はい、前回の続きです。しつこくやってみます。「Photoshop CS5」の「コンテンツに応じる」機能を使っての作例です。
今回はちょっと複雑ですよ。生首以外を選択してます。これはいったいどういう指示になるんでしょう。「コンテンツに応じる」の「コンテンツ」とは、「消したい対象の周の背景」になりますから、「生首」を選択していれば、「周りの背景」が「コンテンツ」です。でも今は「生首以外」を選択してますから、この場合の「コンテンツ」は「生首」になります。ややこしいですね。わかんなくてもとりあえず、やってみましょう。手順は同じです。
ああ、こうなるのかー! Photoshopが生首を周りとなじませようとしています。では、元に戻して、目以外を選択してみます。
うひゃひゃ! そうなりますね。
じゃあ、クラゲ以外もやってみましょう。
おっと! なにこれ、ちょっといいじゃん! 北斎?
何も消すものが亡くなったので、またベレー帽の人物を描き足してみます。真ん中に ドン!
ちょっとわかりにくいのですが、ベレー帽の人物全体を選択しています。こんな広範囲なものも消えるのか。はい、消えた! すげっ! レイヤーを消したのではないですよ。
元に戻して、お次は「クイック選択ツール」で顔の部分のみを選択してみます。
お! マグリット!
こうなってくると、機能が便利ってところから抜け出して、使っておもしろい、ただ楽しくなってきます。次に何が起こるのか、試作の意欲が湧き上がってきます。アプリケーションを使う創作の醍醐味はここにあるんじゃないかなあ。こちらの想像を超えてきますよね。自分ひとりでは決してやらない、やる気も起きない、ただひたすら繰り返すド作業なる具体的な描画を、テクノロジーは狂人のごとく無尽蔵に振舞うのであります。
タナカカツキ
1966年、大阪府出身。弱冠18歳でマンガ家デビュー。以後、映像作家、アーティストとしても活躍。マンガ家として『オッス! トン子ちゃん』、『バカドリル』(天久聖一との共著)など作品多数。1995年に、フルCGアニメ『カエルマン』発売。CM、PV、テレビ番組のオープニングなど、様々な映像制作を手がける。映像作品『ALTOVISION』では「After Effects」や「3ds Max」を駆使して、斬新な映像表現に挑んだ。
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