豊富な機能と低価格を両立したWindows上で稼働するメッセージングサーバーソフトウェア「MDaemon Messaging Server」、99%以上という高いスパム検知率を実現するアンチスパムソリューション「SecurityGateway」。ウェアポータルが国内で提供する、ビジネスでのメール利用をより快適かつ安全にするこの2つのソリューションの開発元である米Alt-N Technologies社の幹部たちがこのほど来日した。そこで緊急インタビューを試み、同社の開発姿勢やユーザーベースで高セキュリティなメールシステムのあり方、今後の方向性などについて話を聞いた。
進化を続ける、シンプル・高機能・低価格が評判のメールシステム
Alt-N Technologies社(以下、Alt-N社)は、中堅・中小企業向けのeメールシステムを開発・提供するために1996年に設立された。当時、企業で一般的に使われるメールシステムは高価かつ高いスキルとノウハウを持ったITスタッフを必要するため、ITの専任スタッフがいない中堅・中小企業では独自にメールシステムを導入することは難しかった。そこでAlt-N社では、大企業向けのメールシステムに劣らないような機能を持ちながら低価格であり、かつ専門知識がなくても容易に管理が可能なWindows上で稼動するメールシステムを開発したのである。
こうして誕生した「MDaemon(エムデーモン) Messaging Server(以下、MDaemon)」は、販売当初はネット上の口コミで評判が伝わり、その後着実に利用者を増やしていった。そして今では世界90カ国の500万台のサーバーで利用されている。
VP,Marketing & Business Development |
Alt-N社のVP,Marketing & Business Development、Kevin A.Beatty氏は言う。「MXレコードをベースにした調査では世界で使われているメールサーバーで3番目のシェアを占めています。今回の来日目的は、日本のお客さまの声を直接聞いて、機能の追加や強化など今後の製品戦略に反映するためです」
MDaemonのユーザーはヨーロッパを筆頭に、アジア、北米、ラテンアメリカなど世界中に広がっている。Alt-N社では、これまで世界の各国・地域でパートナーの拡大に注力してきており、現在90カ国で販売するとともに、MDaemon自体も20言語以上に対応しているのである。
「広くお客さまに受け入れていただいている理由としては、まず新しい技術を求める姿勢を忘れずに常に搭載し続けていることが挙げられるでしょう。そしてより重要なのは、DBを使わないシンプルな構造の製品であることだと思っています。そのため、当社の設立時からずっと使い続けていただいているユーザーも非常に多いです」(Kevin氏)
MDaemonがIT専任スタッフのいない中堅・中小企業でも使われている大きな理由がこの構造のシンプルさにある。そして常に最新の機能を搭載し続けているその高い性能は、大企業からも高く評価されているのである。
「加えて、ITコストの余裕がない企業でも無理なく購入できる価格設定と、高いセキュリティ機能も評価をいただいています」(Kevin氏)
MDaemonには、グループウェアやウェブメール、スマートフォン連携などの機能と合わせて、スパム対策やウイルス対策などの高度なセキュリティ機能が備わっている。スパム対策では、スパムフィルターをはじめ、ブラックリストやグレーリスト、ドメイン認証といった様々な手法を搭載。これらによる複合的な検査を行うことで、より精度の高いスパム判定を可能にしているのである。
「メールはビジネスコミュニケーション手段として必須のツールとなっていますが、それゆえスパムやフィッシングなど脅威にさらされることも多いのが現実です。個人情報の取得目的などでも悪用されやすいため、セキュリティはもはやメールシステムにとって非常に大事な要素となっているのです。最近では金銭にまつわる事件もメールを介して発生していますので、今後もセキュリティ機能はより強化していくつもりです」とKevin氏は強調する。
これまでAlt-N社では、ユーザーから寄せられたニーズをMDaemonの機能や性能に迅速にフィードバックすることで、製品の成長を図ってきた。それだけにシステム管理者など現場からの支持が非常に強いのだ。
Co-CEO |
同社Co-CEOのJerry Donald氏はこう語る。「昨日も日本のお客さまと会って20以上の要望をうかがいました。我々は今までお客さまの声を2、3カ月で機能に実装してきていますので、今回も同様のスピード感で対応させていただく予定です」
過去にユーザーからの声を反映して実装された主な機能としては、Webメールの機能やデザイン、ドキュメントの共有機能、そして最新のバージョンで実装されたアカウントの不正利用防止機能などが挙げられる。世界中のユーザーが直接、機能の拡張に参画できるユーザーコミュニティの活動は非常に活発だ。掲示板やSNSなどを舞台に複数のユーザーコミュニティが活動しており、国や地域を超えた交流が進められているのである。
これからもユーザーの声に耳を傾け、確実にニーズを反映していきたい
アンチスパムソリューションである「SecurityGateway」も、ユーザーのニーズから誕生した製品である。
Kevin氏は開発の経緯についてこう振り返る。「もともとMDaemonのお客さまにはアンチスパム機能を利用していただいていたのですが、お客さまの中にはExchangeサーバーの手前にMDaemonを置くことで、そのセキュリティ機能だけをご利用いただいているケースも多いことがある時わかったのです。ならば、MDaemonのセキュリティコンポーネントを切り出し、ゲートウェイとしての利用に特化した製品として提供しようとSecurityGatewayを開発しました」
MDaemonが主に中堅・中小企業で使われているのに対し、SecurityGatewayは10,000ユーザー以上の大企業での利用も多いという。
今後Alt-N社では、ユーザーの声を製品に反映していく姿勢をさらに強化していく構えだ。そのために、世界中のパートナーとの連携も強力に進めていくという。昨年には、ユーザーからの要望をパートナー間で共有する場(アイデアエンジン)を設置し、機能拡張のロードマップもそこで共有している。
「お客さまや市場のニーズをいかに機能に盛り込んでいくかは、当社にとって永遠に最優先すべき課題です。日本のお客さまならではのニーズもあるでしょうから、それをフィードバックできる場を設けて日本市場に特化したケーススタディなどを開発元として提供していければと考えています。例えば、当社の製品を初めて利用するお客さまにも、ある程度まではすぐに理解していただけるような情報提供をしていきたいですね」とKevin氏は語る。
日本市場での情報提供を行っていく中で鍵を握るのが国内代理店のウェアポータル株式会社である。それだけに、開発元として同社に対する期待は大きいようだ。
* * *
最後に、今回来日したKevin氏やJerry氏をはじめとしたAlt-N社の幹部4人から、日本企業のIT担当者に向けたメッセージをいただいたので紹介したい。
Kevin氏:「メールシステムの管理に常に気を使わなくても済むような高い信頼性と操作性を提供していきたいですね」
Jerry氏:「システム管理者というのはストレスのたまりやすい仕事で、どうしてもネガティブな話が多くなるものですが、今回お会いした日本のIT担当者の方々はとてもポジティブで、きめ細かなニーズを伝えてくれました。こうした有益な情報をぜひ製品にフィードバックしたいです」
Arron Caruth氏(Director of Product Development):
「世界中をまわるなかで、日本をはじめ多くのお客さまから製品に対するニーズを寄せていただきました。どのようなかたちで実装するのかはこれから検討しますが、これまでと変わらないスピードで対応させていただきます」
Alan Nauman氏(Vice Presudent of Operations):
「私自身、20年以上情報システム管理の経験があるので、現場の方々がどのような製品を求めているのか理解しているつもりです。今回、実際に日本のお客さまとお話してみて、この市場のさらなる可能性を感じています。少しでも興味があれば、ぜひ一度MDaemonやSecurityGatewayを使ってみてください。他の製品にはない機能や操作感を必ず実感していただけるはずです」