サーバの仮想化を行う際、中堅・中小企業では「自社にとって仮想化は有益か?」、「どんなハードウェアを購入すれば成功するのか?」といったように、さまざまな疑問が湧くことだろう。こうしたサーバ仮想化検討している中堅・中小企業のニーズにこたえる準備が、日本アイ・ビー・エムには整っている。
導入に加えドキュメント作成の手間も低減する「IBM 太鼓判構成」
サーバの仮想化がITシステムのリソースとコストの削減策として注目を集めて数年たつが、大企業では本格的な導入が進んでいる。 一方でごく小規模な企業では大企業ほどサーバ仮想化から受ける恩恵は大きくなく、これまで通り必要に応じてサーバを調達したり、個別にASPやクラウド・サービスを検討したりという手法で十分ビジネスを支えていけるだろう。今、仮想化を導入するに際して悩んでいるのは中堅・中小企業と呼ばれる企業だ。
「"年に数台以上は新たなサーバが必要となるにもかかわらず、社内にはサーバ管理を専業とする技術者がいない(不足している)"、そんな状況にある中規模企業は、仮想化のメリットを享受できます」と日本アイ・ビー・エム システムx事業部 事業開発部長の東根作成英氏は語る。
同社のサーバ仮想化に対する取り組みの特徴は、大規模なシステム統合から専門技術者が存在しない中小企業までを対象に、幅広くサービスを提供できることだ。「アイ・ビー・エムと言えば、"大企業向け製品を提供している"、"価格も高いに違いない"という声も聞きますが、そんなことはありません。いろいろなサービスを用意していますし、ぜひ一度声をかけていただきたいですね」と同氏。
中小企業でも仮想環境の導入を容易に行えるようにサポートしてくれるのが「IBM 太鼓判構成」だ。その名称からして「これさえあれば大丈夫」というイメージが強く伝わってくるが、中身はすべて同社の既存製品で構成されている。専門エンジニアによって動作確認が行われたハードウェア構成と、実際にどのような手順で導入すれば良いのかがわかる手引き書がセットになっているのだ。
「ある程度知識をお持ちの方なら、手引き書を参考に自力で導入が行えるはずです。また有償ではありますが、IBM ServicePac ソフトウェアという電話サポートによる導入支援も用意しています」と同氏は語る。
手引き書に従って導入した場合、手引き書がそのまま導入記録のドキュメントになる。また、手引き書はWebで公開されているため、これをもとにカスタマイズを加えた部分だけ書き換えれば、ベンダーが顧客に提出するドキュメントを作成する負担も軽減される。「きちんとしたドキュメントを残しての導入」という後々に備えた行動もサポートしてくれる仕組みだ。
大規模環境の集約のボトルネックを解消する「eX5」準拠サーバ
もちろん、同社は大規模なシステムの仮想化にまつわる問題にも積極的に対応している。仮想化というと、大規模なサーバ統合のイメージが強い。確かにCPUの能力を基準にすると、最新のサーバ1台に相当数のサーバ機能を集約することは可能だ。しかし、それで集約したサーバの機能を十分に使えるかという点には、疑問がある。
「サーバに搭載されているCPUの性能は5年前と比較して数倍に向上しています。しかし一方で、サーバに搭載可能なメモリ容量には大きな変化がありません。そのため、通常2つのCPUを搭載する仮想化サーバでは30台前後までしかサーバを統合できず、CPUのパワーは結局余ってしまう場合があるのです」と同氏。
こうした課題の解決策として、同社は「eX5」テクノロジーを搭載したサーバを用意している。同サーバは大容量のメモリの搭載を実現するサーバで、専用のメモリ拡張ユニットを組み合わせると2つのCPUを搭載するサーバに最大で64のメモリ・スロット、容量にして2TBを搭載することが可能になる。
大企業のみならず、「大量のサーバを統合したい」、「新たなビジネスを立ち上げるためにもっとスピードを必要とする」といったニーズを持つ中小・中堅企業にとっても、ex5を搭載したサーバは有力な選択肢となろう。
最適な仮想化を導く「カンタン! IT投資見える化診断」
「中小規模システム向け」「大規模システム向け」と製品を提示されても、決め手に欠ける場合は、アセスメントサービスを利用しよう。同社はIT投資効果を数値化してくれるサービス「カンタン! IT投資見える化診断」を提供している。
「現在利用中のサーバの型番がわかれば、搭載されているCPUなどのスペックがわかります。そこで、サーバのスペックと台数から、初期投資回収期間やコスト削減効果、CO2削減効果を数値化し、その企業に適した構成を案内します」と同氏は語る。
「アセスメントサービスを利用したうえで、自社のニーズにマッチした"IBM 太鼓判構成"を選択する」というのが、中小規模システムに仮想化サーバを導入する際のスムーズな方法だろう。
「IBM 太鼓判構成」はさまざまな構成を用意しているが、仮想化を対象としたものとして、Hyper-Vによる構成とVMwareによる構成がある。いずれも、「手短に仮想化環境を構築したい」、「本格的な運用をしたい」といったように、多彩なニーズに応じて選択可能な構成が用意されている。
「IBM 太鼓判構成」を使えば、機種選定に要する手間が大きく軽減され、設定に戸惑った時も「プロが検証しているのだから、この構成で動くはず!」と確信を持って設定の見直しが行えるのが嬉しい。環境構築時や運用時に不安がある時は、電話でのサポートも受けられるので安心である。
「"仮想化は運用が難しそう"というイメージをお持ちの方も多いようですが、実は複数サーバを一元管理できるようになるため、運用の負担は軽減されます。特にハードウェアの台数が減る分、ハードウェア関連のトラブルは激減するはずです。専業の管理者がいないということは、本来の業務の手を止めてサーバの対応をしているということを意味します。つまり、そうした環境においてサーバの運用管理の負荷を減らすということは、企業の生産性を向上する環境を作ることでもあります。IT部門を抱えていない中堅・中小企業でも、ぜひ積極的に仮想化を取り入れてほしいですね」と同氏は語る。
次回は、仮想化に不慣れな中堅・中小企業が陥りがちな落とし穴や勘違いについて、紹介してもらおう。