本連載では、複数回にわたり、UMLを用いてアーキテクチャをモデリングするテーマについて説明してきました。今回は、その最後のテーマとして、クラス図でモデリングするテーマである「設計者/実装者向けのガイドライン」について説明します。

中規模・大規模プロジェクトにおいてシステムの品質を確保するには、誰もが同じように詳細設計・実装が行える状態にしなければいけません。そのためには、アーキテクチャを詳細に標準化する必要があります。また、開発者が標準を理解して利用できるよう、資料やサンプルコードが必要になります。

以下の図は標準化したアーキテクチャに沿って詳細設計・実装を行う際にガイドラインとなるクラス図です。ガイドライン用のクラス図を作成する際のポイントは、具体例を示しつつ、ロバストネス図中の要素をインプットにして、実装が必要な実装要素(パッケージ、クラス、インタフェース、ファイルなど)を見つける方法を示すことになります。図中の「<<refine>>」とある点線矢印はUMLの「洗練」という要素で、ロバストネス図中の要素と実装要素の対応関係を表します。

設計者/実装者向けのガイドラインを示したクラス図

例えば、1画面につきjspファイルとActionクラスをそれぞれ1つ実装することを示すために、配達予定画面とDeliverySchedule.jspとDeliveryScheduleActionクラスの例を挙げています。また、クラス対クラス、クラス対ファイルだけではなく、配達予約コントロールのようにクラス対パッケージ、クラス対インタフェースの対応関係を示したり(配達予約コントロールの例)、メッセージ対メソッドの対応関係を示したりすることもあります(配達予約コントロールへ送るメッセージの例)。当然ながら、図だけでなく文章も加えて、ガイドラインを記述することも重要です。

次回より、詳細設計・実装・テストの場面でUMLをどのように使うかについて解説します。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.5(2008年7月発刊)
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