今回のテーマは「家計簿」

IT業界では日々さまざまなソフトウェア、ハードウェアが生み出されている。小型のノートPC、iPhone、各種ゲーム機、Webサービスのプレミアムサービスなどなど……多数の誘惑があなたを誘っているはずだ。中には誘惑に打ち勝てる人もいるだろうが、ついつい流行ものに飛びついてしまう人も多いのではないだろうか。

散財を止めるには現状を知り、今後の見通しを正確に判断することだ。現実を知れば、今から購入しようと思っているものも冷静に見られるようになる(はずだ)。そのために必要なのが、お金のやり繰りを管理する家計簿の存在だ。ノートに書き留めるのもよいが、特化したWebアプリケーションやオープンソース・ソフトウェア(OSS)を使えば、データをデジタルに保存し、再利用もしやすいことだろう。

今回紹介するOSS・Webアプリ
Buxfer』 個人間の貸し借りも管理できる収支管理アプリケーション
小槌.net』 携帯電話の入力もできる日本製家計簿
りんごちゃんの家計簿』 Mac OSXで起動、ブラウザで利用する家計簿
Check It Out』 Ruby on Rails製のちょっと変わった個人向け家計簿



個人間の貸し借りも管理できる収支管理アプリケーション

名称 Buxfer
URL http://www.buxfer.com/

Buxfer』は、家計簿の機能に加えて個人間でのお金の貸し借りを推進、管理するためのWebサービスだ。例えば飲み会の会費を集めたり、旅行の代金を回収したりするような個人間でのお金のやり取りを登録、管理できる。意外とこの手のお金のやり取りは多いので、それをシンプルにわかりやすく管理できる意味合いは大きい。

「Buxfer」のトップページ。フリーまたは有料のサービスに申し込むこともできる。OpenIDを使ったログインも可能

もちろん、回収側だけでなく、支払う側もBuxferを使って支払うことができる。Amazonの提供するWebサービスのひとつであるFlexible Paymentsを使って支払いができるようになっている。PCからのみならず、iPhoneや携帯電話からもアクセスできるのが魅力だ。

日本の通貨単位にも対応。やり繰りをタグを使って管理できる




携帯電話の入力もできる日本製家計簿

名称 小槌.net
URL http://kozuchi.net/

小槌.net』はマルチアカウントに対応した家計簿ソフトウェアで、Ruby on Railsを使って開発されている。Webブラウザベースとあって、クライアント環境を限定せず、みんなで利用できるのが魅力だ。グラフ機能や仕訳帳などさまざまな機能が揃っている。

「小槌.net」のダッシュボード。わかりやすいグラフが表示される

特徴は携帯電話からの入力、複数ユーザ間での金銭の貸し借りの管理、減価償却への対応、口座の現在高を基準にした現在残高(基準にしない場合もOK)の確認などができるようになっている。元々ドリコム主催のAward on Rails 2006で大賞を受賞したオープンソース・ソフトウェアであったが、現在は異なるようなのでご注意を。

日本語表記の分かりやすい画面。入金、出金が簡単に把握できる




Mac OS Xで起動、ブラウザで利用する家計簿

名称 りんごちゃんの家計簿
URL http://www.maloninc.com/

りんごちゃんの家計簿』は、Mac OS X向けのソフトウェアではあるが、実際の操作はWebベースで行う。そのため、サービスを起動さえすれば、WindowsからでもInternet ExplorerやFirefoxといったWebブラウザを使って入力ができる。シンプルなインタフェースで、可愛らしいネーミングに合ったソフトウェアだ。

入力画面。仕入先なども入力できるので、本格的な利用も考えられそうだ

とはいえ、必要十分な機能を備えており、誰でも手軽に使える家計簿アプリケーションとして活用できるはずだ。また、Webブラウザでの動作なので、家庭内LANなどを使って情報を共有することができる。残高情報や収支情報といった集計機能も備えている。

残高表示。収支情報も含めて表示される

さらに分析機能を使えば細かくデータをフィルタリングし、グラフ表示することもできる。Webブラウザを使えば誰でもアクセスできるというのは、家庭内の家計簿を誰でも参照できるようになること。透明性が増して倹約の心が生まれるかもしれない。




Ruby on Rails製のちょっと変わった個人向け家計簿

名称 Check It Out
URL http://checkitout.flornet.fr/

Check It Out』は、Ruby on Railsで作られたオープンソース・ソフトウェアだ。海外製なので、日本の習慣に合わない部分があるかもしれない。だが、家庭などで簡易的にお金を管理する目的であれば問題なく利用できるはずだ。

シンプルすぎるインタフェース。アカウントを切り替えて入力する

入力はごくシンプルで、項目はカテゴリと日付、コメント、金額、IDとなっている。IDはあらかじめ登録しておけばあとで呼び出すのが便利になったり、紐付けができたりするようになる。イギリス圏のソフトウェアで、金額はポンド表記になっている。

入力したイメージ。金額部分のサマリーで黒字、赤字を判断する

アカウントは複数登録可能。アカウントごとにトータルのバランスがどのようになっているか見ることができる。一般的な家計簿ソフトウェアとは若干毛並みの違う、人によっては便利に使えそうなソフトウェアだ。

いかがでしたか?

お金の管理は単純ではない。だが、管理しないといつの間にか財布の中が空っぽという事態になりかねない。そのくせ細かく管理してしまうと入力の手間ばかり膨大になってしまうので、家庭向けであればシンプルでわかりやすいものを選ぶべきだ。

また、家のお金の情報を外部に預けるのが気になる人もいるだろう。その場合はオープンソースを使えばローカルパソコンや家庭内のLANだけにデータをとどめられる。現状を把握するため、そして誘惑に負けて散財しないためにも、収支を管理し始めてみるのはいかがだろう。

著者プロフィール
MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)
1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。