記者説明会では、VLSI Circuitsシンポジウムについての紹介も行われた。こちらはVLSI Technologyシンポジウムよりも100件ほど多いちょうど300件の応募があり、その中から102件が採択されたという。採択率は例年並みの34%で、3件に1件という狭き門であったという。
VLSI Circuitsシンポジウムの応募論文の約8割が大学からのものだったが、これはVLSI Technologyシンポジウムでの大学からの発表が4割弱だったのとは対照的である。応募件数を国別に並べると、最多は米国の78件、次いで韓国の72件、台湾42件、欧州36件、中国31件、シンガポール16件となり、日本は12件となっている。
日本の採択率は41%で全体平均よりやや良い程度だった。10年前の2011年の京都大会と比較すると米国は183件から大幅に減らす結果となったが、2番手につけた韓国は同45件から72件と伸ばしてきている。特にここ数年伸びが目立つが、韓国政府が大学での半導体教育を充実させていることが、影響している可能性がある。日本は2011年は65件であったが、毎年のように減少が続き、今年は12件となってしまった。日本勢も何らかの対策を取る必要があるだろう。
また、中国は同12件から31件に増えており、各国の応募件数は、その国がどの程度半導体産業に注力しているのか、を反映しているようにも見受けられる。
衝撃的な国別採択論文件数
採択論文の国別構成は、米国が35件、韓国が28件、台湾が6件、中国が6件、日本が5件の順となっている。それにしても韓国勢の台頭は特筆に値しよう。米国と韓国だけで過半を占めているが、この10年間の国別採択論文数の推移を見ると、米国勢は変動が激しいものの、45件±10件の範囲で推移しているほか、韓国が1桁台から30件に向けて増加傾向、一方の日本が1桁台に向けて減少傾向となっている。新興勢力である中国は、まだ採択率は低いものの、「数は力なり」で今後、応募論文のレベルがあがっていけば、採択件数も増加することが予想される。
発表機関(大学、研究所、企業)別採択件数のトップは、韓国が国策で設立した国立大学KAISTの4件、ついでSamsungの8件、Intelの7件と続く。その後、米ミシガン大学、米UCLA、中国の清華大学と大学勢が並び、その後にimecが入っている。日本からは2件で東京大学と東京工業大学が入っているほか、早稲田大学の1件の合計5件となっている。このほか、ルネサス エレクトロニクスとPreferred Networks(PFN)が招待講演を行う予定となっている。
回路分野別に見ると、以下の通り。
- (デジタル分野)プロセッサ・アーキテクチャ:18件(2020年18件)
- (アナログ分野)センサ・ディスプレイ:12件(2020年12件)
- (アナログ分野)パワーマネージメント:14件(2020年8件)
- (アナログ分野)バイオメディカル:11件(2020年6件)
- (メモリ分野)メモリ:10件(2020年14件)
ほかの分野は1桁にとどまっている。
コロナの影響で半導体の医学分野への貢献に力を入れる研究機関が増えてきており、バイオメディカル分野の発表件数がほぼ倍増した。そのほかの分野は例年の傾向と大きな変化は見られない。