本連載では、UMLでモデリングを行う方法を解説しています。数回にわたり、宅配便会社の業務を例にモデリングを行っていますが、今回は、ステートマシン図を用いて荷物の状態の変化をモデリングしてみましょう。
宅配便会社は、「荷物がどこにあるのか」「売上に計上されているか」「受取人が不在の場合荷物は営業所に持ち帰られているのか」など、宅配の依頼を受けた荷物の状態を管理する必要があります。こうした荷物の状態の変化は、振る舞い図に分類されるステートマシン図で示すことができます(図1)。
状態と状態の間の線上に書かれているのは、状態間の遷移のきっかけとなる「トリガー」です。まずは、配達員が荷物を受け取ったところから状態の管理を開始し、この状態を「集荷中」とします。その後、配達員によって荷物が営業所に持ち込まれた時点で「配送準備中」になります。続いて、送り側の営業所から荷物が運び出された時点で「輸送中」、受け側の営業所で配達員が荷物を配送車に積んで出発すると「配達中」になります。配達員が届け先を訪問した時に受取人が不在だったら、不在票をポストに投函して次の配達・集荷作業に戻ります。この場合、当日配達時間内に連絡があれば、再度配達に向かいますが、そうでない場合は翌日の配達になります。
ステートマシン図では、このように業務のルールを状態や状態が遷移する時の条件を記述することによって説明する場合に使われます。
次回は、業務のモデリング結果から、システム要求を抽出していく過程においてUMLをどのように使っていくのかということについて解説します。
『出典:システム開発ジャーナル Vol.2(2008年1月発刊)』
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