今回のテーマは「IM」
IM、いわゆるインスタントメッセンジャーはお使いだろうか。昔はICQくらいしかなかったが、現在ではAOL/Yahoo!/MSN/Jabber/Google Talk/Skypeと、さまざまなプロトコル、アプリケーションが存在する。メールに比べて手軽に利用できるのはご存じのとおり。相手のインターネットへの接続状態もわかるので、その場で話しかけてすぐに終われる。テキストメッセージなので電話と違って常に構えておく必要はなく、メッセージが届いたら反応すればよいというのも利点だ。
今回はそんなIMに注目したWebアプリケーション、オープンソース・ソフトウェア(OSS)を紹介したい。プロトコル、アプリケーションともに数多く存在するために、それらを統合したり、もっと活用したりするためのアイディアが詰まっている。
今回紹介するOSS・Webアプリ
『meebo』 各種IMをWeb上で統合
『Feed Crier』 IMを使ってフィードを読む
『Ajaxbber』 JavaScriptベースのJabberクライアント
『ejabberd』 オープンソースのJabberサーバ
各種IMをWebサイト上で統合
名称 | meebo |
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URL | http://www.meebo.com/ |
『meebo』は各種IMをブラウザ上で操作するWebアプリケーションだ。Google TalkはGmail上でチャットができるようになっているが、それのプロトコル統合版といえる。利用できるプロトコルはAIM/Yahoo!/Google Talk+Jabber/MSN/ICQとなっている。これらのIMを、meeboのアカウントを登録しておくことで、統合して管理することができる。また、ユーザ登録なしでもひとつのプロトコルに限り利用できるようにもなっている。
meebo上でパスワードを登録しなければならない不安はあるが、各種プロトコルを一個所にまとめられるのは便利だ。プロトコルが増えたこともあって、相手によってIMを使いわけているという人もいるだろう。そうしたときに滅多に使わないIMはmeebo上で管理すると便利だ。
meeboの画面は、まるでWeb OSのようになっている。IMや設定のウィンドウはドラッグして移動させることができる。また、ポップアウトさせれば別ウィンドウとして管理できるようになる。Webベースとは思えないほど、使い勝手のよいWebアプリケーションだ。
IMを使ってフィードを読む
名称 | Feed Crier |
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URL | http://feedcrier.com/ |
グループチャットをしていると、新しい話題が次々に放り込まれて会話が盛り上がる。そんな新しい話題の提供を自動化してくれるのが『Feed Crier』だ。Feed Crierで自分のスクリーンネームとフィードのURLを登録すると、フィードの更新をIMを通じて通知してくれるようになる。
フィードをRSSリーダで読んでいる人は多いが、さらにフィードを活用するためにも、その目的によって使いわけるのがよいと思う。たとえば、読んで消化していくだけのものなのか、蓄積しておいてあとから検索したいものなのかといった具合だ。Feed Crierで使うのはどちらかといえばできるだけ早めにチェックしたく、消化していくタイプのものだろう。ニュースサイトのフィードの確認によい。IMを使いこなしている人にぴったりのサービスだ。
JavaScriptベースのJabberクライアント
名称 | Ajaxbber |
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URL | http://ajaxbber.sourceforge.net/ |
『Ajaxbber』はJavaScriptベースのJabberクライアントだ。とはいえ、JavaScript単体で動作するわけではなく、Ajaxbberではバックエンドの仕組みとして、Ejabberdなどが推奨されている。が、これはサーバ側のことで、クライアントとしてはWebブラウザ以外のソフトウェアは必要ない。
まだ完全な動作をするわけではなく、オフラインモードとしてUIを試すことができる段階だ。ウィンドウはWeb OSのように表示され、ドラッグで移動させることができる。Ajaxを駆使したインタフェースで、わかりやすい操作が可能だ。
テーマやアイコンなども用意されており、あとは通信さえできればJabberクライアントとして役立てることができそうだ。インストールせずにチャットできれば、インストール権限のないコンピュータでも手軽に利用できるようになる。
オープンソースのJabberサーバ
名称 | ejabberd |
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URL | http://www.process-one.net/en/ejabberd/ |
『ejabberd』は上記「Ajaxbber」でも推奨されているオープンソースのJabberサーバだ。既にJabber.orgやJabber.jpがある中、ejabberdを利用する意図はどこにあるのだろうか。それはLAN内でメッセンジャーサービスを利用する際に便利だということだ。
社内でメッセージソフトウェアを利用しているケースは多いが、簡易的なものはクライアント同士にのみログが残される。そのため、セキュリティやシステム管理上、問題になることがある。その点、ejabberdで集中管理型のサーバを立てれば、ログやユーザの管理も一元的にできるようになる。
ejabberd単体ではログ機能はないようだが、プラグインで拡張することいよって可能になる。また、LDAPと連携させて認証統合することもできる。さらに外部に公開し、他のJabberサーバへの接続も可能だ。何よりJabberクライアントはすでに数多く存在しており、自分好みのものを利用できる点が大きい。
いかがでしたか?
IMは個人での利用はもちろん、その便利さもあって企業内でも利用されることが増えている。だが、メールと違いサーバで集中管理する仕組みを用意しておかないとログもなく、気付いたら情報漏洩していたということになりかねない。
その点、Jabberはオープンなプロトコルであり、管理する仕組みも存在する。簡易的なメッセンジャーは少人数ではよいが、100人以上のユーザーとなると管理が煩雑化する。そこで集中管理型のIMを利用して適切なユーザ管理、情報管理を行ってみるのはいかがだろう。
著者プロフィール
MOONGIFT 中津川 篤司(なかつがわ あつし)
1978年生まれ。オープンソース紹介サイト「MOONGIFT」管理人。プログラマ、SE、ITマネージャを経て、オープンソースのビジネス活用を推進する。現在は独立し、Webサービスのコンサルティング、プロデュースを行う。