まずは、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震で被害に遭われた皆様に、心からお見舞い申し上げたい。

この地震では東北地方の交通網が寸断された。交通機関は見知らぬ土地で利用することも多いので、旅先などでトラブルに遭った時のことも考えておかなければなるまい。そこで、今回は旅先で事故や災害に起因するダイヤの乱れに見舞われたときの対応について取り上げよう。

旅先で災害に遭って交通機関が止まる可能性

東日本大震災ほどの大災害は稀だが、それよりも小規模な災害は意外と発生している。最近だと、霧島山・新燃岳の噴火で交通機関に影響が出ている(個人的にも影響を受けた)。事故・災害に起因する交通機関のダイヤの乱れに直面する可能性は意外と高いのではないだろうか。

筆者自身は強烈なダイヤの乱れに巻き込まれた経験は少ないが、冬の北海道で地震が発生して点検のために列車が止まり、スケジュール崩壊の危機に直面した経験はある。また、東北新幹線で強風による運転抑止がかかり、盛岡駅で身動きがとれなくなった経験もある。2000年の東海豪雨で東海道新幹線が止まった時に、その新幹線の車中で缶詰になった身内もいる。筆者の友人では、出張に向かう途中で東日本大震災が発生して新幹線が止まってしまい、降ろされた駅の近くでホテルを探して1泊を余儀なくされた例があった。

利用する交通機関によって事情が大分異なるのだが、まずは筆者の「十八番」ということで、鉄道の話から。

ダイヤが乱れたら、まずは食糧確保

鉄道の場合、地に足が着いていることは安心できる要素だが、その反面、どこで止められるかわからないという不安要素がある。飛行機であれば空港に降ろすしかないが、列車は駅間の何もないところで停まってしまうこともありうる。運悪くそんな事態に直面すると、お腹が空いているのに食べ物が手に入らない可能性が出てくる。

平常ダイヤであれば「目的地に着いてから食事をとればよい」と考えていても、ダイヤが乱れると話は違う。そこで登場する原則が「ダイヤが乱れたら食糧確保」だ。たとえ、その時点ではお腹が空いていなくてもだ。もしも、持病があって薬を持ち歩いている人なら、それを飲むための水も必要だろう。

新幹線、あるいは在来線でも特急列車なら車内販売が行われていることが多いが、積んでいる商品には限りがあるし、途中で売り切れてしまうこともある。だから、確保できる時に確保しておくのが鉄則だ。実際、筆者が東北新幹線の運転抑止に遭った時は、駅の放送で状況を知った途端にコンビニに駆け込んで、食べ物と飲み物を確保してから列車に乗りこんだ。

車内販売が乗っていない列車だと、食料調達は駅でしか行えない。駅の売店で手に入るのはパン・菓子・飲料程度のことが多いが、何もないよりはマシである。もしも、構内営業のコンビニがあればラッキーだ。何にしても、「また後で」は禁物で、可能な時に確保しておく必要がある。

そうなると、ダイヤの乱れがあろうがなかろうが、「若干の食べ物と飲み物は常に携えているほうが無難かもしれない」と思うぐらいだ。ということで、嵩張らない栄養補助食品の類を荷物に入れておくのが、最近の筆者の恒例となっている。

あと、特に災害発生の場合は、可能であれば現金の確保も行いたい。停電してクレジットカードやATMが使えなくなったら困るからだ。

今や電源の心配も必要になった

最近では、運行情報の収集、電子掲示板やSNSなどにおける「実況」といった用途で、携帯電話、スマートフォン、ノートPCを活用することが多くなった。そうなると気になるのは電源である。東海豪雨で東海道新幹線が止まった時は、"缶詰" が長時間に及んだため、携帯電話のバッテリを使い果たしてしまった人が多いと聞く。

本連載の第1回で取り上げたように、座席に電源コンセントを備える車両が増えてはいるが、これとて架線からの給電が途絶えればアウトである。特に、天災で列車が止まってしまうと電力の供給が途絶えることが少なくないので、決め手はやはり予備バッテリということになるだろうか。座席に電源があれば、それを使って充電できるし、もしも手持ちがあれば音楽やDVDの再生で時間を潰すこともできるのだが。

筆者が東北新幹線でダイヤの乱れに巻き込まれた際は、ノートPCを引っ張り出して仕事や実況をしていたのだが、そのうちバッテリの残りが怪しくなってきてしまった。あいにくとE2系は座席に電源がないので、断続的に洗面所に移動して電気カミソリ用の電源を拝借する方法で凌いだ次第だ。

さて。空腹や喉の渇きは解消できたとしても、肝心のスケジュールへの影響についてはどうするか。その話は次回に。