増大するデータ容量との戦い!

Macに限らない話ですが、一般的にパソコンの起動用ハードディスクは、容量の30%ほどを空けておかないとパフォーマンスが著しく低下してしまうという話があります。この話が本当ならデータ用ハードディスクの場合でも20%が限界と考えた方がよいでしょう。私は映像データも扱うため、映像系クリエーターのアドバイスに従って常に40%の空きをキープしていますが、そういった処理を行わないとしても、容量には余裕を持つのが理想的です。起動用ハードディスクの場合、容量が250GBなら上限は175GB、320GBなら224GB、500GBなら350GBと考えておくと安全だと思います。

その一方で、最近はアプリケーション自体の容量はもちろん、扱うデータの容量が増大しているのも事実です。昔は不要なデジタルカメラの写真データやビデオ映像などはこまめに削除したものですが、最近は整理に時間がかかることと、WEBなどの素材として使用する機会が多くなったこともあり、いらないデータでも消すことがほとんどなくなりました。さらにデザインワークとなれば扱うデータは複雑で膨大になり、ハードディスク容量の問題は深刻です。まさに「容量との戦い」といっても過言ではないでしょう。そんな訳で、Mac Proのようにドライブベイが用意されているマシンではない限り、外付けハードディスクを上手に活用することがカギとなるのです。

Apple Store限定発売のウエスタンデジタル「My Passport SE for Mac 1TB」

そんな折りに手に入れたのは、「My Passport」シリーズから新たにリリースされたMac用ポータブルハードディスク「My Passport SE for Mac 1TB」(1万6,800円)。シリーズ従来品と比べ小型化がさらに進み、容量はなんと1TBとなっています。これだけの容量があれば、前述のような容量不足の問題にもかなり余裕を持って対応できそうです。なお、ニュース記事にもありましたが、この製品は執筆時点で英語版しか存在せず、しかもApple Store限定販売のレアな商品のようです。記事掲載の時点ではまだ注文が可能となっていました。

メインマシンから現在進行中のデータ類をまとめて転送した状態。それでも空き容量は500GBを超えています

仕事で頻繁に活用する写真、イラスト、テクスチャ等の素材類一式(約176GB)

大学の講義などで利用する資料、Keynote等のスライド、映像、画像、各種ドキュメント(約69GB)

実験制作の映像データ及び関連資料(約58GB)

セミナー関連の資料、素材、データ類(約45GB)

進行中あるいは半年以内に納品した仕事関連のマスターデータ類(約83GB)

雑誌などのメディア関連の原稿及び資料(約14GB)

ハードディスクを選ぶ基準は容量以外にも

とはいえ、ハードディスクを選ぶ基準は容量だけという訳にはいかず、自分の目的に合った利便性についても考えなくてはいけません。私の場合は、MacBook Proで使うことを想定しているため、持ち運びに便利であることも考慮しました。また、おなじみのバックアップソフト「WD SmartWare」にて起動ディスクのバックアップ対策ができるのもうれしい点。特にMacBook Proなどのノートタイプは内蔵ハードディスクが1基なので、接続中は常に丸ごとバックアップできるというのはとても助かります。

また、この連載の第1回目で触れたように、起動ディスクとして利用するかどうかも検討しなくてはいけません。予備の起動ディスクを作成しておくと、システム障害など緊急時に対応ができるほか、フリーウェア・シェアウェアといったネットウェアを確認する際の安全対策などにも活用できます。ただし、今回のMy Passport SE for Macは出荷状態ではパーティションマップ方式がApple パーティションマップになっているため起動ディスクとしては利用できません。ディスクユーティリティでGUIDパーティションテーブルに変更すれば(実行するとデータが消えてしまうので注意)、IntelプロセッサのMacなら起動ディスクとして使用することは可能です。ただし、GUIDパーティションテーブルにしてしまうとMac OS X v10.4以降を搭載したMacで使用しないと問題があるようで、ウエスタンデジタルでは幅広い環境で使用できるようにApple パーティションマップで出荷しているのではないでしょうか。

私が最近使用してきた外付けハードディスク。向かって左から「My Passport SE/1TB」「My Passport Studio/500GB」「My Passport Studio/320GB」。2年前は320GBだったので「My Passport SE」が小型化と大容量化を推し進めているのがわかる

上から「My Passport SE/1TB」「My Passport Studio/500GB」「My Passport Studio/320GB」。「My Passport SE」のポートはUSB2.0のみだが、他の2機種はUSB2.0とFreWire800(400)に対応。起動ディスクとして利用しないのであれば、USB2.0のみで十分

大容量で広がる活用法

さて、1TBという大容量のハードディスクを実際に使ってみると、想像以上に活用の幅が広がりました。

私のMacBook Proの内蔵ハードディスクは320GBですが、Boot CampでWindows XP領域を確保している関係で、Mac用として利用しているのは250GBとなります。つまり、丸ごとバックアップをとっておいても、1TBあるので残りは750GB。30%の空き容量を確保しても、450GBが残るのです。これだけの容量があるので、必要なデータをメインマシンであるMac ProからMy Passport SEへコピーし、MacBook Proと一緒に持ち歩くということが可能となりました。

具体的にいうと、例えばページ物は「Adobe InDesign」のパッケージ書き出しにてまとめたデータを持ち出しているので、外出先などでも急な修正に対応できるようになりました。ほかにも、打合せ時に過去のデータを参照したり、よく使う素材類なども持ち歩くことが可能となったのです。

また、授業で使ったデータは授業日ごとに整理しているため、同一のデータが複数存在することもあり、データ容量はすぐに肥大してしまいます。エイリアス機能を使ってデータ容量をセーブする方法もありますが、フォルダごと移動する場合などにオリジナルを探さなくてはならないなど問題もあるので、私はエイリアス機能をデータに対しては使わないようにしています。しかし、My Passport SEで容量を気にせずデータを持ち歩けるようになったため、後から授業のデータを確認する際にも便利になりました。

そしてさらに、このように進行中のデータをメインマシンからコピーすることで、一種のバックアップにもなっているのです。データのバックアップは、メインマシン側に接続している「My Book Studio/2TB」とTime Machineを合わせて3重となりました。"万が一"が3回も重なることはないでしょう。今回はMacBook Proとの組み合わせを重視しましたが、デスクトップ機でも十分に活用できるパフォーマンスです。小型・軽量で大容量と理想的なハードディスクではないでしょうか。

コンピュータのデータはデジタルであるが故に危険との背中合わせです。特にMac Proと違い、MacBookシリーズやiMacのように容易に内蔵ハードディスクを交換できない環境では、バックアップ機能は死活問題。慎重過ぎるくらいでちょうどいいのではないでしょうか。

WD SmartWareのホーム画面

WD SmartWareのバックアップ画面。余計な事は一切考えずに自動的に処理されるうれしい仕様