VLSI Technologyシンポジウムには世界中から181件の応募があり81件が採択された。採択率は43%だった。応募件数と採択件数の国別内訳は、
- 米国 39/14
- 台湾 33/14
- 欧州 28/18(うちベルギー 17/14)
- 中国 26/6
- 韓国 24/11
- 日本 19/11
- シンガポール 16/7
- その他 4/0
であった。
日本は、応募件数別では6位だったが、レベルの高い論文が多く、採択率が58%と平均より高かったため、採択件数別では、欧州、米国、台湾に続いて4位となった。日本からの応募件数が台湾や韓国より少ないのが気がかりであるが、日本の半導体産業の凋落を反映した数字だろう。特にベルギーの採択率が特に高いのが目立つが、これは後述するようにimecの貢献による。
組織別の発表件数ランキングは、
- 1位:imec(ベルギー) 14件
- 2位:Samsung(韓国) 7件
- 同2位:東京大学(日本) 7件
- 4位:TSMC(台湾) 6件
- 同4位:国立シンガポール大学(シンガポール) 6件
- 6位:IMECAS(中国) 5件
- 7位:IBM(米国) 3件
- 同7位:POSTECH(韓国) 3件
- 9位:CEA-Leti(フランス) 2件
- 同9位:Macronix(台湾) 2件
- 同9位:国立台湾大学(台湾) 2件
- 同9位:ノートルダム大学(米国) 2件
- 同9位:GLOBALFOUNDRIES(米国) 2件
- 同9位:ソニー(日本) 2件
である。
昨年と比較して、imecは5件増、東京大学とIMECAS(中国)とが4件増、POSTECH(韓国)が3件増、Samsungが2件増となっている。POSTECHは昨年ゼロ、一昨年は1、それ以前はゼロであった。imecは、世界最大規模の半導体研究機関であることを見せつけている。東京大学の7件も注目される。日本からの採択論文11件の過半を東京大学からの論文が占めているためだ。日本の半導体企業からの発表は、ソニーの2件が目立つぐらいである。
応募論文および採択論文の半導体分野別内訳を見ると、2020年からメモリ関連の応募論文の比率が高くなってきており、採択件数も最多となっている。投稿論文で29%、発表論文で35%を占める。今年は、新しいコンピューティング向けデバイスの応募件数がメモリに次いで多く、採択件数でもメモリに次いで多くなっている。投稿件数で23%、採択件数で14%を占める。ついで採択件数の多い分野は、先端CMOS技術(応募12件、採択8件)とCMOS以降の新概念(応募5件、採択8件)であるが、昨年より減少傾向にある。先端CMOS技術開発を行える企業や研究機関が限られてしまっている。ただし、この分野は質の高い論文が多い。次いで、非シリコン基板、材料およびそれを用いたデバイス分野が多い。
(次回に続く)