今回のテーマは「健康管理」

IT系の企業に勤めている方(特に中小、スタートアップ企業にお勤めの方)は、健康管理に疎い場合が多い。一人暮らしの人が多いという事情もあるかもしれないが、昼食、夕食とコンビニや外食で済ましてしまってはいないだろうか。数カ月会わないでいると、次に会った時に別人かと思うほどふくよかになっていることがあり、驚いた経験は筆者だけではないはずだ。

健康は突然悪化するものではなく、ゆっくりと症状が出てくるものだ。とはいえ、発症は突然で、重要な会議や出張先などで問題が出たりすることがある。そんな事態を避けるためにはやはり日々の健康管理を欠かせない。健康な身体が保たれてこそ、素晴らしいアイディアも沸くというものだ。

今回はそんな「健康」をテーマにWebアプリケーション、オープンソース・ソフトウェア(OSS)をご紹介したい。ITというデジタルを通じて健康管理というと違和感を覚えるかもしれない。だが、たとえば、ネットを通じて結果をシェアすれば、一人では決してできなかったチャレンジもできるようになるのではないだろうか。

今回紹介するOSS・Webアプリ
ジョグノート』 ジョギング専用SNS
Google Health』 Googleが提供する医療情報管理
iDiet』 Java製のダイエット支援ソフトウェア
MyTourbook』 GPSデータを使って運動管理をする



ジョギング専用SNS

名称 JogNote
URL http://www.jognote.com/

JogNote』は招待不要のSNSで、ジョギング記録を公開、共有できるサービスになる。走った距離や体重を日々記録していくことでグラフ化され、続けていくモチベーションにつながっていく。もちろんSNSとあって、コミュニティや仲間を通じた共有空間も運動する楽しさを盛り上げてくれるだろう。

「JogNote」のトップページ。誰でもユーザ登録して利用できるSNSだ

お気に入りのジョギングコースを登録したり、近所のコースを探したりすることができる。ランニングマシンで走るのとは違い、屋外では景色を楽しみながら走るのが大事だ。他の人がオススメするコースを走れば、普段とは違う街並みの変化に気がつくかもしれない。

ジョギングマップ。地図と重ね合わせてジョギングコースを登録、検索できる

ほかにも、ランニング距離を人と競う「JogCup」などもあり、インターネットならではの楽しみが盛り込まれている。ジョギングを始めるのに躊躇されている方は、近所ではどんな人が走っているのか覗いてみるとよいだろう。




Googleが提供する医療情報管理

名称 Google Health
URL https://www.google.com/health

なぜGoogleが医療情報なのか。たとえば、ちょっと頭が痛かったりする。そんなときにGoogleを使って病状を検索したり、対処法を調べたりした経験はないだろうか。また、近くの病院を調べたり、その評価を見たりしたことはないだろうか。Googleはさまざまな情報をインデックス化しており、健康や病気に関する情報も無数に存在している。

その観点から考えると『Google Health』のあり方は分かりやすい。自分の体重や健康状態を入力できるほか、薬剤に関する情報から予期される問題点を指摘したり、提携病院のデータベースから個人のカルテを表示したりしてくれる。

「Google Health」のトップページ。Googleらしいシンプルなインタフェースだ

個人の健康という重要なデータがインデックス化されてしまうという問題点も指摘されるが、元々病院内でデータベースに保管されていたものだ。複数の病院にわたって存在しているデータを集約すれば、それによって得られる価値は大きいと推測される。

プロフィールや健康状態を登録する

まだ米国のみでのサービス提供であり、日本で同様の取り組みを行うのはさまざまな問題を解決する必要がありそうだ。だが個人の情報だけに、患者自身が閲覧、管理できるという意味では便利なサービスと言えそうだ。




Java製のダイエット支援ソフトウェア

名称 iDiet
URL http://idiet.sourceforge.net/

ダイエットというのは一筋縄では成功しない。食べ物を制限すればいいと言うが、食べたいものを食べられないストレスというのはとても辛いものだ。だが、運動が苦手な人にとってはカロリーを制限するのがもっとも手軽な体重制限の手段になるだろう。

iDiet』はJava製のソフトウェアで、ダイエットを支援するためのオープンソース・ソフトウェアだ。食べたものを事細かに記録するので、あまり一般的とは言えそうにない。各材料についてタンパク質、炭水化物、糖質を登録することで詳細なカロリー計算ができるようになっている。

「iDiet」のメイン画面。材料を選択していくとカロリーなどが計算されていく

データの登録は面倒だが、日々継続していくことで摂取カロリーを制限し、健康に過ごせるようになる。Javaとあってマルチプラットフォームで動作するので、みんなで健康になるべく利用してみよう。

ユーザごとに利用するので、各自が自分なりのダイエットに取り組める




GPSデータを使って運動管理をする

名称 MyTourbook
URL http://mytourbook.sourceforge.net/mytourbook/

ジョギングとともに持っていると便利なのがGPSロギングツールだ。iPhoneにも内蔵されているGPSを使ってジョギング結果をGPXデータとして保存すると、走った距離や時間を地図上にマッピングして表示できるようになる。

そしてそのデータを解析、蓄積できるのが『MyTourbook』だ。GPSログファイルを読み込んで地図の上に表示したり、位置情報から読み取れる標高データを使って表示したりすることができる。またペースやパワーといったジョギング中の変化もグラフ化してくれる。

標高やペースなどさまざまなデータをグラフ化してくれる

個々のデータを見るのはもちろん、数カ月間蓄積されたデータを見ると持久力が向上しているのが見てとれるだろう。もちろんそれにともなって健康になっているはずだ。ジョギングはもちろん、サイクリングやウォーキングなど運動のお供に使いたいソフトウェアだ。

地図上にランニング結果を表示してくれる

いかがでしたか?

日々を健康に過ごすには継続的な健康管理が必要になる。毎日の変化では分からないが、数カ月を経て体調や体重の変化に気付くことだろう。インターネット上にあるツール、コンピュータ上のソフトウェアを使えばそんな日々の運動や食事制限も多少は楽しくなるはずだ。

病気にならないのが一番ではあるが、常に万事問題がないわけではないだろう。もし体調を崩すようなことがあっても、日々の食べたものや状態が記録できていれば対処に役立つ可能性はある。健康管理を日記の代わりに、日々蓄積に挑戦してみてはいかがだろう。

著者プロフィール
MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)
1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。