胸が高鳴る第一投。この瞬間から、いよいよワカサギとの勝負がスタートするのだ。さて、ワカサギ釣りに使う道具や餌付けなどを理解された方ならお分かりかと思うが、ここからが理論と実践を繰り返して、正解を探っていくことになる。ITフィッシングの真骨頂もここからなのだ。
初手はオーソドックスに
仕掛けの準備ができたら、まず初めは目的の棚までオモリを沈めていく。カウンター付きのリールの場合は目安となるものがあるから良いが、それ以外の場合はいったんボトムまで落として、前回解説した「ヒトヒロ」を使ってラインを直接たぐって目的の棚まで合わせるようにしよう。
もし、狙いが正しければすぐに竿先が震えるはず。アタリが無ければ仕掛け分の約1m分深くするか、浅くするかで反応を見る(実はこの動きが誘いにもなる)。5分程度待ってアタリがなければ、いったん回収して餌をチェックして、再投入するか、思い切ってボトム付近を探るなど他の水深も試してみよう。
大抵の場合、出船してすぐは朝マヅメ(生き物の活動が活発になる時間帯)と重なるので、魚探に出ている反応が釣果に直結することがほとんどだ。この日も、朝一から連打で釣れてくれた。2連、3連と数を伸ばすが、こういう高活性の時はマメな餌チェックよりも、手返しを重要視したほうがいい。例えば、餌が白くなっていたり、5本のうちひとつの針に餌がついていなくてもいい。何しろ、同じ水深へ途切れなく仕掛けを入れていくのだ。 魚が狂ったように餌に食いつく時間帯だと、そのような状態の仕掛けにも平気でアタックしてくる。餌が無かったはずの空針(カラバリ)にもなぜかワカサギが付いていることだって、1回や2回ではない。ただし、そういう時間帯は日に何度も有るわけでは無いので、数を伸ばせるチャンスだと思って、アタリ→仕掛けの回収→ワカサギを外す→再投入を繰り返すのだ。
日によって違うが、こういう時間帯は大抵10分程度、もっと短いときもあるし、まったく無いときもある。うまく続いてくれると最初の1時間で100匹超えなんていうときもあるので、いかにジアイが大切か分かると思う。画像の日の朝マヅメの入れ食いタイムは予想通りの約10分が2回。数にして60匹程度ではあったが、貴重なチャンスを物にすることができた。
連掛けの連続。こういう時間帯は餌チェックよりも、手返し優先で何しろ泳層に仕掛けが留まる時間を長くするのが秘訣 |
釣れなくなったな……とカウンターを見ると66匹。短いジアイを確実に捉えるだけで釣果は伸びる |
もちろん、ジアイが過ぎたら即、新鮮な餌に取り替える。アタリが遠くなったと感じたら、永層を探り直すことも大切だ。魚群探知機があれば的確に泳層を探っていけるが、実際にはこのデバイスが映すことができない魚影もある。プランクトンが多い湖や水草が茂っていたり、湖底に沈殿物が多かったりする場合は、ボトム付近の群れがそのような障害物なのかどうなのか判別しにくいケースもあるからだ。また、同様に水深1m~3m程度の極浅い水深もサーチしずらい。以前もお話したとおり、水面近くにあるセンサーを頂点とした円錐形の範囲を測定しているからだが、いずれにしても過信は禁物ということだと思ってほしい。
また、群れが通るタイミングを知ることも大切で、余程のことがなければ、一日中、ボートの真下に群れが居座ることはない。どんなに好調なポイントでも、日に数時間単位でアタリがなくなるときはあるものなのだ。なので、少ないチャンスをものにするためにも、マメな仕掛けの上げ下げや餌チェックは欠かせないという訳だ。
ワカサギストのPDCAサイクル
さて、ここで本題に入ろう。狙い通り釣れたとして、それが続くのであれば、そのままの釣り方を続行する。一定時間釣れ続けば、大抵の場合、そのポイントには群れが通りやすいと判断できる。同じポイントでアタリが無くなっても、しばらく待機していれば、次の群れが通ってくれるという期待も持てるのだ。
逆に釣れても散発的であったり、魚探の情報が当てにならないような場合は、考え方を変える必要がある。例えば、周りが釣れ盛っているのに、こちらは散発的だとすれば、移動を続ける群れの端に自分が居るのかも知れないと判断できる。その場合は、ボートをほんの数メートルだけ釣れている側に移動するだけで、他のアングラーと同じような釣果に恵まれることだってある。
やっかいなのは群れが見えているのに口を使わないとき。著しく活性が落ちている場合が多く、餌を追わせるにはかなりのテクニックが必要。細かい誘い、マメな餌変え等々、持てるテクニックを駆使してようやく…ということになりがち。それでも追わない場合は、餌を目の前でちらつかせて逃げるような演出をするような、魚の習性でもある「反射食い」を誘ったりするテクニックもあるが、こちらはかなり高度なのであまりオススメはできない。そのような状況のときには水質が悪くなっていることが多々有るので、水が流れ込んでいる場所や、岬周辺の水通しの良いエリアなどへ移動したほうが賢明だ。
恒例となりつつあるが、ワカサギスト的PDCAで捉えると、「ワカサギが通り泳ぐ層を探る」→「釣れたor釣れない」→「釣れた場合は再現性があるか確認、釣れない場合は他の永層をチェック」→「再現性があれば良いポイントなので粘る、それでも釣れなければ場所を移動する」というように大分できる。
もちろんこれに、餌の種類および針へのセットの仕方によるバリエーションなどを加えれば、もっと細かいチャートを作ることだってできる。次回は実釣レポートと合わせて、どのようにワカサギの数を伸ばしていくか説明していこう。