがだろう。
著者プロフィール:MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)
1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。